唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
ホンダジェット、主翼の謎
この連休中に日本各地の空港でお披露目が行われているホンダジェット。最新の技術を投入し、既存の同クラスビジネスジェットに比べて高い動力性能と燃費性能を実現したとホンダは謳っている。独自に開発したエンジンが軽量コンパクトで燃費が良いのと、主翼の上に配置したエンジンン、コックピット周りの空力特性を最適化した結果だとホンダは云うのだが、郷秋<Gauche>にはどうしても解せない点が一つある。
それは余りにも直線的な、直線定規だけで線を引いたような主翼である。最新鋭の旅客機であるボーイング787の優雅な弧を描いた主翼を思い出して欲しい。最新の空気力学研究の成果を取り入れた最も優れた翼とは、今日のF1マシンのフロントウイングしかり、787しかり、このような曲線で構成されているのではないのか。ホンダジェットの主翼は、ホンダエンジンを搭載したウィリアムズやマクラーレンが勝ちまくった1980年代後半のF1マシンのフロントウイングにそっくりなのである。
直線定規だけで書かれたフロントウイング全盛のF1の世界に美しい曲線でをもったウイングを持ちこんだのが1991年のジョーダン191である。フロントウイングだけではなくボディの随所に空力を意識した曲線が使われ、更にグリーンとブルーのセンスの良いカラーをまとった美しいマシンであった。リザルトはともかく、長いF1の歴史においても最も美しいマシンの一つであることは間違いない。
話が逸れたが、云いたいのは直線定規だけで描かれた翼よりも、787のような翼全体がスムーズな曲線で描かれた翼の方が空力性能が良いのではないかと云うことなのだ。F1のウイング、ヒコーキの翼がそのような歴史を辿っているのだから間違いはないはずだ。なのにだ、ホンダジェットの主翼は余りにも一直線なのだ。
郷秋<Gauche>が思う理由はただ一つ、コストの問題だ。787の主翼は日本の三菱重工業が、これまた日本の東レの素材を使って製造している。大きな「しなり」を許容しながら高い強度を持ちそれでいて軽量と云う、優れものの主翼なのである。このタイプの主翼が今後は787以外の旅客機にも採用されていくことと思われるのだが、問題はコストだ。
余りにも高価すぎで、高性能で高燃費だけれど同時に低価格も目指さなければならなかったホンダジェットには、この炭素繊維複合素材の主翼は採用出来なかったのだろうと郷秋<Gauche>は想像するのだ。しかしだ、ヒコーキはクルマと違って4年ごとにモデルチェンジするのではなく20~30年と云う長い年月をかけて進化しつつ製造が続けられるものだ。
ホンダジェットも販売が軌道に乗り製造コストの低減と更なる先行投資が可能になれば、2025年辺りからは炭素繊維複合素材の美しい曲線をまとった主翼が採用されるかも知れない。果たしてより美しく変身したホンダジェットを見ることが出来るだろうか。
(たくさんあったミスタイプを修正、推敲しました。2015/05/05 12:50:00)