一昨日、NOVAが会社更生法の適用を申請した。負債総額は439億円。「事業を一括して引き継ぐ支援企業を一ヵ月以内に選定する」との弁護士の話だが、火中の栗を拾う企業がいるかどうか、状況は相当厳しそうだ。
NOVAが斯かる事態に至った直接の原因は、受講料前払い制度に係る中途解約トラブルと、それを受けて経済産業省がこの6月に出した業務改善命令である。その後受講生の減少に歯止めが掛からず、同社の資金繰りは急速に悪化した。家賃の滞納、講師や職員の給与遅配等が常態化し、そして遂に更生法申請となったのである。
この中途解約を巡るトラブルが今回のきっかけであるが、NOVAの根本的な問題は、無理な規模拡大に走ったことではないか。
NOVAはここ数年で出店を急拡大し、ピーク時(昨年3月末)には994もの拠点を持っていた。これを可能にした、即ち出店増の中で受講生を確保できたのは、“駅前留学”というキャッチコピーや、NOVAうさぎ、異文化コミュニュケーション等の、広告宣伝に拠るところが大きいと思う。が、広告自体は大変優れたものであったが、その費用は年間100億円以上にも上る。売上高700億円程度の会社に100億円の負担は重い。
又、出店すれば、賃借に係る差入保証金のほか、内外装、什器・備品等のコストが掛かる。これも馬鹿にできない。
仮にハードが整ったとしても、今度はソフト、つまり実際にレッスンを提供できるかどうか、講師がいるかどうかが問題になる。NOVAは少人数のクラスを前提としており、相当数の講師を確保しないとレッスンの提供は難しい。が、現実には講師が不足し、何教室か掛け持ちの人も多いと聞く。チケットを買ったものの予約が取れないとの苦情はこうした理由からである。
実は、3年前、一ヶ月ほどNOVAに通ったことがある。一週間ほど時間が空き、良い機会だから英会話を習おうと思ったのである。短期のコース、それもいきなり来週勉強したい、というのでは、なかなか適当な学校が見つからない。はじめにベルリッツを訪れたところ適当なコースがあった。が、如何せん、費用が高い。ちょっと手が出なかった。
で、次に行ったのがNOVA。今話題の長期前払い(僕は一番短い期間、確か3ヶ月くらいだったと思う)で十数万円分チケットを購入した。チケットを購入する際、日中はすいているのでいくらでも予約が取れると聞き、それこそ僕は一週間、朝から晩まで英語漬けの日々を送る積もりだった。しかし、現実には一日、2、3レッスンが精々だった。本来一週間で使いきるはずのチケットはあまり、その後、何回かは通ったものの、結局、一部のチケットは無駄にしてしまった。中途解約してもお金は戻ってこないシステムになっており、僕は諦めるしかなかった。
この短い“NOVA体験”の印象であるが、もの凄いシステムを作り上げたな、というのが正直なところ。NOVAのシステムというのは、「取り敢えず、英語の話せるお兄ちゃん・お姉ちゃんを連れてくれば、それが立派な(?)先生となって授業ができる」というものである。レッスンはテキストを使って行われる。基本は、先生が読み生徒が読む、先生が質問し生徒が答える、というもの。この“単純繰り返しメソッド(?)”を確立したのがNOVAの偉いところ。時々文法その他、テキストに書いてないことを教えてくれる先生もいるが、多くはテキスト通りに読むだけ。あとは雑談。つまり、先生には“英語の読み書きができる”ということ以上は何も求められていないのである。資格などは関係ない。
確か、メルボルンの街角で声掛けられて暇だったから日本に来ちゃった、と言っていた20歳くらいの女性がいた。そんな彼女でもNOVAの教室に入った途端、立派な(?)先生になってしまうのである。又、噂では、生徒の女性をナンパすることしか考えていない男の先生もいると聞いた。早い話、素人の集まりなのである。勿論、中にはしっかりとした教育や経験のある先生もいらっしゃる(はず、会ったことないけど)。
「安物買いの銭失い」という言葉が思い出される。
多額の支払いをされた方もいると思うので、本件、良い教訓になった、では済まされないかもしれない。が、“円天”のような話が繰り返されるのを見るにつけ、うまい話には裏があると、まずは疑ってかかる姿勢が重要なのだと思う。
NOVAが斯かる事態に至った直接の原因は、受講料前払い制度に係る中途解約トラブルと、それを受けて経済産業省がこの6月に出した業務改善命令である。その後受講生の減少に歯止めが掛からず、同社の資金繰りは急速に悪化した。家賃の滞納、講師や職員の給与遅配等が常態化し、そして遂に更生法申請となったのである。
この中途解約を巡るトラブルが今回のきっかけであるが、NOVAの根本的な問題は、無理な規模拡大に走ったことではないか。
NOVAはここ数年で出店を急拡大し、ピーク時(昨年3月末)には994もの拠点を持っていた。これを可能にした、即ち出店増の中で受講生を確保できたのは、“駅前留学”というキャッチコピーや、NOVAうさぎ、異文化コミュニュケーション等の、広告宣伝に拠るところが大きいと思う。が、広告自体は大変優れたものであったが、その費用は年間100億円以上にも上る。売上高700億円程度の会社に100億円の負担は重い。
又、出店すれば、賃借に係る差入保証金のほか、内外装、什器・備品等のコストが掛かる。これも馬鹿にできない。
仮にハードが整ったとしても、今度はソフト、つまり実際にレッスンを提供できるかどうか、講師がいるかどうかが問題になる。NOVAは少人数のクラスを前提としており、相当数の講師を確保しないとレッスンの提供は難しい。が、現実には講師が不足し、何教室か掛け持ちの人も多いと聞く。チケットを買ったものの予約が取れないとの苦情はこうした理由からである。
実は、3年前、一ヶ月ほどNOVAに通ったことがある。一週間ほど時間が空き、良い機会だから英会話を習おうと思ったのである。短期のコース、それもいきなり来週勉強したい、というのでは、なかなか適当な学校が見つからない。はじめにベルリッツを訪れたところ適当なコースがあった。が、如何せん、費用が高い。ちょっと手が出なかった。
で、次に行ったのがNOVA。今話題の長期前払い(僕は一番短い期間、確か3ヶ月くらいだったと思う)で十数万円分チケットを購入した。チケットを購入する際、日中はすいているのでいくらでも予約が取れると聞き、それこそ僕は一週間、朝から晩まで英語漬けの日々を送る積もりだった。しかし、現実には一日、2、3レッスンが精々だった。本来一週間で使いきるはずのチケットはあまり、その後、何回かは通ったものの、結局、一部のチケットは無駄にしてしまった。中途解約してもお金は戻ってこないシステムになっており、僕は諦めるしかなかった。
この短い“NOVA体験”の印象であるが、もの凄いシステムを作り上げたな、というのが正直なところ。NOVAのシステムというのは、「取り敢えず、英語の話せるお兄ちゃん・お姉ちゃんを連れてくれば、それが立派な(?)先生となって授業ができる」というものである。レッスンはテキストを使って行われる。基本は、先生が読み生徒が読む、先生が質問し生徒が答える、というもの。この“単純繰り返しメソッド(?)”を確立したのがNOVAの偉いところ。時々文法その他、テキストに書いてないことを教えてくれる先生もいるが、多くはテキスト通りに読むだけ。あとは雑談。つまり、先生には“英語の読み書きができる”ということ以上は何も求められていないのである。資格などは関係ない。
確か、メルボルンの街角で声掛けられて暇だったから日本に来ちゃった、と言っていた20歳くらいの女性がいた。そんな彼女でもNOVAの教室に入った途端、立派な(?)先生になってしまうのである。又、噂では、生徒の女性をナンパすることしか考えていない男の先生もいると聞いた。早い話、素人の集まりなのである。勿論、中にはしっかりとした教育や経験のある先生もいらっしゃる(はず、会ったことないけど)。
「安物買いの銭失い」という言葉が思い出される。
多額の支払いをされた方もいると思うので、本件、良い教訓になった、では済まされないかもしれない。が、“円天”のような話が繰り返されるのを見るにつけ、うまい話には裏があると、まずは疑ってかかる姿勢が重要なのだと思う。