前回の移住して“健康的”に暮らせるかの話(「健康で文化的なそこそこの生活? その1」)に続き、今回は“文化的”な生活ができるかという話。
東京で当たり前のようにできたことが、田舎ではできないことが多い。田舎では選択肢がガクッと減ったり、そもそも存在しないこともある。
例えば、映画館。別府に映画館は2つしかない。一つは以前ブログに書いた別府ブルーバード劇場(2018年10月20日「別府ブルーバード劇場に行こう!」)。そしてもう一つは成人映画館。今時珍しいが、さすがは温泉地である。
もっともお隣の大分市に行けば(電車で15分程度)、シネコンが3つあるし、ミニシアターも2つある。このため大手映画会社のロードショーを見るには問題ないし、ミニシアター系の映画も、時期が遅れることは多いが、それなりに見ることはできる。因みに最近見た映画『猫と私と、もう1人のネコ』は東京での封切りは3月22日だったが、別府ブルーバードは7月26日からと4ヶ月遅れ。これが、地域で多少の差はあるにしろ、地方都市の映画館事情である。
続いて、私の趣味で申し訳ないが、クラシック音楽の話。
別府は勿論、大分県を見てもプロのオーケストラはない。日本オーケストラ連盟には27のオーケストラが加盟しているが、九州は九州交響楽団(福岡市)だけ。その九響だが、大分県には数年に一度しか来ない。福岡市を中心とした福岡都市圏の人口は260万人というが、おそらく福岡市でも演奏会の集客は厳しいだろう。まして県全体で100万人しかいない大分など論外である。よっぽどのスポンサーが付くか、ベートーベンの第9など万人受けするプログラムでない限り、演奏会をやっても人が集まらずペイしない。これはNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団のいわゆるオーケストラ御三家でも同じ。哀しいかな、これがオーケストラを巡る地方の現実である。地方で生のオーケストラの音を聴くのは極めて難しい。
ところが、唯一、こんな大分に毎年やって来るオーケストラがある。日本フィルハーモニー交響楽団である。なんと1975年に九州公演を開始し来年で50周年。今年は2週間で福岡から鹿児島まで9都市を回っている。
知らなかったが、日フィルの九州公演は地元企業の支援のほか、公演を行う各都市の市民の方がボランティアとして協力している。地元の方が演奏会の企画・運営にも携わる等、地方ならではというか、東京では見られないユニークな体制となっている。地元が資金的にも人的にも支援しているのである。だからこそ地方での公演が可能なのだろう。おかげで年1回は確実にオーケストラの生の演奏を聴くことができる。クラシック・ファンは高齢者が多く将来に一抹の不安はあるが、これからもずっと続いて欲しい。
そして、オーケストラではないが、別府には世界に誇るクラシックのイベントがある。皆さまご存じ、『別府アルゲリッチ音楽祭』である。申し訳ないが、話が長くなりそうなのでこれは次回に。
東京で当たり前のようにできたことが、田舎ではできないことが多い。田舎では選択肢がガクッと減ったり、そもそも存在しないこともある。
例えば、映画館。別府に映画館は2つしかない。一つは以前ブログに書いた別府ブルーバード劇場(2018年10月20日「別府ブルーバード劇場に行こう!」)。そしてもう一つは成人映画館。今時珍しいが、さすがは温泉地である。
もっともお隣の大分市に行けば(電車で15分程度)、シネコンが3つあるし、ミニシアターも2つある。このため大手映画会社のロードショーを見るには問題ないし、ミニシアター系の映画も、時期が遅れることは多いが、それなりに見ることはできる。因みに最近見た映画『猫と私と、もう1人のネコ』は東京での封切りは3月22日だったが、別府ブルーバードは7月26日からと4ヶ月遅れ。これが、地域で多少の差はあるにしろ、地方都市の映画館事情である。
続いて、私の趣味で申し訳ないが、クラシック音楽の話。
別府は勿論、大分県を見てもプロのオーケストラはない。日本オーケストラ連盟には27のオーケストラが加盟しているが、九州は九州交響楽団(福岡市)だけ。その九響だが、大分県には数年に一度しか来ない。福岡市を中心とした福岡都市圏の人口は260万人というが、おそらく福岡市でも演奏会の集客は厳しいだろう。まして県全体で100万人しかいない大分など論外である。よっぽどのスポンサーが付くか、ベートーベンの第9など万人受けするプログラムでない限り、演奏会をやっても人が集まらずペイしない。これはNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団のいわゆるオーケストラ御三家でも同じ。哀しいかな、これがオーケストラを巡る地方の現実である。地方で生のオーケストラの音を聴くのは極めて難しい。
ところが、唯一、こんな大分に毎年やって来るオーケストラがある。日本フィルハーモニー交響楽団である。なんと1975年に九州公演を開始し来年で50周年。今年は2週間で福岡から鹿児島まで9都市を回っている。
知らなかったが、日フィルの九州公演は地元企業の支援のほか、公演を行う各都市の市民の方がボランティアとして協力している。地元の方が演奏会の企画・運営にも携わる等、地方ならではというか、東京では見られないユニークな体制となっている。地元が資金的にも人的にも支援しているのである。だからこそ地方での公演が可能なのだろう。おかげで年1回は確実にオーケストラの生の演奏を聴くことができる。クラシック・ファンは高齢者が多く将来に一抹の不安はあるが、これからもずっと続いて欲しい。
そして、オーケストラではないが、別府には世界に誇るクラシックのイベントがある。皆さまご存じ、『別府アルゲリッチ音楽祭』である。申し訳ないが、話が長くなりそうなのでこれは次回に。