良い店を見つけた。君津にある『いわし亭』という店だ。安い、新鮮、うまい、の三拍子そろった、東京では とんとお目にかかれない店である。
銀座にいわし料理専門店があるが、『いわし亭』の値段はそこの半分もしない。刺身、塩焼き、山かけ、ぬた、南蛮漬け、つみれ、梅煮、ムニエル等々、40品近いいわしの単品料理を、ほとんど370円で出している。
僕らは刺身、納豆包み揚げ(油揚げにいわしのつみれと納豆を入れて揚げたもの)、みりんを頼んだ。ご存じの通り、いわし(鰯)は魚偏に弱いと書く、足の速い魚である。が、さすが地元、こんな新鮮ないわしは初めてだ。脂ののったいわしは最高に美味だった。
この週末、君津に一泊することになった。インターネットで夕食を食べる店を探したが、あまり情報がない。当たり前と言えば当たり前かもしれない。君津といえば新日鐵のある鉄の町。遠くからわざわざ食事に来る人はいないだろうし、観光客も多くはない。つまり、飲食店はもっぱら地元の人を相手にしており、そして地元の人は飲食店をよく知っているのである。
情報の少ない中で目を付けたのが、『和泉沢』と『いわし亭』。僕らはまず『和泉沢』に行った。高級感の漂う店構えで、おそらく新日鐵の接待に使われる店であろう。一品料理が少なく、コース主体のようだ。味は悪くないが、いかんせん飲兵衛の二人には酒のつまみが少なすぎた。
そこで、一抹の不安を感じつつも、次の店に行くことにした。『いわし亭』という名前から、大衆居酒屋、それも超が付く大衆居酒屋を連想したのである。
『いわし亭』は駅から歩いて5分ほどのところにある。ホテル千成の脇を入った裏通り、ひっそりとした通りにある。人っ子ひとりいない。お客さんいるのかな、いや、そもそもこんなところに店があるのかな、やはり不安がよぎる。
と、そのとき『いわし亭』の看板が目に入った。やれやれ、取り敢えず 開いている。正面を見た感じ、思ったより綺麗な店だった。
で、扉を開けてびっくり。なんと満席のようだ。活気のある店内。外の静けさから想像できない賑わいだった。幸い、カウンターが二席だけ空いていた。そして、我々は心行くまでいわしを堪能したのであった。
『いわし亭』で、いわしのおいしさに加え、もう一つ感動したことがある。それは厨房の中の3人の連携というか手際の良さである。揚げ物と皿洗い担当のお母さん(とおぼしき人)、煮物・汁物・サラダ等のほか 盛り付け担当の奥さん(同)、それに刺身・焼き物はじめ全体に目配りする大将。この3人の連携が素晴らしい。注文が読み上げられた後は、各自が黙々と作業をしている。満員で注文が多いため、皆、休むことなく、ひたすら作り続けている。そして、特に相談する風もないが、いつの間にか3人の連携で料理が出来て行く。まさに、あ・うんの呼吸である。こんな様子が見られるのは、カウンターに座った特権である。
もう一つ、カウンターの特権。それは作っている料理を見られること。目の前を通り過ぎる、素敵な料理たち。僕らは思わず、特大の海老フライ、金目の煮付け、それに いわしの焼きおにぎりを頼んでしまった(うっ、体重計が怖い・・・)。
アクアラインが安くなったため、思わぬ幸せに遭遇した二人だった。
銀座にいわし料理専門店があるが、『いわし亭』の値段はそこの半分もしない。刺身、塩焼き、山かけ、ぬた、南蛮漬け、つみれ、梅煮、ムニエル等々、40品近いいわしの単品料理を、ほとんど370円で出している。
僕らは刺身、納豆包み揚げ(油揚げにいわしのつみれと納豆を入れて揚げたもの)、みりんを頼んだ。ご存じの通り、いわし(鰯)は魚偏に弱いと書く、足の速い魚である。が、さすが地元、こんな新鮮ないわしは初めてだ。脂ののったいわしは最高に美味だった。
この週末、君津に一泊することになった。インターネットで夕食を食べる店を探したが、あまり情報がない。当たり前と言えば当たり前かもしれない。君津といえば新日鐵のある鉄の町。遠くからわざわざ食事に来る人はいないだろうし、観光客も多くはない。つまり、飲食店はもっぱら地元の人を相手にしており、そして地元の人は飲食店をよく知っているのである。
情報の少ない中で目を付けたのが、『和泉沢』と『いわし亭』。僕らはまず『和泉沢』に行った。高級感の漂う店構えで、おそらく新日鐵の接待に使われる店であろう。一品料理が少なく、コース主体のようだ。味は悪くないが、いかんせん飲兵衛の二人には酒のつまみが少なすぎた。
そこで、一抹の不安を感じつつも、次の店に行くことにした。『いわし亭』という名前から、大衆居酒屋、それも超が付く大衆居酒屋を連想したのである。
『いわし亭』は駅から歩いて5分ほどのところにある。ホテル千成の脇を入った裏通り、ひっそりとした通りにある。人っ子ひとりいない。お客さんいるのかな、いや、そもそもこんなところに店があるのかな、やはり不安がよぎる。
と、そのとき『いわし亭』の看板が目に入った。やれやれ、取り敢えず 開いている。正面を見た感じ、思ったより綺麗な店だった。
で、扉を開けてびっくり。なんと満席のようだ。活気のある店内。外の静けさから想像できない賑わいだった。幸い、カウンターが二席だけ空いていた。そして、我々は心行くまでいわしを堪能したのであった。
『いわし亭』で、いわしのおいしさに加え、もう一つ感動したことがある。それは厨房の中の3人の連携というか手際の良さである。揚げ物と皿洗い担当のお母さん(とおぼしき人)、煮物・汁物・サラダ等のほか 盛り付け担当の奥さん(同)、それに刺身・焼き物はじめ全体に目配りする大将。この3人の連携が素晴らしい。注文が読み上げられた後は、各自が黙々と作業をしている。満員で注文が多いため、皆、休むことなく、ひたすら作り続けている。そして、特に相談する風もないが、いつの間にか3人の連携で料理が出来て行く。まさに、あ・うんの呼吸である。こんな様子が見られるのは、カウンターに座った特権である。
もう一つ、カウンターの特権。それは作っている料理を見られること。目の前を通り過ぎる、素敵な料理たち。僕らは思わず、特大の海老フライ、金目の煮付け、それに いわしの焼きおにぎりを頼んでしまった(うっ、体重計が怖い・・・)。
アクアラインが安くなったため、思わぬ幸せに遭遇した二人だった。