8月の終わり、盲導犬がフォークのような鋭利なもので刺された事件が話題になった。目の不自由な方の支えとなっている盲導犬を刺す、それも無抵抗な盲導犬を刺す。僕もそうだが、なんて酷い話だろう、そんな卑劣な犯人は断じて許せないと、強い憤りを感じた方が多いと思う。
しかし、先日インターネットで知ったが、獣医さんの間では、あれは皮膚炎ではないか、あるいは前日などに他の犬に咬まれた傷ではないかとの意見が強いらしい。少なくともフォークなどで刺されたばかりの傷には見えないと言うのである。
確かに、電車内や駅のエスカレーターなど衆人環視の下、犬の服をめくって、結構な力で刺している犯人を目撃した人がいないことや、盲導犬が吠えることもなく、いつもと変わらぬ様子であったことも、それであれば合点がいく。それに、その方が日本人というか日本の社会がそこまで酷くなかった、病んでいなかったと思えて良いのだが。
ところで、実際に盲導犬を見たことのある方は意外に少ないのではないだろうか。そう、日本に盲導犬は少ない。全国でわずか1,000頭しかいないのである。
世界の国で盲導犬が一番多いのはアメリカで8,000頭。次がイギリスで5,000頭。普及率をみると、最も高いイギリスは人口100万人に対し盲導犬80頭であるが、日本は100万人あたり8頭とその1/10にすぎない。
この差は文化の違いが大きい。欧米では大型犬であっても家の中で飼うことが多いが、日本では小型犬がせいぜい。犬を家族と考えるかペットと考えるかという違いに加え、家が狭い、土足厳禁、畳の部屋がある等我が国固有の事情も影響している。
もう一つ、盲導犬が少ない、普及率が低い理由として、我が国の盲導犬の供給数が少ないことがある。おおよそ年間150頭しか提供されていない。しかも、そのうち100頭近くはリプレイス、つまり引退した盲導犬の後任である(因みに、我が国の盲導犬のほとんどはラブラドール・レトリーバーという犬種で、盲導犬としての実働は2才から10才までの8年である)。よって、新たに提供される盲導犬は年間50頭程度に過ぎない。これでは盲導犬はなかなか増えない。
以前『どうぶつ奇想天外!』というテレビ番組があり、“パピーウォーカー”という盲導犬の仔犬飼育ボランティアや盲導犬飼育センターの話をよく取り上げていた。パピーウォーカーの方々は、すぐに別れがやって来るにも拘らず、本当に仔犬を愛し、可愛がって育て、仔犬を引き継いだセンターの方々も愛情を持ち、かつ熱心に訓練されていた。しかし、悲しいかな、人々の善意に頼るだけでは盲導犬は増えないのである。では、盲導犬を増やすために何をすれば良いのだろう。
まず、盲導犬育成の歩留りを上げること。日本では訓練した犬のうち盲導犬になれるのは3割程度だという。盲導犬としての適性は遺伝による所が大きいものの、我が国の盲導犬はすべて去勢・避妊されており、その遺伝子を残すことができないからである。精子や卵子の凍結保存や最近話題の代理出産など、何か技術的な工夫はできないのだろうか。この問題をクリアーすれば盲導犬育成の歩留りは確実に高まる。
もう一つはコストの問題。盲導犬1頭を育てるのに3百万円の費用(除く人件費)が掛かると言われる。が、日本盲導犬協会のデータを見る限りではもっと高い。平成25年度の収入931百万円に対し、新たに提供した盲導犬の数は41頭。よって盲導犬1頭当たり23百万円掛けている計算になる。上述の歩留りの問題や啓蒙活動その他いろいろ必要なのだろうが、それにしても高い。寄付をするにも、そのお金がどこに使われるのか心配になってしまう。他の団体も似たり寄ったりだと思うが、もっと運営を効率化して欲しい。さもないと、盲導犬ロボットを作った方が安い、盲導犬はもう要らないといった話になってしまうのではないだろうか。
しかし、先日インターネットで知ったが、獣医さんの間では、あれは皮膚炎ではないか、あるいは前日などに他の犬に咬まれた傷ではないかとの意見が強いらしい。少なくともフォークなどで刺されたばかりの傷には見えないと言うのである。
確かに、電車内や駅のエスカレーターなど衆人環視の下、犬の服をめくって、結構な力で刺している犯人を目撃した人がいないことや、盲導犬が吠えることもなく、いつもと変わらぬ様子であったことも、それであれば合点がいく。それに、その方が日本人というか日本の社会がそこまで酷くなかった、病んでいなかったと思えて良いのだが。
ところで、実際に盲導犬を見たことのある方は意外に少ないのではないだろうか。そう、日本に盲導犬は少ない。全国でわずか1,000頭しかいないのである。
世界の国で盲導犬が一番多いのはアメリカで8,000頭。次がイギリスで5,000頭。普及率をみると、最も高いイギリスは人口100万人に対し盲導犬80頭であるが、日本は100万人あたり8頭とその1/10にすぎない。
この差は文化の違いが大きい。欧米では大型犬であっても家の中で飼うことが多いが、日本では小型犬がせいぜい。犬を家族と考えるかペットと考えるかという違いに加え、家が狭い、土足厳禁、畳の部屋がある等我が国固有の事情も影響している。
もう一つ、盲導犬が少ない、普及率が低い理由として、我が国の盲導犬の供給数が少ないことがある。おおよそ年間150頭しか提供されていない。しかも、そのうち100頭近くはリプレイス、つまり引退した盲導犬の後任である(因みに、我が国の盲導犬のほとんどはラブラドール・レトリーバーという犬種で、盲導犬としての実働は2才から10才までの8年である)。よって、新たに提供される盲導犬は年間50頭程度に過ぎない。これでは盲導犬はなかなか増えない。
以前『どうぶつ奇想天外!』というテレビ番組があり、“パピーウォーカー”という盲導犬の仔犬飼育ボランティアや盲導犬飼育センターの話をよく取り上げていた。パピーウォーカーの方々は、すぐに別れがやって来るにも拘らず、本当に仔犬を愛し、可愛がって育て、仔犬を引き継いだセンターの方々も愛情を持ち、かつ熱心に訓練されていた。しかし、悲しいかな、人々の善意に頼るだけでは盲導犬は増えないのである。では、盲導犬を増やすために何をすれば良いのだろう。
まず、盲導犬育成の歩留りを上げること。日本では訓練した犬のうち盲導犬になれるのは3割程度だという。盲導犬としての適性は遺伝による所が大きいものの、我が国の盲導犬はすべて去勢・避妊されており、その遺伝子を残すことができないからである。精子や卵子の凍結保存や最近話題の代理出産など、何か技術的な工夫はできないのだろうか。この問題をクリアーすれば盲導犬育成の歩留りは確実に高まる。
もう一つはコストの問題。盲導犬1頭を育てるのに3百万円の費用(除く人件費)が掛かると言われる。が、日本盲導犬協会のデータを見る限りではもっと高い。平成25年度の収入931百万円に対し、新たに提供した盲導犬の数は41頭。よって盲導犬1頭当たり23百万円掛けている計算になる。上述の歩留りの問題や啓蒙活動その他いろいろ必要なのだろうが、それにしても高い。寄付をするにも、そのお金がどこに使われるのか心配になってしまう。他の団体も似たり寄ったりだと思うが、もっと運営を効率化して欲しい。さもないと、盲導犬ロボットを作った方が安い、盲導犬はもう要らないといった話になってしまうのではないだろうか。