一つの言葉が何回も繰り返し使われることがあり
ますね。例えば、最近国会討論を放送で聞く機会が
多くなりましたが、阿部首相の答弁や話の中で非常
にしばしば使われる言葉があるのを発見しました。
「・・・・、それはまさしく・・・・」
という言葉です。少し長い答弁になると2,3回
は使われます。よほどこの言葉を気に入っているの
でしょうね。私もずいぶん前に論文を書いていて、
howeverとかbutという単語を頻繁に使ったことがあ
ります。審査員にそのことを指摘されて、我ながらな
んでこんなに頻繁に反語を使用するのだろうかと反省
したことがあります。
曖昧な意味で使われる言葉で「Aという条件の中に
Bが入ってくるのは違和感がありますね」などと使う
違和感という言葉をある会議で使ったことがあります。
すると次の会議では数人が違和感という言葉を使って
いるのを発見しました。それが違和感どころか全く適
合しない場合にも違和感と表現するのですね。よほど
ゴロが良かったのかもしれません。小説家や文章を書
くのが仕事の方は言葉使いを厳密に考えていることを
話されるのを聞いたことがありました。
私が現役の頃学部の会議でⅠ氏(学部長)が、
「私に言わしむれば・・・」と発言しました。主席者の
数人が失笑しました。するとⅠ氏は失笑した人たちに、
「この問題は笑う性質のものではありません」
とたしなめました。それで今度はさらに多くの方が
失笑してしまいました。
Ⅰ氏はきっとそのころ何かの小説を読んだんでしょうね。
その中に件の言葉が出てきたのだろうと思いました。
何気なく使う言葉一つでも、その人の教養の程度が知
られてしまうことがあるのですね。気を付けなければい
けませんね。