「では、先輩たちが作成してくれたエチュードを演じましょう」
指導者の声に、新人たちの空気がキリッと締まった。
「作者のアンコさん、説明を。」
「はい。…配役は、3人。演者に見せ場の偏りが無いようにしました。Aと、そのライバルB そして男性C」
「台本を渡す前に配役を決めましょう」
と、指導者が声をあげた。
「え?どうしてですか?」
L子が聞いた。
「全てに偏りなく、平等に決めましょう」
ざわざわ…となった。
「配役は…、どうしますか?」
M子が声をあげる。
「そうですね…。」
指導者が次の答えを探している途中に、M子がさらに声をあげた。
「また、くじ引きにしますか?くじ、作ります」
「また、あの子…」
「…懲りないね…」
先輩たちからのひそひそ声も聞こえてきた。