夏の思い出 21

2021-10-16 10:19:28 | 日記
「またね!」

いつもの様に手を振るまゆみ。


…何だろう…、まゆみ、さびしそうだった。

めいっぱいの笑顔を久しぶりに見た気がするのに、とてもさびしそうだった。

それに、手を振りながら背を向けたまゆみが、何か言いたげだった気がしてならなかった。



それから玲子は、帰郷するといつも出掛ける近所の川原の散歩に出かけた。

外はいつの間にか、すっかり日が暮れていて、長い時間をまゆみと話し込んでいたんだなぁ…と、思いながら、久しぶりの散歩道を踏みしめて歩いた。

川原の夏の散歩は、大好きだった。

流れる川の水に耳を傾けて、往復30分程度の細道を歩く。

パリパリ…と、小石を踏んで歩く音が響く。



「玲子…」

え?


……まゆみ?


振り返ると、誰もいない。


呼ばれた気がした。   

この川原は、二人でよく歩いた。

まゆみが何かいい忘れた事があって、戻って来たのだろうか?と思った。


気のせいか…。
 
お腹が空いた。

帰郷するといつも母が作ってくれる煮物が楽しみだ。

とりあえず帰ろう!