縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

ハロウィンとお菓子 ~ 地域の繋がりが希薄化する中で

2013-10-30 22:29:28 | 最近思うこと
 今日、僕の住むマンションでは一日早いハロウィン・パーティーが行われている。仮装した子供たちが、「トリック・オア・トリート」と言って、お菓子をもらいながら家々を回っている。
 たまたま通りかかった僕は、そもそもウチのマンションにこんなに子供がいたことに驚き(なにせ生活の時間帯が違うもので・・・)、そしてハロウィンが日本でも今や子供たちの身近な行事になっていることに改めて驚いた。

  
 日本ではいつからハロウィンが定着して来たのだろう。僕の若い頃(つまりン十年前)は、ハロウィンの時期にかぼちゃの飾り付けをする飲食店が少しあったくらいで、一般家庭は何もしていなかった。お盆からクリスマスまでは、行事の空白期間だったのである。ハロウィンが広まって来たのは、おそらくディズニーランドがハロウィンに力を入れ、お菓子やアパレルの会社がそれに便乗し始めた、この10年くらいの話ではないだろうか。このため年齢が30歳より上か下かで、自らのハロウィン体験、思い入れに大きな差がある気がする。
 妻が、会社の外国人社員から「あまり面識のない日本人からハロウィン・パーティーに招待されたが、日本ではそんなにハロウィンが普及しているのか?」と聞かれたと言っていた。その日本人というのは小さな子供のいる若い母親らしい。アラフォー世代以上にとってハロウィンは外国の行事に過ぎないが、アラサー世代以下にとっては既に年中行事の一つなのかもしれない。

 もっとも、ハロウィンが日本に受け容れられたのは、こうした商業主義の力以外にも理由があると思う。それは日本の文化である。一つは我が国が古来より八百万(やおよろず)の神を信奉することから、キリスト教など他の宗教に寛容である点。イスラムにクリスマスはないし、教会で結婚式を挙げる人もいないだろう。が、日本では当たり前に行われている。仏教徒でも(そもそも仏教徒という意識があるかさえ怪しいが)クリスマスを祝い、バレンタインには心ときめかせ、ハロウィンにはお菓子をもらう。
 もう一つは新しい文化、日本がクールジャパンの代表として世界に誇るコスプレ文化との融合である。仮装への抵抗は年々薄れてきているし、ハロウィンは大手を振ってコスプレを楽しめる絶好の機会なのではないだろうか。

 ところで、僕の故郷・北海道にはハロウィンと似た行事がある。北海道では、8月7日、ひと月遅れで七夕を祝うが、その晩、子供たちは浴衣を着て、提灯を持って、近所の家々をお菓子をもらって回るのである。「トリック・オア・トリート」の代わりに、「ローソク、出せ、出せよ、出さないと、かっちゃくぞ(注:引っ掻くぞ)」と歌いながら練り歩くのである。さすがに札幌では随分前から見かけないが、田舎では今も行われているだろう。この由来はよくわからないが、地域社会の繋がり、近所同士の付き合いが密であったからこそ、続いてきた行事といえよう。
 因みに我がマンションのハロウィンは事前申告制である。前もって、子供たちにお菓子をあげますと言った家しか子供は訪ねない。アメリカのように間違えて知らない家に行っても銃で撃たれることはないが、日本も物騒になっているのは事実だ。しかし子供たちが、ハロウィンで普段接触のない近所の家を回ることで、地元の人たちが新しい関係を築く一つのきっかけになるかもしれない。よし、来年はウチも子供たちにお菓子をあげよう。