エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

雨のイマージュ

2011年03月22日 | ポエム
終日雨に降りこめられた。
しとしとと降り続く雨の音に耳を澄ますと、記憶が薄れていく感覚に捉われるのである。

今も雨は降り続いている。
ショパンのタッチが想起される。

ショパンの雨だれへの音感は秀逸である。
透徹されている。






        雨のイマージュ


      その降りかたがぼくを苦しめる
      そのゆったりとした濡らしかたが
      ぼくをいたぶる

      産まれ消え入る瞬時に
      ぼくは手をさし伸べる

      雨のイマージュはそうであって欲しい
      刹那に生き刹那に消え入る
      だがしかし悠久に生きるのだ

      雨のイマージュは雨の記憶
      雨のイマージュは雨の瞬時に生きた証
      雨のイマージュは雨の流し去った過去への追憶
      雨のイマージュは未来の予感
      雨のイマージュは未来への希望
      雨のイマ-ジュは未来への歓喜

      雨に触れる
      冷たさが穏やかに皮膚に浸透してくる
      雨のイマージュのすべてを体内に取り込み
      全的な存在が際立った

      それはそぼ降る雨のイマージュ






勿忘草に思いを寄せてみる。
胸のほんの一部にポッと灯が点った。
その灯が、徐々に胸を占領していく。

雨に降りこめられたら、勿忘草を抱いてみることだ。
ショパンのタッチの軽やかさと違って、深い喪失に行きつく。






にほんブログ村 ポエムブログ 写真詩へにほんブログ村
にほんブログ村 シニア日記ブログ 団塊の世代へ
                荒野人