25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

理解のしにくさ

2018年07月22日 | 文学 思想
 共和党のリンカーン大統領によって奴隷解放宣言がなされ、のちに憲法が修正されて、奴隷も法の下での自由と平等を得た。イギリスを脱出した清教徒たちは自由の天地に渡ったはずだのに、原住民の土地を奪い、殺して、白人たちがアメリカ合衆国をつくった。奴隷は牛や豚のように売買できる財産であった。ぼくらにはピンと来ないことだ。当時のアメリカは敬虔なキリスト教徒であり、イエスが死んでから1800年以上経っているのである。
 共和党を率いるリンカーンは修正13条を下院で可決されるために、議員へのロビー活動や、交渉で血のような汗をかいた。わずか2票差だった。この憲法によって黒人は普通の人間となった。それでも差別は続いた。
 
 オバマ大統領の誕生まで140年。さすがに黒人を牛や馬並みに思っていないだろうが、思っているような節があるのは映画を見るときであり、白人警察官が黒人発砲して殺したというニュースを聞くときである。

 こんな歴史を見ていると、キリスト教というのは何なんだと思う。愛と奉仕の思想はこれほどまで長い年月が必要なものなのか。医学、生物学、人類学、理化学がこれほど発展ぢたというのに、ほんの140年前、民主党でさえ、奴隷解放に反対だった。
 馬鹿馬鹿しさにもほどがある。南北戦争では北側でも60万人が死んでいる。日本の戦争史で、60万人も死ぬような戦争は日露戦争、日中、太平洋戦争くらいのものだ。白人たちの真似をしtsために、それが近代化であり、富国強兵だのと安易に信じたために、大犠牲があった。戦闘の遺伝子が濃い西洋近代国家。ほかのどの国もちゃんと点検して西洋化を図るほうがいいよ、と言いたくなる。

 日本の歴史も明治時代までは戦闘が多いわけでもなかった。戦国時代と言っても60万人が死ぬというのでみない。戦争のない平和な社会にしようと戦国時代を生き延びた徳川家康が戦闘の終止符を打った。キリスト教に染まることも儒教に染まることも、仏教に骨の髄まで染まることはなかった。神道は政治家、軍部に利用されたが、それぞれの宗教に国民は適度な距離をもっている。
 日中戦争、太平洋戦争については徹底した分析と反省がなされなければならないはずだ。意識を変えていくというのは長い年月を要するが、その年月を縮めるのは教育しかない。