そのあと、まゆみさんは、園芸売場から婦人服売場へ移った。
まゆみさんは、今まで以上に元気を取り戻して、はつらつと働いた。
まゆみさんのタカシへの気持ちは変わらなかったし、
時々はホームセンターの中ですれ違うと、楽しく会話を交わし合う仲間になっていた。
まゆみさんは、大切な兄がいた。
昔から臆病で、引っ込み思案なまゆみさんの良き理解者で、心から兄を頼りにしていた。
その兄がある日突然、病気で他界。
深く落ち込んでいた時、兄に良く似たタカシと出会った。
ホームセンターで仕事中、重たいものを持ってオロオロしているまゆみさんの荷物を颯爽と持ち上げて、「無理しないで!」
兄も、よく「無理しないで!」と言っていた…。
兄と重なった。
元気なタカシの背中を見ているだけで、まゆみさんは、生きる希望が沸いてくる。