
赤碕の「菊港」で潮風に吹かれた後、Tさんお気に入りの観光スポットである「塩谷定好写真記念館」へ行きました。写真記念館というから近代的な建物を想像していたのですが、実際には塩谷家の旧宅をそのままギャラリー施設に使用している感じでした。
建物自体は明治初期ぐらいの遺構のように感じられましたが、目立った改変は見当たらず、歴史遺産としても価値が高いです。国の登録文化財に指定されています。
現在の状態に改修されたのが今年2016年の4月で、現在は特定非営利活動法人「塩谷定好フォトプロジェクト」が所有し保全管理にあたっています。

施設内に新たに設けられたカフェです。Tさんお気に入りの「隠れ家」だそうです。とりあえず腰かけてコーヒーをいただきました。

窓の外には、4棟の土蔵の1つが見えます。もちろん、国の登録文化財に指定されています。

別の土蔵は、主屋に隣接してギャラリー棟に改装されていて、外見も板張りに換えられています。塩谷家の出身で写真家として活躍した塩谷定好が、この土蔵の1階を写真店兼喫茶室、2階を写真スタジオに改造しました。
現在はカフェの土蔵スペースとして使用されていますが、建物自体は傾いていて、屋根端が隣の土蔵の軒にくっついていました。

その内部はこんな感じです。土蔵の内装をそのままレトロチックな風情に生かして、独特のムードを演出しています。

2階の写真スタジオ部分は改修で大半の床を撤去され、釣り式の掛け材と、階段とが残されています。

塩谷定好が使用していたであろう、電話機です。配線が照明のそれに繋がって残されているようなのですが、いまも現役で使える、というのではなさそうです。

昔の蓄音機です。子供の頃はレコードで音楽を聴いたりしましたから、こういう遺品に出会うと懐かしい気分になります。

昔の糸車も置いてあります。アンティークのインテリアとしては珍しい部類に属しますが、独特の存在感があって良いです。かつては養蚕も盛んであった赤碕なので、こうした糸車はどの家にもあったものと思われます。

庭園からみた、主屋の外観です。街道に直面する商家建築としては古例に属し、棟を東西に伸ばして二階建とし、屋根は、切妻造の桟瓦葺とします。外壁は漆喰塗で、上下階に広く繊細な格子をたてています。

庭園にて何かを見上げるTさん。

庭園の横には石積みで構築された園池がありますが、水は流れていませんでした。築山の上に小さな祠があるので、かつては水が流されていたと思われますが、導水施設も流水の痕跡も見当たらないので、かなり改変されているようです。

街道に面した続きの覆屋には、昔ながらの円筒形ポストがいまも現役で頑張っていました。 (続く)