7年目の栄冠

 チャンピョン争いを演じる3人の中で、その座に最も遠かったキミ・ライッコネンが2007年F1最終戦を制し、ワールドチャンピョンシップの栄冠を手にしたことは既報の通り。

 ライッコネンは、宿敵フェルナンド・アロンソと同じ2001年にF1デビューを果たしている。アロンソが初めてタイトルを獲得するのはデビューから5年目の2005年だが、ライッコネンはその2年前、2003年にはミヒャエル・シューマッハとタイトルを争っている。その戦いは最終戦までもつれ込んだのだが、結果は2ポイント及ばずライッコネンは涙を呑んでいる。ちなみに、もしキミがこの年にタイトルを獲得していれば、その時点での史上最年少F1ワールドチャンピョンとなっていたはずであった。

 ついに栄冠を手にしたライッコネンであるが、デビューから7年目にしてのタイトル獲得は、いささか時間がかかっていることは確かである。

 1987年(CXが全戦中継を始めた年だ)から今年までの21年間に、10人のワールドチャンピョンが誕生しているが、デビューから最も早くタイトルを獲得したのは、デビューの翌年に栄冠をつかんだジャック・ビルヌーヴ(1997年/ウィリアムズ・ルノー)である。が、彼はF1デビューの前年、CARTシリーズにおいてタイトルを獲得しているから、F1デビューとは言っても今年のルイス・ハミルトンあたりとはちょっと経歴が違う。

 1987年以降のチャンピョンの多くは2シーズン以上のタイトルを獲得しているが、ジャック・ビルヌーヴと同様、1度のみのタイトルを獲得したドライバーにはデーモン・ヒル(1996年/ウィリアムズ・ルノー)がいる(もう一人については後述する)。1992年にF1デビューしたヒルは5年後の1996年にタイトルを獲得しているが、その後はチームに恵まれず1999年に失意の内にF1の舞台を去っている。

 7度のチャンピョンに輝くミヒャエル・シューマッハはデビューから4年後の1994年に最初のタイトルを獲得している(ベネトン・ルノー)。4度、チャンピョン獲得のアランプロストはデビューから6年目の1985年に初タイトル(マクラーレン・ポルシェ)を獲得と、やや時間をかけている。

 3回タイトルを獲得したネルソン・ピケはデビューから4年目の1981年に初タイトル獲得(ブラバム・フォード)、同じく3回のアイルトン・セナが初めてのタイトルを手にしたのはデビューから5年目の1988年(マクラーレン・ホンダ)であった。

 2代目フライング・フィン(F1における初代フライング・フィンは、ニコ・ロズベルグのパパであるケケ・ロズベルグ。デビューから5年目の1982年に、おそらくは史上最少の44ポイントでシリーズチャンピョンを獲得している)と呼ばれたミカ・ハッキネンは1991年にデビューしているが、チーム(マシン)に恵まれず、最初のタイトルを獲得したのはデビューから8年目の1998年(マクラーレン・メルセデス)で、ライッコネンよりも1年多い不遇時代を送っている。フライング・フィンは、「大器晩成型」なのか。

 21年の間の10人のチャンピョン、デビューからタイトル獲得までの平均年数を計算すると、5.9年という数字が得られたが、タイトル獲得まで13年をかけたつわものがいる。愛すべき大英帝国の息子、ナイジェル・マンセルである。

 昨夜の中継でも話題になった、21年前(1986年)の「三つ巴」の役者の一人でもある。デビューから7年目のこの時、2ポイント差でタイトルを取り逃がしたマンセルがチャンピョンの座に着くためには更に6年を要するのである。

 1993年デビューのルーベンス・バリチェロが来シーズンのタイトルをものにすれば、マンセルの記録を更新することになるが、これはあくまでも仮定の話しであり、まず、ありえない。マンセルのタイトル獲得まで13年の記録は、当分破られることはないだろ。

 苦節7年、ついにタイトルを手中に収めたキミだが、彼の真価が問われるのは、今年ではなく来年、2008年シーズンのはず。まっ、そのことは、今日はおいておくことにしよう。無冠の帝王の道を歩むのかとも思えたキミがタイトルを手にしたのだから。今日のところは、Kimi, Congratulations !


 例によって記事本体とは何の関係のない今日の1枚は、昨日に引き続き、いち早く黄葉した桂。昨日のアップ(35mm換算300mm)に対して、今日は「引き」。昨日のものと同じレンズのワイド端の27mm(35mm換算)で撮影したもの。同じレンズ(カメラ)でも望遠側目いっぱいとワイド側とでは、このくらい表現の仕方が変わってくるという「作例」としてご覧いただけると嬉しいです。どうぞお手持ちのカメラの望遠側とワイド側を使い比べてみてください。

 なお、今日の写真のように、空がバックになる場合には、プラス2/3~1程度の露出補正をすると良いでしょう。露出補正についてはお手持ちのカメラの取扱説明書をご覧になって研究してみてください。
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Kimi, Congratulations !

 2007年 F1ワールドチャンピョンシップを制したのは、キミ・ライッコネン!
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