縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

続・シンガポールでB級グルメ!

2015-11-18 01:09:11 | おいしいもの食べ隊
 シンガポールでB級グルメ!(2009.1.5) を書いてから、構想7年、現地調査5回、満を持して(?)続編を書くことにした。

 僕は、シンガポールではホテルで朝食を食べない。外食文化の盛んなシンガポール、朝からやっている、安くておいしい店がたくさんあるからだ。我が家の朝の定番は、バクテー(肉骨茶)とプロウン・ミー(蝦麺)。
 以前紹介したバクテー、中国醤油と漢方ハーブで豚のリブ肉を煮込んだものは、マレーシア式のバクテーだった。後で知ったが、シンガポールで主流の味は白コショウとニンニク。白っぽいスパイシーなスープで豚のリブ肉を煮込んだものである。ご飯や揚げパンをスープに浸して食べるともう立派な朝ごはん。スープはいくらでも継ぎ足してくれるし、結構お腹いっぱいになる。『黄亜細肉骨茶餐室』や『発起人肉骨茶餐館』が有名だが、バクテーはどこで食べても大概旨い。

 プロウン・ミーのお気に入りは『ジャラン・サルタン・プロウン・ミー』。たっぷりのエビ(ブラックタイガーの尾頭付き)を使った濃厚なスープがたまらない。プロウン・ミーはスープ麺で食べるのが普通のようだが、ここでは麺をドライで食べ、スープは別にもらう人がほとんど。ここのスープを麺やモヤシで汚してはもったいないと、僕もそれに倣っている。
 実は、シンガポールに行った回数より、この店に行った回数の方が多い。つまり、一度の滞在で2回食べに行ったことがある。場所はMRT東西線カラン駅のすぐそば。僕はこの店に通いやすいようにと ez-link card(日本でいうSuica)まで買っている。気合の入り方がお分かり頂けるだろう。

 そして、お昼。お昼はやっぱりチキンライス。前回も書いたが、ケチャップライスではなく、鶏をゆでて、その汁でご飯を炊いたものである。このライスが本当に旨い。ゆでた鶏はチリソースや生姜ソースで食べるが、勿論、鶏も旨い。
 チキンライスは、鶏のゆで方というか冷まし方で海南式と広東式に分かれる。海南式はゆでた鶏をそのまま吊るして冷ます。一方の広東式はゆでた鶏を冷水で一気に冷やす。広東式の方が上品な感じ、鶏肉がつるんとした舌触りである。前者の代表がマックスウェル・フードセンターの『天天海南鶏飯』で、後者が『文東記』。好みの問題だが、僕は『天天』の方が好きだ。値段も『天天』の方がずっと安い。

 まだまだフライド・ホッケン・ミー、ラクサ、キャロット・ケーキなど、安くておいしいローカルフードがたくさんある。ホーカーズ(注:シンガポール流フードコート)で自分の好きな料理を見つけ出すのも、シンガポールでB級グルメを味わう一つの醍醐味といえよう。

 ところで、B級グルメの定義といえば、安くて、庶民的でありながら、おいしい料理。前回ブログを書いた2009年の初め、シンガポールの食事は確かに安かった。が、今はあまりお得感を感じない。いや、かえって日本より高いかもしれない。
 シンガポールは、デフレの日本とは違い、景気が良いので物価が上がっている。しかし、それ以上に円安が大きい。60円台前半だった1シンガポール・ドルが、今では80円台半ば。円ベースの価格を考えると、為替だけで 4割近く上がった計算になる。もはや日本の庶民がB級グルメと呼ぶにはちょっと無理が。う~ん、この続編、構想7年のわりに企画倒れか・・・。




 

映画『エール!』にエールを!

2015-11-10 20:00:11 | 芸術をひとかけら
 「フランス映画っぽくないな。田舎を舞台にしたアメリカの青春映画のようだ。」というのが、この映画を観た僕の印象である。

 フランス映画というと、小難しい、ストーリーがない、結末がよくわからない、屈折した男女の愛を表現、そしてお洒落、というのが僕のイメージ。ネガティブなものが多いが、これは学生時代にヌーヴェルヴァーグの映画をよく観たせいだ。「なんかわけがわからないな。」と思いつつも、いっぱしの映画通を気取っていた僕は、義務感に駆られ、ゴダール、トリフォー、アラン・レネなどヌーヴェルヴァーグの作品を何本も観た。

 が、久々に観たフランス映画、『エール!』は、そんな僕のイメージとはまったく違う。わかりやすく、歌が素晴らしい(特に最後の「青春の翼」)、素直に楽しめる良い映画だった。歌っているのは主人公ポーラを演じるルアンヌ・エメラ。彼女はフランスの人気オーディション番組『The Voice: la plus belle voix』で歌声を絶賛され、2013年に歌手としてデビューした。翌2014年、この映画で役者デビュー。まだあどけなさの残る18歳である。
 強いて僕のフランス映画のイメージとの共通点を挙げれば、伏線を張ったかにみえる出来事が実は何の伏線でもなかったというのがいくつかあり(例えば、父親の村長選出馬とか)、それがフランス映画の伝統(?)“ストーリーのなさ”を継承しているといった程度だろうか。

 さて、映画のあらすじであるが、舞台はフランスの片田舎で酪農を営むベリエ一家。夫婦に子供2人の4人家族。いつも笑いの絶えない、明るく、仲の良い家族である。ただ、この一家、高校生の長女ポーラ以外は皆耳が聴こえない。ポーラは家族みんなの耳になり、口になり、村の中での家族のコミュニケーションを支えている。
 そんな一家に青天の霹靂が。ポーラの歌の才能に気付いた音楽教師が、彼女にパリの音楽学校のオーディションを受けるよう勧めたのである。ポーラは喜んだが、彼女の歌声を聴けず、その才能がわからない家族は反対する。勿論、家族にはポーラを失って生活できるかとの不安もある。それが痛いほどわかるポーラは夢を諦めようとするが・・・。
 あとは観てのお楽しみというか、『エール!』の場合は、聴いてのお楽しみも。

 この映画のテーマは、家族の絆であり、子供の自立・巣立ちである。『エール!』という題名の通り(注:もっとも原題は『ベリエ一家』であるが)、家族のことを想うポーラの夢を、家族が応援する、エールを送る。そして、それを観ている僕らも頑張らなきゃと励まされた気がする、そんな映画である。
 僕がこの映画を観に行ったのは11月1日。たまたま“映画の日”で入場料が 1,100円だった。700円の割引は大きい。ランチ1食分。映画館からエールを送られた気分だ。

南沙問題は日本に関係ない?

2015-11-08 00:31:11 | 最近思うこと
 自民党の野田前総務会長が、南沙諸島の問題は日本に関係ないと発言したそうだ。僕はそのテレビ番組を見ていないので、前後の脈絡や彼女の意図するところはよくわからない。ようやく関係改善の兆しが見えてきた中国のことを慮ったものか、あるいは、自衛隊の南沙諸島派遣が取り沙汰され安保法案を巡る騒ぎが再燃するのは避けたいとの思いか等、その真意は定かではない。
 しかし、たとえ相手が中国であろうと法に反することは悪いときっちり言うべきだと僕は思う。政治家として筋を通す必要がある。
 また、わが国の経済や私たちの生活、さらにはわが国の安全保障を考えたとき、本当に南沙問題は日本に無関係と言えるのだろうか。残念ながらマスコミの報道でこの観点からの指摘を見ることは少ない。マスコミでは、南沙問題は元々中国とフィリピン、ベトナムとの領有権の問題、そこに中国による軍事利用を嫌うアメリカが加わってきたと捉えられている気がする。そう、外国の問題、外国にも尖閣と同じ問題があるといった感じ。国民の関心もあまり高くはない。こうした状況が野田前総務会長の発言の背景にあると思う。

 南沙諸島は南シナ海南部にあり、20あまりの島、岩礁、砂州からなる。元々人が住んでいなかったため、その領有権は曖昧。ベトナムを植民地としたフランスが実効支配を始め、太平洋戦争中は日本が支配した。戦後、中華民国(台湾)、ベトナム、フィリピンが自国に近い島を実効支配し、各々領有権を主張した。そして、最後に出てきたのが中国。1953年、南シナ海の地図上に勝手に「九段線」なる九つの破線を引き、しまいにはその内側にある海域はすべて中国の領域だと主張し始めた。
 遅れてきた中国は、軍事力により南シナ海での勢力を拡大する。1974年、中国は当時の南ベトナムと戦い西沙諸島を手中に収め、1988年のスプラトリー諸島海戦でベトナムを破り、いくつかの岩礁を実効支配した。今埋め立てや滑走路建設で話題になっているのは、いずれもこの海戦で手に入れた岩礁である。

 さて、冒頭で「法に反する」と言ったのは、一つは中国が主張する「九段線」に何ら法的根拠がないことであり、もう一つは、国連海洋法条約で領海も排他的経済水域も有さないとされる、満潮時に沈む岩礁や常に沈んでいる岩礁までも、中国が埋め立てにより人工島とし領海等を主張していることである。
 南沙問題のわが国への影響であるが、南シナ海はわが国のエネルギー資源輸送の大動脈である。日本は原油輸入の8割を中東に依存しており、その9割がマラッカ海峡から南シナ海を経て運ばれている。南シナ海の航行の自由、安全が脅かされたとき、日本経済や私たちの生活への影響は大きい。もっとも、これはタンカーがロンボク海峡(あのバリ島の横)からフィリピンの東側を通り、南シナ海を迂回できた場合の話。それができなかった場合の影響は計り知れない。
 中国は「九段線」から台湾、尖閣、沖縄、九州までを「第一列島線」とし、その海域の制海権を握ることを目標に掲げている。次の段階として、中国は、パプアニューギニア、グアム・サイパン、小笠原、伊豆諸島にかけてを「第二列島線」とし、海軍を展開する計画である。中国がこの段階に入っていたとすれば、最悪、タンカーは南シナ海を迂回するため遥かオーストラリアの南を通り太平洋を北上せざるを得ないかもしれない。このとき、運送費や保険料の大幅なアップは勿論、タンカーそのものの確保が課題になる。輸送日数が大幅に増えるからである。しかしタンカーの造船や大型化は一朝一夕にはできない。恐ろしい話であるが、日本に必要な量の原油を運べないことも十分考えられるのである。

 これでも南沙問題は日本に関係ないと言い切れるのだろうか。