AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

老いを言い訳にしない・させない。

2023-08-23 02:03:23 | 音楽・ライヴ

そこまで期間を空けず、リリースしてくれた。


RAVENの『ALL HELL’S BREAKING LOOSE』。
現在のドラマー、マイク・ヘラーが加入してから2枚目のアルバムとなる。

現段階ではもう離脱しているようだが、マイクはこのバンド加入時にはFEAR FACTORYにも在籍していた。
当初、RAVENがツアー中にジョー・ハッセルヴァンダーの代役としてマイクを起用したと聞いた時、「ハマるか?アイツで」と思った。

FEAR FACTORYで演奏しているという時点で、彼が正確無比なテクニックの持ち主であるのは立証されている様なモンだが、過去のドラマーが重量級の体格から繰り出す突進力に比べ、マイクは正直軽さを感じたのが正直なところ。

RAVENも、スピードこそFEAR FACTORYの様な苛烈さは無いものの、ドラマーとしてのパワー/ヘヴィネスは必要であるので、代役とは言え・・・と思ってしまった。
両バンドとも大好きであるだけに、その分互いに相容れない要素もある、と感じたんだよね。

杞憂に終わったよ(笑)。
マイク加入時のライヴアルバム『LIVE IN AALBORG』を聴いた時、バンドが著しくレヴェルアップしたと感じてしまった。

全てが凄まじい切れ味の下、スピードアップして甦っている様になったんだから、コレはもうマイクのドラムの影響と言わざるを得ない。
しかもマイクはただスピードアップさせただけじゃなく、自分なりの演奏アレンジを施してリズムに刺激を与えている。

そうやって他のバンドでの演奏を耳にすると、マイクはFEAR FACTORYで披露していたドラミングが、元々マイク特有のスタイルなんだなと把握できるようになる。
簡単に言えば、FEAR FACTORYでドラムを任されたドラマーは、「ツーバスプレイに強みを持つオールラウンダー」といったところなんだよな。

そんなマイクが正式加入して第1弾となったアルバム『METAL CITY』は、アップグレードしたRAVENを見事に反映させた快作だった。
新曲が放つスピード感は、正にマイクが加わったからこその恩恵であり、更に全体の創作意欲を掻き立てるリズム構築感を擁していた。
ジョン・ギャラガーが「とんでもない兵器」とマイクを称えていた点で、RAVENにとってこのドラマー交代劇は、劇薬と言えるものだったワケだ。

そして今回の『ALL HELL’S BREAKING LOOSE』は、ほぼ全曲速い曲という、RAVENの狂気を如何なく見せつける痛快作である。

元々、ジョンとマークのギャラガー兄弟は年齢的にグラムロックに影響を受けた世代であるため、ミッドテンポの楽曲でバンドの音楽にも俄かに出てくるそんな要素もあってこそ、と思う部分も個人的にはある。

今回もない事は無いが、「DESPERATE MEASURES」の冒頭でのリフくらいが該当する程度で、一気にパワー/スピードメタルにギアを振り切った感じもあるが、バンドにとって吐露しなければいけない状態だったんだろう(とは言え、しっかり聴きやすいキャッチー感覚があるのはRAVEN流)。
実際、今回のアルバム制作では、他にも色々と曲が出来上がっていたらしいが、リリース時に10曲まとめるにあたって相応しい流れは?と考えた結果が『ALL HELL’S BREAKING LOOSE』収録分だったのではないかと推測してしまう。
ミッドテンポの曲とかもあったんじゃないかね。
日本盤ボーナストラックの「ROTTEN」も、中々スラッシーなスピード曲だし、今回は敢えてスピードチューンでまとめ上げたかった節はありそうだ。

まァその結果として、バンドの暴走度合がかつてないほど披露された感はある(笑)。
コレも間違いなくマイクが原因だな。『METAL CITY』収録曲の比じゃないくらい音を詰め込みにかかっている。
が、それでも曲を台無しにするものではなく、全員が呼吸できる間合いをしっかり捉えての演奏である。

勿論、ギャラガー兄弟も、そんなマイクのドラミングに刺激されての演奏となっている点も間違いなくある。
相乗効果だね、これは。

ギャラガー兄弟とマイクとの年齢差は、親子ほどの差がある。
影響を受けた音楽自体も違っている。
でも、HR/HMを演奏するという大きな共通項があり、パワー/スピードメタルの元祖と言われるスタイルのRAVENは、殆どのメタルの世代を包括できる許容範囲を持っていると個人的には考えている。

最終的に、そんなRAVENにマイクは上手く嚙み合ったというワケだ。

とは言え、
このバンドも高齢バンドであるのは明らか(笑)。
ギャラガー兄弟に関していえば、スラッシュ第一世代よりも上で、もう還暦を超えている。

それでも、今も変わらずアクティヴなライヴパフォーマンスを見せるどころか、新曲に至っては過去曲よりも狂的なスピードを持たせて演奏している。

年齢を盾にして減退する事を良しと考えない、結成時から前を向いて変わらぬスタイルを貫き進み続けてきたバンドならではの、ファンからすれば嬉しい輝きを放っている。

こーいうバンド、やはり憧れるよね。
ロックであるからこそ成せるパワーでもあると、オレはそう感じる。

なんせRAVENは、今が一番狂ってるんだからな(笑)。



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