「配役は、くじ引きがいいと思います。」
M子がまた、提案した。
「まただ。」
「…懲りないね」
「…だけど、悲鳴をあげられなかったことと、配役は別の話だし…。たぶん、今度こそは挽回しようと思っているのかもね…」
先輩たちの間でのひそひそ話。
「はい、では、くじ引きにしましょうか?」
「それじゃ、私が作ります」
指導者の声に、すかさずM子が声をあげた。
「まただ…。」
先輩たちは、眉をひそめた。
「まぁ、好きにさせればいいんじゃないの?」
ニヤッとする先輩仲間もいる。
…というのも、すでにエチュードを読んでいる先輩たちには、今後の展開がわかっていて、M子が再び不正をしても、必ずしも思い通りになるのかどうか…少し観察してみたい…という思いがあった。