AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

その時期による聴感の良し悪し

2023-02-15 18:43:51 | 音楽・ライヴ

前作『I,THE MASK』リリースから4年が経過。
その間に、元IN FLAMESのメンバーによるバンド、THE HALO EFFECTが期待するイエテボリ産メロディック・デスメタルを提供した事で話題になったりもしていた。

そして、満を持して本家の新作がリリース。

先行MVで「STATE OF SLOW DECAY」が配信された時に、あまりにもイエテボリスタイルのメロデス然としているギターリフが聴こえてきたのはちょっとした驚きだった。

その後にも「MEET YOUR MAKER」といったアグレッシヴなヘヴィナンバーが配信されたりと、「もしかしてIN FLAMESも初期の頃へ戻ろうとしてるんじゃないか?」などという過度な期待感を方々では持っていたかもしれないね。 

ただ、個人的にはソレ一辺倒な状態になってもらいたくはなかったし、当然ながら現在の中心メンバーであるアンダース・フリーデンとビヨーン・イエロッテはそんな事にならないように意識を向けていた。

バンドが考えているのは、アルバムの流れを考えたバラエティ。
「10曲中全部がスピード曲であるのは避けたいし、全部スローでメロディックな曲であるのも避けたい。それらが素晴らしいものであっても」と確かに過去に語っている。
このバンドは明らかに、アルバム単位としての曲配置、選択を考えて音楽を作っている節がある。

アルバムというフィジカル媒体を、アートして掲げていると言っても良いだろう。
最近では、サブスクが主流になりつつあり、言ってみればそのバンドに於けるヒット曲を単体配信するという形式が、アナログではなくいよいよデジタル化されてきている。

早いうちではもう20年以上前から、そんな時代がくるだろうと囁かれていた。
だが、それによりフィジカルという媒体が失われていく事も明らかになったと言える。
ソレは所謂レコード盤という音源であるのもそうだし、そこにまつわるアートワークも、手に取る事ができなければ価値観は薄れる。

何よりも、
音楽の作り手である演奏者達に関しても、リアリティの喪失へと繋がる。
この十数年での音楽に於ける手法であれば、生身の人間が演奏した録音物であるか判らない、乱暴な言い方すれば編集されまくった悪い意味での「作られた音」として仕上げる事は容易。

ライヴでは、音楽を演奏しているフリになっているなんていうパフォーマンスが、この先増えてくる可能性だってあり得る。

その時代のその流れに触れて生きてきた世代だから、という意見であるのは承知だケドね。
ライヴでは、修正されて完璧と思い込んでいる滑らかなキレイ事以上に、予期せぬハプニングを含めたゴツゴツした感覚で進む様にこそ、生身である故の迫真が漂う。
音楽をやっていると自負する人間なら、そこを通過して然るべき、と個人的に思う。

 

・・・・・・と、少しばかり最近の音楽の在り方について思うことろがあった為、書いている内容にちと関連していたモンだから、脱線してしまった。

まァ、簡単に言ってしまえば、
今のIN FLAMESは、❝当時の様なものだって作ろうと思えば作れるが、同じ様なものは作りたくはない。アルバム単位でなんてもっての外だ❞という意識が根底にあるんだろう。
そうであるからこその、アルバムトータリティとしてのバランスの良さが聴き通して感じられる。

今回も揺るがずそこは同じ。
だが、前作と比べて良いかどうかは・・・というのは、また個人的問題だな。

オレにとって前作『I,THE MASK』が名作と呼んで良いと思えるのは、このバンドに対する興味の空白があった為とも言えなくは無い。
実際、IN FLAMESも初期のアルバム全部持っているかと言われればそうではないし、『REROUTE TO REMAIN』以降は、『COME CLARITY』以降から興味の対象より外れてしまった。

公言してるんだが、オレは初期メロデスの頃より、アンダースが幅広い歌唱を身に着ける様になった今のスタイルの方が、音楽的に好ましく思える。
ただ、ソレはあの初期を通過してきた積み重ねによる自然な変化だからこそであり、じゃあ他のバンドで似た様なスタイルであればそれでも良いのか?と言われればソレは違うと断言できる(というか、現在のIN FLAMESスタイルのバンドはそれこそ腐る程出てきているが、一つとしてIN FLAMESと同格に並べる様なバンドが居ると思えないんだが)。

IN FLAMESの最重要人物はイェスパー・ストロムブラドと言われてきているが、ソレはソレで一つの明確な答えであると思う。
でも、当のイェスパーは『A SENSE OF PURPOSE』から離脱であり、その時にはバンドは既に現在のスタイルへと移行していた。
その中にあって、❝イェスパーのあのイエテボリサウンドと言えるギターフレーズが入っていたからこそのIN FLAMES❞とまで言うのなら、そこに拘るファンは今のIN FLAMESに大きな期待を寄せれないという意見になるのも解る。

でも、個人的意見で言えば、以降のアンダース/ビョーンのチームによる現行スタイルも、紛うことなきIN FLAMESである。
この辺りは、STRATOVARIUSにも通じるところがある。

まァそんなところもあってか、久方ぶりにまともにアルバムとして聴いたのが『I,THE MASK』であり、アルバムしても、曲単体としても非常に好感触だった事で、聴き始めてからこの4年間ずっと聴いている始末(2019年は、これとOVERKILLの『WINGS OF WAR』が私的ベストアルバム)。

その前の『BATTLES』も、近年のバンドの中では良作だと言われていたようだが、『I,THE MASK』はそこから確実な飛躍を感じるクオリティという評価をそこここで耳にしているんで、オレがIN FLAMESに向き直ったタイミングも良い時期だったんだろうと思う。

因みに、今作『FOREGONE』からメンバーチェンジもしている。
ギターがニクラス・エングリンから、元MEGADETHのクリス・ブロデリックに代わっている。

この加入事実を知る前に、
当時SNSでブロデリックの投稿を見かけては「何でコイツはIN FLAMESをプッシュしてんのかね」と、内容も良く見てないままスルーしていた(苦笑)。
が、「STAY WITH ME」のMVを見た時に、ブロデリックが思いっきり映り込んでるの見て漸く「あ、加入したのか!」と腑に落ちた。

ブロデリックに関しては、MEGADETHもそうなんだがオレの中では元NEVERMOREとしての存在が大きい。
あの時はツアーメンバーとしてのみの行動だったそうだが、当時ライヴで観た際に、「ジェフ・ルーミスと肩並べて弾いてるコイツ一体何者なんだ?」と思ったものだ(当時は片割れのギタリスト、スティーヴ・スマイスが離脱した状態でのツアー)。
そうしたら、あれよあれよという間にMEGADETHのギタリストに抜擢だからね。
ま、厳密に言えばそこら辺も、当時のNEVERMOREの勢いがどれだけのものであったかが、間違いなく影響してた話。

正直なところ、ブロデリックがこのバンドに何かを齎すという期待とか何も思わないケドね。
テクニックは十二分にあるが、ソングライティングセンスに於いてギラつく個性を放っているかと言われれば、そうではないんだよなァ。

そういった経緯で考えると、ジェフ・ルーミスもARCH ENEMYでは・・・・・・

できたら、ジェフとブロデリックとでも組んで、NEVERMOREに次ぐべきバンドでも動かしてもらいたいと思ってしまう(その時ドラマーは勿論ヴァン・ウィリアムスで)。

と、これ以上は完全脱線しちまうんで、この辺で打ち切っておこう。

なんだかんだで、『FOREGONE』は今年一年は聴き通しそうなアルバムだ。



最新の画像もっと見る