小規模校ではあるが、女子大でも短大でもない、ルーテル学院大学(東京都三鷹市)が2025年以降の学生募集を取りやめることが報じられた。
このblogでも幾度か、特に地方の女子短大、大都市圏にあっても小規模の短大は入学者の減少が甚だしく厳しい経営状況から閉学に追い込まれる女子大・女子短大が少なくないことを書いているが、ここにきて17もの大学・短大の2025年以降の学生募集停止、とりわけ2年後に閉学する短大が大量に出てきており、いよいよ「大学淘汰の時代」が始まった感を強くする。
「大学淘汰の時代」とは喜多村和之(きたむら かずゆき。教育学者、高等教育論。1936-2013)が著した「大学淘汰の時代〜消費社会の高等教育」(中公新書 1990年3月刊)以降、大学関係者のみならず、広く世間に知られた言葉である。
「大学淘汰の時代」は18歳人口が205万人となる1992年目前の発刊だが、1993年以降18歳人口が激減(2024年には106万人)することを踏まえて、定員を充足できない大学・短大は淘汰されることになるだろと書かれていた。ただし、実際には大学進学率が1992年の36%から2024年には60%へと漸増したために、その間に大学・短大の新設があったにも関わらず、実際に淘汰された大学・短大は多くはなかった。
そんな状況が「大学全入時代」(大学進学希望者数と大学の入学定員が同数)と云われた2000年前後でも変わらず、18歳人口のさらなる減少、大学進学率が頭打ち、とりわけ女子短大への進学希望の減少が顕著になり、特に地方所在の女子短大においては入学者を確保できずに閉学と云う苦渋の判断をせざるを得なくなった2024年なのである。
2025年以降の学生募集を中止する大学・短大 (郷秋<Gauche>調べ)
*2024年4月の入学者が卒業する2026年、2028年をもって閉学。
ただし、所定の修業年数で卒業要件の単位を取得できない学生が
生じた場合には、卒業要件を満たす(あるいは自主退学する)まで
閉学できない。
ルーテル学院大学 東京都三鷹市 入学定員90名
北星学園大学短期大学部 札幌市 定員200名
足利短期大学 栃木県足利市 入学定員50名
東京経営短期大学 千葉県市川市 入学定員175名
城西短期大学 埼玉県坂戸市 入学定員120名
星美学園短期大学 東京都北区 定員200名
上智短期大学 神奈川県秦野市 入学定員250名
名古屋女子大学短期大学部 名古屋市 定員280名
鈴鹿大学短期大学部 三重県鈴鹿市 入学定員90名
池坊短期大学 京都市 定員250名
日ノ本短期大学 兵庫県姫路市 入学定員100名
武庫川女子大短期大学部 兵庫県西宮市 入学定員610名
奈良佐保短期大学 奈良市 入学定員160名
就実短期大学 岡山市 入学定員180名
美作大学短期大学部 岡山県津山市 入学定員110名
安田女子短期大学 広島市 入学定員120名
福岡女学院大学短期大学部 福岡市 入学定員100名
純真短期大学 福岡市 入学定員180名
西南女学院大学短期大学部 福岡県北九州市 入学定員100名
九州龍谷短期大学 佐賀県鳥栖市 入学定員200名
中九州短期大学 熊本県八代市 入学定員100名
同一設置法人が閉学対象の短大以外に4年制大学を設置している場合には、閉学予定の短大の定員を持って4年制大学に新学部・新学科を設置できる可能性がある。同時に教職員も4年制大学に異動できる場合もあるが、そうでない場合の教職員は解雇・失職と云うことになるのだろう。1年後にも2026年以降募集停止となる大学・短大が本年と同規模でてくることが予想される、厳しい状況である。
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と云う訳で、例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、花期も終わりが近づいてきた乙女椿。
横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは3月24日に撮影した写真を6点掲載しております。行きつ戻りつしながらも季節が進む森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
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