またまた変わった題で始まりました。今日は写真なしです。
大仏様 と書いてあると多分あなたは「だいぶつさま」と読むでしょう。 私は「だいぶつよう」と読みます。これは、建築物の様式のひとつなのです。
平安時代の建物は和様といいます。柱はどちらかと言うと細く、その柱を長押と言う材料で挟んで耐力を持たせていた様式です。
その後、大仏様式が出てくるのですが、これはまったく違って太い柱に穴を開けて貫(ぬき)と言うものを通して柱どうしをつないでいた様式です。奈良の大仏様(だいぶつさま)の建物がそうですね。
地震が起こると大仏様式の建物は全体が変形します。そして貫が地震力を摩擦やしなりに変えて力を吸収するのです。よく考えられた知恵ですね。
ず^~っと後になって、数寄屋造りという建物が出てきます。この建物は繊細です。数奇屋とは数々の奇なことがある建物という意味だと、私は教えられました。奇とは驚くデザインと私は認識しています。 有名な建物で桂離宮とかがありますね。
さてさて、何でこんなことを書いているかと言うと、 今日、改装をするか壊して新築にするか迷っていらっしゃるお客様のところへ行きました。
もう100年近くになるすごく立派な家です。 けど調べると柱が倒れていたり床がしなっっていたり、そして大きな問題は、耐力壁、つまり筋交いが入った壁がないのです。
はい、ここで出てきた言葉「筋交い」 よく聞く言葉ですね。けれど、筋交いは私の記憶が正しければ和様・大仏様・数寄屋造りには入っていないのです。
そりゃ、昔の人は筋交い自体を知らなかったし、物理も進んでいなかったからそんな使い方を知らなかったんだろう。 と思いますよね。
けど実は・・・・材料を斜めにすると変形しないということは知っていたのです。それが証拠に、家を造るときの足場に斜めに材を使ったり火の見やぐらに斜めの材を使ったりしていたのです。
じゃあ、何で筋交いを使わなかったの?
ここからは調べたことと、私の見解入り混じった意見ですが、
まず、筋交いは圧縮方向しか効きません。最近は金物でとめるようになっていますので引張りにも効きますが、昔は圧縮方向のみでした。だからバランスを崩すと考えたのでしょう。
もうひとつ、筋交いの足元にはすごい力がかかります。水平の力を圧縮の力に変えていますので、当然足元は外に逃げようとします。すると柱の足元に大きな力がかかります。それと、柱に引抜がかかります。今はホールダウン金物で引き抜きに耐えるようになっていますが、昔はありませんでした。
その他にもいろいろあると思いますが、知っていたのに使わなかった理由があるんですね。
さてさて、今の家は筋交いは当たり前のように使っています。というか、使わなくちゃ造れないケースが多いのです。
私たち建築屋は、筋交いにはそういうリスクがあると言うことを認識した上で、適材適所に使っていく、それが正解なのでしょうね。
昔の家は、しなって力を受けていた、 今の家はガチッと力を受ける。 もうこのことは変えようがありません。
と、いうことを書こうと思って今日書いたんじゃないんだ!!横道にそれてしまった。。。。。
見せていただいた家が味があって本当に良かったんです。だから、今後耐震補強も耐力壁という面だけで考えるんじゃなくて、貫を入れたり長押で柱を挟んだりして、耐震補強が出来る方法も考えられるといいですね。
そんじゃあ、いてが考えろって?? いやいや私には無理ですよ。建築やっている技術者なら当たり前なラーメン構造をシェル構造と間違える男でっせ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます