縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

PETボトルはどこへ消えた?

2006-03-14 23:40:00 | 環境を考える
 最近は大抵のスーパーにPETボトルの回収箱が置いてある。市町村の収集も進み、おかげでPETボトルの回収率は高まり、今では40%を越す水準にまで達した。ところが、PETボトルの再商品化事業者に渡るPETの量は年々減少している。PETボトルの生産量50万トン強に対し、2004年に再商品化事業者に渡った量は19万トン、2005年は18万トン弱、更に2006年は14万トン強まで落ち込む見込みである。どうしてだろうか。

 PETボトルは「容器包装リサイクル法(容リ法)」に基づき再生の流れが定められている。まず市町村が使用済みPETボトルを分別収集し、異物の除去・破砕・洗浄等の前処理を行う。それを無償で日本容器包装リサイクル協会に引き渡す。一方リサイクル協会は、飲料・容器メーカーなどから再商品化のための費用を受け取り、そこから処理費を払って再商品化事業者に処理を依頼する。事業者はそれを原料として維製品、卵パック、トレイやフィルムなどを生産する。美しい流れである。にもかかわらず、なぜこの制度は機能していないのか。

 理由は市町村側のコストの問題と中国を主とする輸出マーケットの存在である。
 市町村にとってPETボトルの収集や前処理の費用負担は大きいのに、処理したボトルは無償でリサイクル協会に渡す仕組みになっている。ただ、この協会への引渡しは義務ではなく任意である。一方で資源不足に悩む中国は使用済みPETボトルへの需要が強い。そこで市町村から有償でPETボトルを買って中国に輸出する業者が出てきたのである。市町村にしても前処理費用が掛からず、それどころか売却収入を得ることができるので、タダでリサイクル協会延いては再商品化事業者に引き渡すよりずっと良い話だ。かくして再商品化事業者に渡るPETボトルの量は減少の一途を辿っているのである。

 加えて、再商品化事業者の受け取る処理費の単価が下がっている。これは需給関係というか、上述の通り協会に入るPETボトルの量が減少しているのに対し、再商品化事業者の処理能力が拡大しているからである。制度導入初期、1997年の処理費は102円/kgだったが、今では31.2円/kgと1/3以下になっている。これでは再生樹脂の価格が多少上がったところで焼け石に水だ。皆、厳しい収支状況を強いられている。
 こうした中、昨年9月にペットリバース社が民事再生法を申請するに至った。同社は帝人ファイバーとともにPET to PET、即ち、使用済みPETボトルから再度PETボトルを作る技術を持った会社である。一応再生の目処は付いたようだが、本当に残念な話である。

 思うのだが、PETボトルの輸出を割当制にしてはどうだろうか。つまり、自らPETボトルの再商品化を行っている事業者にのみ、その処理量に応じ一定割合のPETボトルの輸出を認めるといった制度である。勿論実際に輸出するのではなく、その権利を売買する形でも良い。
 これであれば市町村の収支に大きな影響はないだろうし、再商品化事業者も自らの原料確保に加え、輸出で一定の収益を確保できるだろう。現在中国などへ使用済みPETボトルを輸出している業者はダメージを受けるが、そもそも彼らはリサイクル制度の不備を突いたわけであり、ルールの整備に文句は言えないはずだ。

"マイクロ水力発電"へのお誘い

2006-03-07 23:59:14 | 環境を考える
 全国の上水道施設でマイクロ水力発電ができないかと考えている。次のようなエスコ型のビジネスモデルである。
  ①設備は事業者側が設置
  ②施設側は使用電力に応じた電気料金を支払う
  ③環境ファンドにより低利で広く一般より資金を調達

 以下、簡単に説明する。
 まず、なぜ対象が上水道施設か。これは水力発電に必要な水量と落差の確保が容易であり、かつ土木工事が不要で工事費が安く済むからである。更に、地方自治体であれば採算面だけでなく、環境面から導入のインセンティブが働くと思うからである。こちらの方が理由としては大きい。
 なぜなら、冒頭でビジネスモデルと書いたが、マイクロ水力発電は出力が100kW程度と小さく、これではなかなかビジネスにならないのである。したがって、CO2削減であるとか、地域住民への環境問題に関する啓蒙であるとか、金銭面のメリット以外を評価してくれるであろう自治体をターゲットに考えた。

 自治体の場合、新規の投資になると予算措置の問題が絡むので、設備費がかからないエスコとした。原則、発電した電力はすべて自家消費とし、その電力料金を事業者に支払う。おそらく電力会社に電力を売る場合は5、6円/kWくらいにしかならないだろうから全量自家消費が望ましい。現在10円/kW以上の高い電力料金を払っている先であれば価格的にもメリットを出せるのではと思う。

 次に資金調達方法について。資金はネット証券を使い、広く一般から集める。環境のためということで金利は国債並みに設定し、いわば人々の善意というか、環境への配慮に期待したい。また、ネット証券にはアイドル・ファンドを手掛けている会社もあり、それよりは環境の方が良いと評価してくれるであろう。

 もう一つ問題がある。設備コストである。現在、出力100kWの発電設備のコストは70、80百万円と高い。多くの自治体が上水道施設でのマイクロ水力発電を導入し、設備を量産化できるようになれば価格を大きく下げることができる。そうなればマイクロ水力発電がビジネスとして成り立つ可能性が高まるのだが。

 私の考える大まかなスキームは以上の通りである。今の仕事をやりながらこの事業も、という訳には行かない。リタイア後の楽しみに取っておくのも良いが、地方自治体の方、あるいはNPOの方、地球環境にやさしいマイクロ水力発電、是非検討して頂けないだろうか。

備前グリーンエネルギーの新聞記事について

2006-02-28 21:43:21 | 環境を考える
 まずはお詫び。今日はマイクロ水力発電のことを書く予定だったが、急遽変更し、2月14日に紹介した備前市での自然エネルギーに関するプロジェクトの続報を書く。というのも今日の日経産業新聞にこのプロジェクトの記事が出ていたからだ。
 実はマイクロ水力の事業化案を考えており、先にこの仕組みを見て頂いた方がわかりやすいのでは、という気持ちもある。詳細は来週に回すとして、早速記事を紹介しよう。


備前グリーンエネルギーが市民ファンド――太陽熱やバイオマス、環境事業に投資(2006/02/28付 日経産業新聞)

 岡山県備前市の行政や民間が主体の備前グリーンエネルギー(備前市、山口勝洋社長)は、市民出資のファンドを立ち上げ、同市で環境事業に投資する事業を始める。一般から四億九千万円を募り、国の交付金と合わせて太陽熱やバイオマス(生物資源)による熱供給などの事業を展開する。同様の事業は長野県飯田市に次いで二例目。
 備前グリーンエネルギーが備前市内で、太陽熱温水システムや木材燃料のボイラーといった機器を公共施設や住宅に設置。利用者と十―十五年の契約を結んでサービスを提供する。十五年間で約十万トンの二酸化炭素(CO2)削減を見込む。総事業費は十億五千万円で、このうち四億九千万円をファンドで、残りを国の交付金で賄う。
 ファンドは三月三日―五月三十一日まで全国から募る。期間十年のタイプが一口十万円で利回り二・一%、十五年のタイプが五十万円で二・六%。元本は保証しない。「出資により環境負荷の低減に貢献できる」(同社)としている。
 備前グリーンエネルギーは備前市や商工会、市民団体などでつくる「備前みどりのまほろば協議会」(有吉年夫会長)が七割、自然エネルギー・コム(東京・中野、河合弘之社長)が三割出資し昨年十二月に設立した。特定非営利活動法人(NPO法人)の環境エネルギー政策研究所(東京・中野)が支援している。

以上が記事である。

 私が気になったのは、真ん中あたりにある「元本は保証しない」という一文である。確かにそれは事実である。しかし、前後の文脈からは、預金よりは高い金利を払うし、環境のためになる事業に出資できるのだから、元本を保証しなくても構いませんよね、と言っている感じがしてしまう。私があまのじゃくなのだろうか。

 投資なので元本保証がないのは当たり前である。だが、このファンドの安全性についてのコメントがあっても良いのではないか。ファンドの資金で機器を購入し貸し出すようだが、基本的には利用者から手数料を徴収し充分元利払いの出来る組み立てになっているはずだ。ファンドの5割以上は国の交付金で元利払いの必要はないのだからなおさらである。リスクとしては手数料の支払いが滞る、機器に所期の性能が出ない、地震で機器が全滅、等だろうか。
 しかし、初めの手数料の問題は公共施設も利用者、個人にしても皆の支払いが一斉に滞るとは思えない等からリスクは低い。次の機器の性能についてはメーカーに保証させれば良いし、最後の地震についても保険でカバーできる。また、もし利用者が少なかったとすれば資金が預金として残るだけである。いずれにしろ、このファンドの安全性は高い。もう少し親切な記事をお願いしたい。

 ただ、ファンド自体には一つ不満がある。それは金額だ。市民ファンド、草の根ファンドなら、一口10万円や50万円ではなく、1万円にしてはどうか。地球にやさしいのならば、私の懐にもやさしくあって欲しい(貧乏なのは私だけ?)。


再生可能エネルギーとしての水力発電

2006-02-21 23:09:20 | 環境を考える
 鈴木京香と田村正和の戦いは鈴木京香の勝ちかと思っていたが、最近、東京ガスがおもしろい。信長やガリレオを出したり、保守的な東京ガスのイメージを払拭するCMを流している。中でも僕が気に入っているのは、海岸で女性が「私、結婚するの。黙っててごめんね」と言ったのに対し、男性が「俺も黙ってたんだけど、家で電気作ってるんだ。黙っててごめんな」といった、あのCMだ。この唐突というか、噛み合っていない、ちょっとシュールな会話がいい(ショックのあまり男性は正気を失い、とんでもないことを話し出したという想定なのだろうか?)。

 これは“オール電化 vs. ガスのコージェネによるマイホーム発電”という対決の図式だが、ところで皆さん、もっと環境にやさしいエネルギーのことを忘れていないだろうか?
 今、新エネルギーとして太陽光、風力それにバイオマスが大きな脚光を浴びているが、私は水力に注目したい。

 水力発電には大きなダムが必要であり、自然環境を破壊するは、ダム湖のせいで沈む村が出てくるは、いいことがない、と否定的な考えしかないあなた、それはまったく違う。水力発電は発電中にCO2を発生しないクリーンなエネルギーである。また、ダムが必須というわけではなく、渓流水、農業用水や上下水道施設の水でも水力発電は可能である。発電量は水の流量と落差によって決まるので、極端な話、発電量を気にしなければ水洗トイレでも発電はできる。

 “マイクロ水力発電”という言葉をお聞きになったことはあるだろうか。出力100kW以下の小規模な水力発電のことである。ヨーロッパでは多いが日本ではまだまだ少ない。次回はこのマイクロ水力発電について詳しく見ることにしたい。

備前は備前焼だけじゃない~環境にやさしいエネルギーでまちづくり

2006-02-14 21:12:39 | 環境を考える
 やきものが好きだ。中でも備前焼はお気に入りの一つ。素朴だけれども、暖かく、そして力強い。家には備前特有の窯変、牡丹餅のある皿を飾っている。が、今日の本題は別の話。備前みどりのまほろば協議会 http://blog.drecom.jp/bizen-midori/の話だ。

 備前市は平成17年度の環境省「環境と経済の好循環のまちモデル事業(平成のまほろば事業)」のモデル都市に選ばれた。全国で10ヶ所あるうちの一つだそうだ。市民、事業者、行政が協力し、地球温暖化防止のために行動しようというプロジェクトである。
 自然エネルギーの生産と効率的な節約というテーマの下、「炎と陽と倹」という三つの事業が行われている。「炎」は備前焼に欠かせない薪を使ったストーブ、即ち木質バイオマスの利用。「陽」は太陽熱の利用。最後の「倹」は省エネ、エスコである。なんでも倹は閑谷学校の建学精神の一つらしい。

 この協議会の存在はある展示会で知ったのだが、おもしろいなと思ったのは、広くボランティアの参加を募っているのに加え、市民に出資を求めている点である。出資金は環境にやさしいエネルギー設備を導入する事業に使われる。人間、不思議なもので、身銭を切ったものには関心が向く。多くの日本人は、国民の義務というものの、強制的というか半ば自動的に取られる税金の使い道には関心が薄い。環境問題を考えるこの事業が市民の間に根付くことを期待してやまない。環境問題は、ゴミを減らす、きちんとゴミを分別するなど、まずは身近な問題として捉えることが必要であろう。

 因みに、明日は水曜日、燃えるゴミの日だ。わが家でゴミ出しは私の仕事。出勤前の貴重な時間をゴミに取られ、地下鉄の駅まで走ることもしばしば。そう、やはり環境問題は身近な切迫した問題なのである。