「またね!」
いつもの様に手を振るまゆみ。
…何だろう…、まゆみ、さびしそうだった。
めいっぱいの笑顔を久しぶりに見た気がするのに、とてもさびしそうだった。
それに、手を振りながら背を向けたまゆみが、何か言いたげだった気がしてならなかった。
それから玲子は、帰郷するといつも出掛ける近所の川原の散歩に出かけた。
外はいつの間にか、すっかり日が暮れていて、長い時間をまゆみと話し込んでいたんだなぁ…と、思いながら、久しぶりの散歩道を踏みしめて歩いた。
川原の夏の散歩は、大好きだった。
流れる川の水に耳を傾けて、往復30分程度の細道を歩く。
パリパリ…と、小石を踏んで歩く音が響く。
「玲子…」
え?
……まゆみ?
振り返ると、誰もいない。
呼ばれた気がした。
この川原は、二人でよく歩いた。
まゆみが何かいい忘れた事があって、戻って来たのだろうか?と思った。
気のせいか…。
お腹が空いた。
帰郷するといつも母が作ってくれる煮物が楽しみだ。
とりあえず帰ろう!