夏の思い出 17

2021-10-12 09:31:20 | 日記
帰郷した玲子は、
昔と変わっていない自分の部屋で、ひといき。

時間はまだ、夕方。


玲子の自室は裏庭に面していて、縁側もあり、夏の日の夕涼みをするには最適だ。

まゆみは、留守電を聞いてくれただろうか…。

すると、ふと人の気配を感じて庭先を見ると、満面の笑みのまゆみが立っていた。

「帰ってたの~?」
「うん!さっきまゆみの家に電話したんだよ。」

「元気?」
「元気、元気!久しぶりだね~!」

まゆみは、少し痩せていて、顔色もあまり良くない…。
玲子は、久しぶりにまゆみに会えた感激で、どこから話をはじめたらいいのか迷った。

「痩せた?」
「うん、少し。玲子も痩せたね。」
「仕事、忙しくて。」

まゆみは、心の病であることを人伝に聞いていたが、痩せた理由が何なのか…聞くことは憚れた。

「少し、病んでてね…」
「え?」
「仕事も思い通りに行かず、いろいろと悩んでばかりいて…、少し病んじゃった。」

まゆみの方から、話をしてくれた。

「もう、大丈夫なの?」
「うん。もう、大丈夫。病院でもらった薬がとても効いてくれて、ある日、嘘みたいに気力が回復したの」
「良かった!」