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あの頃(舞台)5

2020-04-20 07:26:04 | 日記
「『スパゲッティー➡️』その変なイントネーション。それで個性と言うなら、それでいいんじゃない?だけど、私は負けないから❗」

Aの厳しい宣言を受けて間もなくだった。。。

そんな時に私の主演は、Aは納得行くハズがない。

方言ゆえに、馴染み無い言葉なので、文脈がつかめない。
感情の入れ方がわからない…と、言ってられない‼️

『私は負けない❗』宣言されたからには私もグズグズしてられない。
とにかくセリフを覚えた。必死に覚えた。




ーーそして、稽古がはじまった。

とりあえずセリフは入ってる。

だけど、とりあえず…というだけなので、根本的に解釈が違う!なんて言われるとリズムが狂う…と言うか、とにかくヤバい。

Aは、中盤にちょっと出て、ラストまででてこない役だ。

「仕事が忙しいから、少ない出番で良かった!」
…と、Aは言っていた。

最悪だ…💦

私は、Aと絡みが無くて良かった…なんて喜べない状況となった…。
先生が休みの日や遅れて来る時など、むしろ厄介だ💦

Aは、にわか演出家になってしまうのだ。

先生の元々の演出なんて完全無視。

自分の思うがままに演出をつける。

Aは、少なからず子供時代から業界で仕事している…という自信があったから、怖いもの知らずだ。

「アンコ、何でそこで振り返るの?そのまま退場して‼️」

「振り返ったら、先生が、ソレがいいって言ってたから」

「振り返ったら変だよ!無駄な間になっちゃう!」

…私は、振り返るのをやめた。

「アンコ、何で座るの?そこで座ったら邪魔でしょ❗」

「Aは、アンコの『セリフは無いけど意味のある仕草』を消そうとしてるね…。意味ある仕草が大切なのに…」と、Uも言う。

仲間のひとりMも気にしていた。

「先生がいない時に勝手にいろいろ言うのをやめろよ!」

「変だから変だと言っただけだよ!」

「オレたちは、先生の演出で作ってるんだ!Aは演出家じゃないんだから、いろいろ言うなよ!」

「経験が少ないと、そう思うんだよね~。いいものを作ろうと思うから、意見も出るんだよ!」

ふんっ❗

と、Aは、怒りに任せて台本を床に叩きつけると、稽古場を出ていった。

「とにかく、Aは、アンコを目の敵にしてるよな…」

Mも、何かを察してくれていたようだった。


あの頃(舞台)4

2020-04-19 07:44:21 | 日記
入所当時、田舎者の私が、皆と同じようにレッスンなども思うように出来ないと、Aは、深いため息をつきながら、「こんな簡単なことも出来ないの?」

…という。

最初は冗談混じりの言葉だと思って、笑って受け止めていた。

Uも、何となくそれを察して、
「気にしない方がいいよ」
と、言ってくれていた。

気にしないようにしていたが、レッスンも中盤になると、ますます、戦々恐々としてきた。

最初のエチュードの時、
きっかけは、スパゲッティーだった。

『スパゲッティー』のイントネーションがおかしい…と、Aがいう。

確かに、少し変なのは、自覚していた。

A「スパゲッティー⤵️」
私「スパゲッティー➡️」
A「違う、スパゲッティー!⤵️」
私「スパゲッティー➡️」

苛立つAの声が強くなる。

「⚪⚪君は?スパゲッティーって言ってみて!」

「スパゲッティー⤵️」

「⚪⚪ちゃんは?」

「スパゲッティー❔」

「ほら!違うでしょ!」

何が違うのかわからなくなってきた。

今思うと、スパゲッティーにそんなにこだわる必要は無かった…。

Uも、「何でそんなにスパゲッティーにこだわるの?」と、言い出した。

アンコを攻撃できれば、何でも良かったんでしょうね…と、Uは言う。

先生が現れた。

「先生、アンコのスパゲッティーのイントネーションが変ですよね。アンコ、スパゲッティーって言ってみて!」

「スパゲッティー➡️」

「変ですよね!」

「どっちでもいい。イントネーションなんて、その人の個性になればいいんだ。」

その一言で、スパゲッティー騒動は終わった。

その日の帰りがけ、険しい顔で振り返ったAが、

「個性だって言うなら、それでいいんじゃない?だけど、私が正しいから!絶対負けないから」
と、宣言された。


それからの私は、彼女の目が気になって仕方がない存在となった。


あの頃(舞台)3

2020-04-18 07:20:46 | 日記
大役をもらった。

参った💦💦

役は欲しいけど、セリフが多くて 大変だ💦💦


私が大変だったのは、セリフだけでは無かった…。

当時一緒に頑張っていた仲間、Aから入所当時からライバル宣言をされていた。

入所当時は、早く仲間が欲しくて、自分の方から積極的にコミュニケーションを取っていた。

そんな中で、ひときは目を引いたのは、美人担当のU。

…私とUは、入所してすぐに『エチュード(寸劇)』をする度にコンビを組まされていたため、仲良くなっていた。

だけど、Uの側にはいつもAがいた。

私的には、何も考えず、UともAとも仲良くなれればいいなぁ…くらいに考えていたワケですが、Aは違った。

…だけどAは、私がUと仲良くするのが嫌な様子だった。

Uが美人担当なら、Aは、何担当か?

…というと、『実績』担当だ。…というのも、彼女は、某有名なプロダクションを経て、子役時代から仕事を積んでいる人だ。

『この世界は、何より経験とコネだ!』と、言い放つ人でした。

プライドも高く、A自身も、仲間を選ぶタイプのようだった。(…と、他の仲間たちも言っていた)

田舎者で、パッとしない私など、一番関わりたくない存在だったようでした。

そんな私が大役を得るなんて、彼女としたら納得がいかない。

彼女の役は、メインキャストのひとりだが、彼女としたら、何よりも主演が欲しかったらしい。



あの頃(舞台)2

2020-04-17 08:02:54 | 日記
先生が出したのは、分厚い冊子。


本を開くとたくさんの文字と、馴染みのない言葉の羅列。


九州弁でした。


今思うと、豊日方言なのかな?



どこもそうなのでしょうけど、例に漏れず、私がいたところでも、役をもらえるのとそうじないのとでは雲泥の差。重大問題でした。

役は欲しい…けど、この文面を見る限り、かなり大変そう💦💦

メイン出演者とそうじゃない役との差が大きい…。

メインの出演者たちのセリフ量が多く、一つ一つが長い💦💦

そうじゃない役は、劇中盤や後半でちらっと出て、後は出てこない…。

メインの役のひとりに選ばれたいけど…大変だな💦




「主演はアンコ(←当時の私のニックネーム)」

先生が、鼻をほじりながら、サラッと言う。

ーーーえ?私?!

まず、セリフを見てみた。

多い…💦💦

ダントツに多い💦💦

しかも、何を話しているのかわかりにくい方言だ…。

嬉しいより先に、参った💦💦


とにかく、馴染みの無い言葉ばかりなので、文脈がつかめない。感情の入れ方がわかりにくい…💦自分の想像での感情表現だと違うんだろうなぁ…。


セリフ覚えられるだろうか?💦







あの頃(舞台)

2020-04-16 07:59:24 | 日記
やっぱり、舞台が好きでした。

そろそろ、大きな公演の話が出てくる頃です。

どんな演目をやるのだろう…。

過去の舞台を見ると、かなり大事らしいことがわかっていた。

役がもらえるんだろうか…。

先生は、H優座で活躍している。
たくさんの大物俳優と舞台を作ってきた人なので、前に立つのも緊張する。

その上、多くを語らず、ぶっきらぼうでいつも不機嫌に見えるので、目もまともに見れない💦

「おはようございます!」

皆、一斉に背筋を伸ばす。

その日も相変わらず、先生は何も語らず、ドスンと『デレクターチェアー』に座ると、親指で鼻をほじる。

相変わらず不機嫌そうだ💦💦

先生が笑う時って、あるんだろうか?

腕組みをすると、大きな咳払い。


「これ、やるから(公演するから)」

先生が差し出したのは厚手A4の冊子。