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ステップ1では、車輪類のうちの起動輪と転輪、VVSSを組み立てます。VVSSとはVertical volute spring suspensionの略で、訳せば「垂直懸架サスペンション」となります。今回のキットには初期型と後期型の二種類のパーツが入っていますので、好みによって各時期の車輌が作れます。ここでは劇中車に合わせて初期型のパーツを使用し、指示通りに組み立てます。
また、起動輪は、指示ではV30かV31を選ぶようになっていますが、いずれも劇中車のものとは異なります。不要パーツの中に含まれているV37が劇中車仕様ですので、これをV29にかぶせます。転輪は、D6かV8かを選びますが、劇中車のはスポーク式ですので、D6を選びます。
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起動輪のパーツ類です。右端が不要パーツの中に含まれているV37で、これが劇中車仕様です。
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起動輪を組み立て終わりました。今回のキットを含め、サンダース大学付属高校チームの各車輌の起動輪は、劇場版仕様のアリサ搭乗車(M4A1)を除いた全てがこのタイプです。内側の切り込みが鋭く三角形になっているタイプですが、切り込みの先端が丸くなっているタイプもあり、今回のキットの指示にあるV30が相当します。
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続いてVVSSを組み立てます。劇中のワンシーンからも分かるように、ケイの搭乗車はVVSSが初期型です。ケイ搭乗車だけでなく、アリサやナオミの搭乗車も初期型です。
ですが、シャーマン系列のキットで初期型のVVSSのパーツが入っている製品は限られます。ファインモールド発の公式キット、タミヤのキット、イタレリのキットでは後期型のパーツしか入っていないので、ズバリにするには他キットのパーツをもってくるか、アスカのVVSSサスペンションセット等を利用するか、になります。
これに対してドラゴンのキットでは初期型と後期型の二種類のパーツが入っていることが多いです。そのあたりを勘案してのキット選択が、サンダース大学付属高校チームの各車輌の完全再現においては欠かせないポイントになってくるでしょう。
ちなみに、VVSSの初期型と後期型は、上部転輪の支持アーム部が水平になっているかいないか、で識別します。1/35スケールでは違いがあまり目立たないように思えますが、完成品を見比べてみると雰囲気がかなり異なります。とくにガルパン仕様では、実在の車輌よりも上部転輪がよく見える傾向がありますので、その支持アーム部の相違は、思った以上に目立ちます。
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組み立ては、まず転輪支持架から始めます。接着剤を使用して固定するか、使用せずに可動状態にするかは自由です。今回は転輪と上部転輪は接着せずに可動としました。転輪のほうは、可動にしておくことで、塗装時の塗り分けが容易になります。
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組み立て終わりました。転輪はコロコロと回るようになっています。
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サスペンション上部を組み立てました。ドラゴンのパーツ類は組み立てづらいとの評価もあるようですが、個人的にはそんなに難しいようには感じませんでした。アスカのVVSSサスペンションセットの方が精巧に出来ている分、組み立てに手間がかかると感じています。
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今回の製作において、接着しなかった箇所は転輪のD6、上部転輪のV7、V11の軸部がサスアームV1およびV2の穴を通る部分、の三ヵ所でした。それでVVSSは実車同様の可動状況を再現出来ます。
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組み立てが完了してステップ1の工程が終わりました。サンダース大学付属高校チームの各車輌のVVSSは全て同じですから、どの車輌を再現制作するにしても、今回のような組み立て工程が必須となります。
キット選択次第では、アスカのVVSSサスペンションセットの世話になる場合がありますが、アスカのパーツの組み立てに慣れてしまうと、このステップはより楽に進められるようになると思います。 (続く)