夏の思い出 20

2021-10-15 11:11:35 | 日記
「気持ちを伝えるだけでいいの。」
と、ニコッと笑った。

健気なまゆみの表情に、なぜか涙が出そうだった。

「そのあとは、どうするの?」

「どうするって?」

「もしも、OKだったら?」

「大丈夫!そんなこと無いから!とにかく、諦めるために気持ちを伝えたいの」

「諦めるため?」

「うん。もう、次に行かないと!」

次に行く?

…他に好きな人が出来たのかな?

吹っ切れたようなまゆみの表情に、病院の気配はほとんど無かった。


「まゆみが前に進めるならいいんじゃない!」

「うん!」



すっかり外は暗くなって、時間が経つのも忘れて話し込んでいた。

「さてと、もう、帰らなきゃ」

「久しぶりに、ゆっくり話が出来て嬉しかった!」

「私も!ありがとう!じゃ、またね!」

いつもの様に手を振るまゆみ。