やや耳も遠くなっているのかもしれない。キチンと聞けるうちに…という思いが強くなり すこし無理をして クラシックのコンサートへ行ってきた。小山実稚恵さんの弾くラフマニノフであった。なんとも荘厳で どこまでも純粋無垢な透明感。小山さんは盛岡で幼少を過ごしたらしく なんとなく温かい親近感を勝手に持ってしまう。
いつまでもアンコールの拍手は鳴りやまず 大きな会場全体が笑顔一杯になり アットホームな不思議な雰囲気となった。しばらくして 静寂がもどり 左手だけで(おそらくショパンの…)小曲を情感を込めて弾いてくれた。賢治さんの「セロ弾きのゴーシュ」のおはなしを思い出して なぜか どうしてだろうか…涙が流れた。きっと秋の気候のせいでしょう。
「末枯や人の行手の野は淋し:正岡子規」