縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

“若いか、お金があるか” ~ 両方ない人へのエール

2008-12-19 23:25:28 | 最近思うこと
 「お金はなくても、若いうちはまだいいわよ。ところが、年をとったら、だめ。是非とも、お金がいるのよ、年をとったら。年をとって、お金がないほどみじめなものはないんだから。とにかく、どっちかでなくちゃあ ― 若いか、でなきゃ、お金があるか ― どっちかよ。若くもない、お金もない ― ないないづいくしじゃ、すまないの。」(テネシー・ウィリアムズ『やけたトタン屋根の上の猫』、新潮文庫、田島博訳)

 冒頭から長い引用で申し訳ない。実は、最近、生活に張りがなく、閉塞感というか、漠とした不安を感じることが多い。心から喜んだり、感動することが少なくなった気がしてしょうがない。

 リーマン・ショック後の世界経済の急速かつ大幅な悪化、更には「百年に一度の不況」と言いつつ何ら有効な対策を打ち出せないどこかの首相、そして雇用不安。再び底の見えない不況に入ろうとしている我が国の状況のせいかもしれないし、あるいはごく個人的な理由、仕事面で新しいことや困難なことにチャレンジする状況に足元ないせいかもしれない。それとも、単に冬のボーナスが厳しかったからだろうか。はたまた、単に年をとっただけのことかもしれない。

 などと取りとめもなく考えていた時、ふと、冒頭の「若いか、お金があるか、どっちかでなきゃ」というくだりを思い出したのである。

 もう手元に本がないので正確なところはわからない。つまり、誰が、どういった場面でこのセリフを言ったのかはわからない。
 が、確かに自分自身のことを考えても、若い時はお金がなくても楽しかった。貧乏であってもみじめではなかったし、それなりに夢はあった。さしたる根拠はないが、明日は今日より良い日と何の疑いもなく思っていた。
 今、アラフォーとアラフィフの境目となった今、もはや若いとは言えない。お金があるかといえば、まあ、なくはない。もっともそれは働いているからであり、仕事を辞めても暮らして行けるような資産、蓄えなど毛頭ない。

 ぎりぎり合格、優・良・可・不可の可だろうか、“若いか、お金があるか”という問いに答えるとすれば。

 またスペイン語の勉強を始めた。といっても初歩の初歩、入門編である。3年前に買い、10ページ足らずで挫折したテキストを引っ張り出して来たのである。(ついでに腕立て伏せも始めました。)
 人生、とうに折り返し地点は過ぎた。が、まだかなり残っているはずだ。若くもないし、お金もそれほどないが、何か新しいことをやらねば、と思った。

不動産不況の中、何をすべきか

2008-12-07 23:32:15 | お金の話
 11月末、東証2部上場の不動産会社モリモトが民事再生法の適用を申請、事実上倒産した。これで今年の上場会社の倒産は31社となり、戦後最多の記録を更新している。年末の資金を手当てできず、更に倒産する企業が出る恐れもあり、なかなか出口の見えない、厳しい年の瀬になりそうだ。

 モリモトの社長によれば、倒産の原因は不動産市況の悪化であるが、直接のきっかけは監査法人の意見不表明だという。
 少し説明しよう。同社は11月末の資金繰りにつき、銀行から支援の確約を得ていた。ところが、監査法人は、同社が10月に予定していた賃貸マンションの売却に失敗し資金繰りが悪化したことを問題視し、銀行から来年9月までの資金援助の保証を得られなければ、第2四半期決算に対する監査意見を表明できないと主張。こうした状況の中で銀行が来年の資金援助を保証するはずもなく、遂に民事再生法の適用を申請するに至ったというのである。

 倒産した会社の社長の話なので多少割り引いて聞いた方が良いだろう。もし資金繰りだけの問題であれば監査法人は継続企業の前提に疑義があると注記すれば済むと思う。それが監査意見を表明できないというのは、厳しい事業環境の下、売上の計上や費用の認識など、同社には他に決算をできない理由があったのではないだろうか。いずれにしろ、監査法人の対応が全般に厳しくなっていることは事実であろうが。

 このモリモトの件に限らず、不動産会社や建設会社が数多く倒産する、それも黒字なのに資金繰りが付かず倒産する企業まで出るのを見ると、政府の無策を感じざるを得ない。
 自らの選挙のことしか考えず、やれ2兆円の定額給付金を行うとか、道路特定財源は一般財源化しようがやっぱり「道路」に回すとか、正直、そんなことを言っている場合ではない。

 例えば、定額給付金2兆円と道路特定財源1兆円で計3兆円の不動産買取ファンドを作ってはどうだろう。マンションの売値の平均が 4,000万円とし、それを75%、3,000万円で買い取るとすれば、3兆円で10万戸買い取ることができる。今年の首都圏のマンション販売戸数は49千戸、関西圏は26千戸程度と見込まれており、10万戸あれば十分お釣りがくる。
 買い取ったマンションは、賃貸物件(公営住宅、URや住宅供給公社など)や公務員宿舎として利用すれば良い(そして空いた公務員宿舎は売却)。又、市況の回復を待って売却すれば、却って利益が出るかもしれない。
 取得額を抑えるには不動産会社に入札させる手もある。販売価格に対するディスカウント率で買い取り物件を決めるのである。これは本当に資金の欲しい会社を選別するのにも良いかも知ない。
 
 足元の物件を処分できれば、多くの不動産会社は一息付けるだろう。建設会社も不動産会社から無事資金を回収できる。もっとも、これはあくまで対症療法に過ぎず、他の景気刺激策、住宅取得促進策が必要であることは言うまでもない。

 しかし、政治家の先生にこんなことを言っても、おそらく相手にされないだろう。なぜなら、マンション不況は大都市圏の問題だからである。地方で大規模なマンション開発が進んでいるとは聞かないし、元々地方はマンションより戸建が多い。そんなわけで政治家の先生にとっては、東京の不動産会社がつぶれるよりも、地元建設会社が受注する公共事業の減る方が大問題なのである。
 が、それで本当に良いのだろうか。日本経済全体が冷え込み内需が更に落ち込めば、当然、地方経済にも大きな影響がある。又、公共事業が減少する中、地方の建設会社の中には活路を大都市圏の民間建築に求めている先も多い。

 先生、天に唾している気が・・・・。