エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

白木蓮は春の暖かさを謳歌する

2011年03月26日 | ポエム
春霞みのように白木蓮が咲く季節になった。



白木蓮の木がガラスに映っている風情もぼくは好きだ。



とある体育館の窓である。
まるでガラスの向こうの別世界のようである。






        白木蓮


      そのほの白き横顔にぼくはそっと手を触れた
      冷たさが肌を触れあった部分から伝わってきた
      冷たさは健康なきみの感性であると伝える者がいる
      その伝播する感性の空気が微かに揺れているのだ

      白木蓮のあまりの白さに打ちのめされてしまう
      触れてはいけないものにぼくは触れてしまったのだろうか
      触れた部位から白木蓮は茶色に変色して壊死していく
      その物語が口述されたのは一体何億光年前だったのか

      白モクレンの触れてはならないという不文律に
      きみとぼくは触れてしまったのだった
      きみのほの白き肌を通して毛細血管が見える
      そこを流れるのは脈打つ熱き血潮の流れである

      白木蓮は赤き血潮を纏うのを忌み嫌ったという
      古い記述が残されているのを
      きみは知っているか
      ぼくはその悲しみを知っている







木蓮は、つぼみの先が必ず北を向くので、方向を指示する植物「コンパス・フラワー」とも呼ばれているのである。
コンパス・フラワー、それは船乗りの崇拝の対象でも良いのかもしれない。

春・・・穏やかな海で漁をするのは、きっと素晴らしいのだ。
などと勝手に憶測する。



モクレンの仲間(マグノリア属)は、原始時代から形状を変えていないことも特徴で、恐竜時代の地層から化石が発掘されることがある。
ロマンですね。



花言葉は「崇敬」「自然な愛情」「恩恵」「自然への愛」「高潔な心」「持続性」である。



白さが眩しくなってきたら、人生が終わるのかもしれない・・・などと空想しつつ白木蓮の下を歩いた。



人は一人では生きられない。
花も一輪で咲くのは悲しい。

だがしかし「孤高」であることも必要なのだ・・・。
と、思い至る。






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