2017年5月17日の八度目の「けいおん!」巡礼の後、京都四条にて模型サークルの先輩N氏と出会い、そのまま近くの模型店「B's Hobby京都店」へ同道しましたが、その際にガルパン車輌プラモデルに関する重大な御教示にあずかりました。
事の次第はこうです。まずN氏が「九四式六輪自動貨車」に関して尋ねてきました。随分前に、そのキットをガルパン車輌向けに、と譲って下さった方です(関連記事はこちら)から、その後のキットの消息を気にしておられたようです。
「実は、まだ作ってないんです。済みません・・・」
「別に謝らんでもええよ。大事に持っとけば、それでええ。あのキットも絶版に近くなったんでな」
「えっ、そうなんですか」
「元々マイナーなやつなんで、ファインモールドの出荷数も少なかったし。再生産は当分ねえかもしれんしな。ガルパンに出たことで多少名前が知られるようになったみたいで、どこでも売れてしまって無くなっとるんよ」
そのことにどこか満足げなN氏でした。トラックマニアだけに、トラックのキットが売れてゆくのが嬉しくてならないのでしょう。
店内の商品の列を丹念に見ながら、次に聞いてきたのは、プラウダ高校チームのBM-13「カチューシャ」は作ったのか、という内容でした。
「まだ作っていませんが、キットは確保してありますんで、いずれ作ります」
「それはええ。キットって、どこのやつなん?」
同じ商品がたまたま隣の棚にあったので、指さして教えました。

上図のズベズダの品でした。ズベズダが販売していますが、キット自体はイタレリの製品です。詳細はこちら。
それを見たN氏は、どういうわけか「うーん」と考え込みました。
「これ、ちょっとアレやね。ガルパンの車輌と違うね」
「えっ?・・・これ買ったの間違いやったのですか?」
「半分は、間違いやな・・・」
「マジですか・・・!」

同じ棚にはソ連軍車両のキットが集まっていたので、上図のキットもありました。詳細はこちら。
「これは・・、このホビーボスのキットは・・・」
「それも半分違う。ズベズダと一緒の車輌やからな・・・」

私は続けて上図のキットを示しました。ICMのキットです。詳細はこちら。
しかし、N氏は苦笑しつつ「それも違う。車輌が米軍のスチュードベーカーになっとる」と言いました。
「つまりやな、ガルパンのやつは、トラックの車種がここに並んでるキットのやつとは全然違うのよ。ここに並んでるキットのやつは全部、戦後に造られたトラックなんよ」
「トラックが・・・、違うのですか?」
「そう」
「するとあれですか、戦車道の規則にいう1945年までの車輌でないってことですか」

その際にN氏は上図の品を指しました。アークモデルズの製品です。詳細はこちら。
「1945年までの車輌、ってことであれば、こういうやつがバッチリや。トラックはZis-6で戦前戦中の量産型やからな。やけど、ガルパンのBM-13のトラックとは違うやろ?」
その問いかけに、私もようやく意味がのみこめてきました。どうやらBM-13「カチューシャ」というのは、時期によって異なるトラックを使用していたようで、ガルパンの劇中車は私が買ったズベズダのキットを含めた前述の製品群とは異なる、ということのようでした。
「つまりは、トラックの部分がガルパン独自のやつ、ということですか?」
「独自、ってわけでもねえ。実際にソ連軍では沢山運用してるし、そのタイプのBM-13もあるんや。要するにガルパンのやつは、トラックがZil-157になってるのよ・・・」
「Zil-157・・・ですか?」
「うん、Zil-157はソ連の戦後のカーゴトラック型の二代目や。改良版がZil-157Kなんやが、ガルパンのはどっちか分からんな」
「外見上は同じなんですか?」
「うん、エンジンの一部とトランスミッションを改良しただけやから、車体そのものは同じや」
ミリタリートラックに関しては、彼の右に出る者はいない、とサークル内でも一目置かれているN氏の説明によれば、BM-13「カチューシャ」はトラック部分が時期によって四種類ぐらいあるそうです。戦前戦中はZis-6、戦後からはZis-151、Zil-157、スチュードベーカーが運用されたということです。そしてガルパンの劇中車は、Zil-157を使用しており、その適応キットは現時点では存在しないそうです。
ちなみに私が確保していたズベズダのキットは、トラック部分がZis-151であるそうです。確かに「半分は間違い」であるわけです。
「いまのお話だと、ガルパンのBM-13を完全再現出来る適応キットが無いわけですから、あとは改造しか方法が無いことになりますか?」
「いや、ニコイチで作れると思うよ。Zil-157は、トラックのキットが出とるから・・・」

そのZil-157Kトラックのキットは、上図のトランぺッターの製品が唯一であるそうです。昔の製品なので既に入手困難になっているようで、あとは中古品の在庫を探すよりないだろう、ということでした。詳細はこちら。
N氏は「そのトランぺッターのキットがあれば、そのトラックのシャーシーにズベズダのBM-13のユニットを載せればええんや。それでガルパンの車輌が再現出来る」と言いました。
「すると、両方のキットの残りのパーツは・・・」
「それもガルパンの車輌に作れるよ。ほら、劇場版でプラウダチームのメンバーを荷台に乗せてるトラックがちょっとだけ出てきたやろ?あれはたぶん、Zis-151や。ズベズダのキットのトラックと同じや。トランぺッターのキットで余る荷台部分をそれに乗せたら、そのままZis-151トラックを再現出来るんと違うかな。荷台部分はZis-151もZil-157Kも共通やったからな」
「なるほど・・・!!」

それからの二、三回の休日は中古ショップ巡りに打ち込み、ほうぼうへ探しに出かけた挙句、岡山市のリサイクルショップのプラモデルコーナーで、やっと目当てのZil-157Kトラックのキットを見つけました。上図のように状態は良好でしたが、長い事売れなかったためか、値引きシールが3枚も貼り重ねられ、価格は700円に落ちていました。

かくして、ガルパンのBM-13「カチューシャ」および劇場版のZis-151トラックを上図の二点のキットの組み合わせで再現出来る目処がたちました。
そのことをN氏に報告すると、「あれはガルパンの戦車道試合の規則では対象外の車種なんやねえ。Zil-157KもZis-151も戦後型やからねえ。せやから支援車輌になってるわけやね」と笑っていました。
「そういうことなんでしょうね・・・」
「で、作るのはだいぶ後のことになるか」
「ええ、たぶん・・・」
「作る時はきっちり覚悟決めて、気合入れてやっていけよ。ほとんどアートやから」
「は?アート・・・?」
「うん、ズベズダのやつもトランぺッターのやつも、アートって言うか、芸術的レベルで精巧なキットやからな・・・」
そのN氏の言葉は、両方のキットの中身を見た途端に、大変によく理解出来ました。いずれもフルインテリアキットで、エンジンや動力伝達部などが多数のパーツで構成されているという、今までに見たことのないような細かいモデルであるからです。
事の次第はこうです。まずN氏が「九四式六輪自動貨車」に関して尋ねてきました。随分前に、そのキットをガルパン車輌向けに、と譲って下さった方です(関連記事はこちら)から、その後のキットの消息を気にしておられたようです。
「実は、まだ作ってないんです。済みません・・・」
「別に謝らんでもええよ。大事に持っとけば、それでええ。あのキットも絶版に近くなったんでな」
「えっ、そうなんですか」
「元々マイナーなやつなんで、ファインモールドの出荷数も少なかったし。再生産は当分ねえかもしれんしな。ガルパンに出たことで多少名前が知られるようになったみたいで、どこでも売れてしまって無くなっとるんよ」
そのことにどこか満足げなN氏でした。トラックマニアだけに、トラックのキットが売れてゆくのが嬉しくてならないのでしょう。
店内の商品の列を丹念に見ながら、次に聞いてきたのは、プラウダ高校チームのBM-13「カチューシャ」は作ったのか、という内容でした。
「まだ作っていませんが、キットは確保してありますんで、いずれ作ります」
「それはええ。キットって、どこのやつなん?」
同じ商品がたまたま隣の棚にあったので、指さして教えました。

上図のズベズダの品でした。ズベズダが販売していますが、キット自体はイタレリの製品です。詳細はこちら。
それを見たN氏は、どういうわけか「うーん」と考え込みました。
「これ、ちょっとアレやね。ガルパンの車輌と違うね」
「えっ?・・・これ買ったの間違いやったのですか?」
「半分は、間違いやな・・・」
「マジですか・・・!」

同じ棚にはソ連軍車両のキットが集まっていたので、上図のキットもありました。詳細はこちら。
「これは・・、このホビーボスのキットは・・・」
「それも半分違う。ズベズダと一緒の車輌やからな・・・」

私は続けて上図のキットを示しました。ICMのキットです。詳細はこちら。
しかし、N氏は苦笑しつつ「それも違う。車輌が米軍のスチュードベーカーになっとる」と言いました。
「つまりやな、ガルパンのやつは、トラックの車種がここに並んでるキットのやつとは全然違うのよ。ここに並んでるキットのやつは全部、戦後に造られたトラックなんよ」
「トラックが・・・、違うのですか?」
「そう」
「するとあれですか、戦車道の規則にいう1945年までの車輌でないってことですか」

その際にN氏は上図の品を指しました。アークモデルズの製品です。詳細はこちら。
「1945年までの車輌、ってことであれば、こういうやつがバッチリや。トラックはZis-6で戦前戦中の量産型やからな。やけど、ガルパンのBM-13のトラックとは違うやろ?」
その問いかけに、私もようやく意味がのみこめてきました。どうやらBM-13「カチューシャ」というのは、時期によって異なるトラックを使用していたようで、ガルパンの劇中車は私が買ったズベズダのキットを含めた前述の製品群とは異なる、ということのようでした。
「つまりは、トラックの部分がガルパン独自のやつ、ということですか?」
「独自、ってわけでもねえ。実際にソ連軍では沢山運用してるし、そのタイプのBM-13もあるんや。要するにガルパンのやつは、トラックがZil-157になってるのよ・・・」
「Zil-157・・・ですか?」
「うん、Zil-157はソ連の戦後のカーゴトラック型の二代目や。改良版がZil-157Kなんやが、ガルパンのはどっちか分からんな」
「外見上は同じなんですか?」
「うん、エンジンの一部とトランスミッションを改良しただけやから、車体そのものは同じや」
ミリタリートラックに関しては、彼の右に出る者はいない、とサークル内でも一目置かれているN氏の説明によれば、BM-13「カチューシャ」はトラック部分が時期によって四種類ぐらいあるそうです。戦前戦中はZis-6、戦後からはZis-151、Zil-157、スチュードベーカーが運用されたということです。そしてガルパンの劇中車は、Zil-157を使用しており、その適応キットは現時点では存在しないそうです。
ちなみに私が確保していたズベズダのキットは、トラック部分がZis-151であるそうです。確かに「半分は間違い」であるわけです。
「いまのお話だと、ガルパンのBM-13を完全再現出来る適応キットが無いわけですから、あとは改造しか方法が無いことになりますか?」
「いや、ニコイチで作れると思うよ。Zil-157は、トラックのキットが出とるから・・・」

そのZil-157Kトラックのキットは、上図のトランぺッターの製品が唯一であるそうです。昔の製品なので既に入手困難になっているようで、あとは中古品の在庫を探すよりないだろう、ということでした。詳細はこちら。
N氏は「そのトランぺッターのキットがあれば、そのトラックのシャーシーにズベズダのBM-13のユニットを載せればええんや。それでガルパンの車輌が再現出来る」と言いました。
「すると、両方のキットの残りのパーツは・・・」
「それもガルパンの車輌に作れるよ。ほら、劇場版でプラウダチームのメンバーを荷台に乗せてるトラックがちょっとだけ出てきたやろ?あれはたぶん、Zis-151や。ズベズダのキットのトラックと同じや。トランぺッターのキットで余る荷台部分をそれに乗せたら、そのままZis-151トラックを再現出来るんと違うかな。荷台部分はZis-151もZil-157Kも共通やったからな」
「なるほど・・・!!」

それからの二、三回の休日は中古ショップ巡りに打ち込み、ほうぼうへ探しに出かけた挙句、岡山市のリサイクルショップのプラモデルコーナーで、やっと目当てのZil-157Kトラックのキットを見つけました。上図のように状態は良好でしたが、長い事売れなかったためか、値引きシールが3枚も貼り重ねられ、価格は700円に落ちていました。

かくして、ガルパンのBM-13「カチューシャ」および劇場版のZis-151トラックを上図の二点のキットの組み合わせで再現出来る目処がたちました。
そのことをN氏に報告すると、「あれはガルパンの戦車道試合の規則では対象外の車種なんやねえ。Zil-157KもZis-151も戦後型やからねえ。せやから支援車輌になってるわけやね」と笑っていました。
「そういうことなんでしょうね・・・」
「で、作るのはだいぶ後のことになるか」
「ええ、たぶん・・・」
「作る時はきっちり覚悟決めて、気合入れてやっていけよ。ほとんどアートやから」
「は?アート・・・?」
「うん、ズベズダのやつもトランぺッターのやつも、アートって言うか、芸術的レベルで精巧なキットやからな・・・」
そのN氏の言葉は、両方のキットの中身を見た途端に、大変によく理解出来ました。いずれもフルインテリアキットで、エンジンや動力伝達部などが多数のパーツで構成されているという、今までに見たことのないような細かいモデルであるからです。