2期第4話「修学旅行!」に登場する、HTTが道に迷った場所は、民宿嵐山の東西にかたまって分布していることが判明しました。同一地点でアングルを変えて景色を採るのが京都アニメーションの取材スタンスなので、それをふまえつつ探すと、他のシーンの舞台も簡単に見つかりました。
例えば、上図のように鎌利商店の辻を北に50メートルほど進んで振り返ると、既視感のある景色がありました。
劇中ではもう少し引き寄せた構図になっています。数歩戻ってみました。
このシーンですね。ほぼ一致しています。
したがって、道をそのまま北に進んでゆけば、他のスポットが見つかるのではないかと考えました。北上して再び嵐電の踏切を渡りました。
次の交差点に出ました。そのまま道なりにまっすぐ進むとJR嵯峨嵐山駅の前に行きますが、その範囲に劇中の景色は見当たりませんから、別の地区に行ってみることにして交差点を左折して西に進みました。道は「高島診療所」の前を通って、JR嵯峨嵐山駅の南通りと交差します。
「高島診療所」の前に立つ電柱の姿に見覚えがありました。あっ、これか、と気づきました。
このシーンですね。よくこんな場面を採用するものですね。けいおん劇中にはこういう電柱とか信号機とかのカットが頻繁に出ますが、全て実在の施設です。探すのがけっこう難しいです。
JR嵯峨嵐山駅の南通りとの交差点に出ました。上図右手にJR嵯峨嵐山駅が見えます。要するに一周して戻ってきた形ですが、このままJR嵯峨嵐山駅に戻っても意味が無いので、上図左手の路地に、試しに進んでみました。
交差点からすぐの所に京都新聞の店舗があります。地図を見ると、その北側に袋小路みたいな場所があり、JR嵯峨嵐山駅の南側でありながらも段差があって駅には行けないのでした。ピンとくるものがありました。
そこで、上図の辻で右に曲がって進みました。
道は左へL字に曲がり、「竹内医院」の裏手の三叉路に出ました。上図は三叉路から東を見た図で、右手の和風の屋敷門が「竹内医院」の門のようです。この景色に既視感がありました。ここか、と感動しました。
劇中シーンは黄昏から夜中にかけての暗い描写ですので、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、突き当りの民家の玄関部分の構えなどが一致しています。ここでHTTのメンバーは更に迷い込んで困惑したわけです。
意外にあっさりと、劇中スポットが判明したので、ちょっと拍子抜けしました。劇中ではさんざん道に迷っていましたから、実際に道が分かりにくい場所なのだろうかと予想していましたが、よく考えると嵐山地区で道に迷うというのは、よっぽどの事が無いと不可能です。ほとんどの道をたどってもJRか嵐電の線路に突き当たりますから、駅まで移動するのも簡単です。南に行けば桂川に出ますから、東の鹿王院地区へドンドン行ってしまわない限り、道に迷わないのです。
なので、JR嵯峨嵐山駅の南側の袋小路みたいな場所、行き止まり地点は、他にはほとんどありません。逆に考えると、その袋小路みたいな場所を、製作サイドが「道に迷う場所」として採用するのはむしろ当然であっただろう、と思われます。
しかもこの場所で、生徒会長真鍋和率いる班も道に迷って、HTTのメンバーと合流します。真鍋和が駅への道を尋ねているので、この日の班別自由行動の帰路は、電車利用であることになっていたようです。
この場合の駅とは、おそらくJR嵯峨嵐山駅であったのでしょう。彼女たちが泊まっていた宿泊施設は実在の「花園会館」がモデルですが、それはJR花園駅が最寄で、嵯峨嵐山駅から二駅目になります。嵐電に乗ると方向が南寄りになりますから、花園地区からも大きく離れてしまいます。
2期第4話「修学旅行!」のストーリーでは、一日目に金閣寺と北野天満宮を回り、二日目に自由行動で嵐山に行っていますが、この範囲で修学旅行団体が格安で利用できる大型宿泊施設は、実は数えるほどしかありません。「花園会館」は、その数少ない候補のひとつで、実際に修学旅行団体の定番施設になっています。
京都アニメーションのスタッフも当然そのへんの事情を知っていたでしょうから、嵐山地区の観光事情とあわせて実態に即した日程で現地にスポットをいくつか設定して製作していたのだな、と分かります。
ただ、HTTや生徒会長たちがさんざん道に迷う場面は、実際の地理を考えるとちょっと無理があります。場面を順番に追っても、実際の場所がバラバラに分散して繋がっていないため、適当に場所を組み合わせて物語をまとめていることが分かります。このへんはアニメならばでの設定でしょうね。 (続く)