「過呼吸は、すぐに治ったんだけど、自宅に送りがてら、いろいろ聞いたんだ。会社でうまくいっていないこととか…。」
「……。」
「先輩のトラブルの責任とらされたりとか…かわいそうなんだよ…」
「まゆみの支えになってくれて、ありがとう。」
「いや、だけど、その話しを聞いたあと、心配で電話とかしたんだけど…。電話に出ないんだよ…。」
「うん…。私も時々電話してみたけど…出なかった…。よほど病んでたのかも…」
「……」
玲子は、思い切ってあの日の出来事。
まゆみが突然、会いに来てくれた時の事を、タカシに話してみようか…と思ったが、
こんな話をしても、きっと、信じてはくれないだろう…と思った。
ところが…。
「実はさぁ…先日、まゆみが突然、オレの部屋の窓の外に現れて、垣根越しに告白された夢を見たんだ。ほんの10分くらいの居眠りの時の夢だったけど…」
『タカシに告白しようと思う…』
と、笑顔で去って行ったまゆみは、
その願いを、叶えていた。
玲子は、タカシの話しを最後まで聞かずに泣いてしまっていた。
それからの玲子は、自分の思いを成し遂げたまゆみの事を思い出しては、どんな時も、前向きに生きていく勇気を心に刻んだ。