GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

見たいのはコレじゃない 監察医朝顔2

2021-02-02 21:36:02 | MUSIC/TV/MOVIE

上野樹里が主演を務めるドラマ・監察医 朝顔。

2019年の7月クールの月9で前回放送され、大好評だったのかseason2が制作されることになった。2020年の夏秋2クール連続放送の予定だったが、新型コロナのせいで各ドラマが軒並み遅延や中止。その影響で2020年末クールから2021年1月クールに変更された。

今、そのseason2の12話目なんだが、どうも今回イマイチ入り込めない。なんか毎回コレジャナイ感が・・・。

あっこの先かなりネタバレになると思うから、まだ撮り溜めして見ていない人はこの先は読まないでね。

 

この監察医・朝顔は漫画原作で、ドラマ化にあたって一部変更されてるが、上野樹里演じる法医学者が事件や事故の被害者・遺体を検視し、隠れた真実を見つけ出すって内容は変わりない。

警視庁捜査一課の敏腕刑事だったが東日本大震災(原作では阪神淡路大震災)で被災し行方不明になった妻(上野樹里の母)・石田ひかりの遺体を捜すために、所轄・野毛山署に移動願いを出した父・時任三郎。

所轄の刑事・風間俊介と上野樹里は結婚し同居、二人の間には娘・ツグミ(加藤柚凪)が生まれ、神奈川県警捜査一課に移動した。

刑事の父・時任三郎と夫・風間俊介は捜査によって、上野樹里は法医学・解剖によって、それぞれご遺体の隠された真実を見つけていくっていうのがこのドラマの大幹。特に上野樹里は震災直前まで一緒にいた母のことがトラウマとして残ってて、それが検視の際にご遺体の「生きた証」を見つけ出そうとする原動力となっている。

その仕事・現場での緊張感を、朝顔(上野樹里)の家で繰り広げられる何気ない日常が丁寧に描枯れることで緩和されてたのが、このドラマの魅力だ。

season1はそれがうまく描かれてた。

 

ところがseason2はなんかちょっとおかしい。

脚本家が変わったのか、演出家やプロデューサーが変わったのかわからないが、なんかずれてるぞ。随所で「このシーンいる?」とか「何が描きたいんだろう???」ってのが満載なのだ。

 

まず事件が起こってもその事件自体はあっけなく解決する。下手すりゃナレ死ならぬナレ逮捕だ。

肝心のご遺体の死因もなんかなぁってのばっかり。

第1話の歩道橋事故でパニックの最中痴漢してたとされたご遺体は突然死。第2話のご遺体は結局感電死の後の不幸な事故、第6話〜7話で風間俊介に誤射の嫌疑がかけられた事件も、死んでた遺体が歩いたんだって・・・。

あんまり捜査と法医学が結びついていない。

 

第1話で「恋人はあいつのせいで死んだ〜!殺されたんだ〜」と喚き回ってた若い男(ジャニーズJr.?名前知らん)は煩いだけで超下手くそでウンザリ。

第2話の双子の兄弟の弟が、死んだ優秀な兄になりすまし入れ替わってるということを、現場に何度も足を運んだり、昔二人が描いた絵によって見抜いたりするのだが、それは警察の仕事で監察医・上野樹里の仕事ではない。

 

season1で上野樹里の勤務先にアルバイトできてた田川君が、歯科医師(実家が歯科)になるため辞め、代わりにやってきた望月歩は、勝手に検視解剖されたご遺体の画像を自分のスマホで撮影し、それを友人にネットに上げられ大炎上。一旦は呆れるみんなだが、結局許す。ありえんやろ・・・。

このせいで法医学主任教授・山口智子は退職するのだが、資料を残す部屋を作るために教授室を改装して使いましょうとか提案してたのや、大谷亮平がチョロチョロとうろついてたのは全てこれの前振りだったのか?

 

season1の最初の方では高時給目当てで法医学などには興味なく、空気の読めないキャラだった志田未来もseason2では立派な即戦力。だが狂犬病の疑いのある患者に使ったメスで自分の指を傷つけてしまう。

これ、『コードブルー』で戸田恵梨香がすでにやってない?(あれはエボラ出血熱だったが)

『バイプレーヤーズ season3』の第1話で「芝居のためなら魂以外は平気で捨てる」と紹介された志田未来だけに感染に怯えた迫真の演技を見せたが、これは今のコロナ禍、逼迫してる医療現場を比喩して描いているのか?

「上野樹里が山口智子がいないのを補おうと働くことによって周りにしわ寄せがきてる」を描くことによって今のコロナ患者受け入れ医療施設の現状をメッセージしてるのか?

「過労から注意力散漫になり油断してしまう現場スタッフ」を描くことによって、医療現場の大変さを伝えたいのか?

感染症の怖さを描きたかったのか?

 

それなら板尾釧路のハムスターとか、中尾明慶の移動パン屋店員・矢作穂花への恋心とか、要るの?

後でこれもなんか事件と絡んでくるのかなぁ。

 

時任三郎は遺体探し専念のために刑事を辞め舅(上野樹里の祖父)の元へ行くのだが、その義父・柄本明は、入れ替わりのように入院してしまう。

第1seasonでは未だに娘・石田ひかりの遺体を探す時任三郎を疎ましく思ってたのだが徐々に理解、最終話で家族全員揃って訪ねて来た際に、上野樹里と娘をシンクロさせた幻を見て慟哭する演技は見事だった。

時任三郎は車のキーを忘れたり、道を間違えたり覚えられないから書き留めたり、認知症の症状が出てる。「俺の家の話」でも西田敏行が認知症になってるが、見てて辛いだけだぞ。

 

風間俊介は誤射を疑われ監察官に執拗に取り調べで責められ、事件解決後は発砲の後始末で刑事部長の田中要次に依願退職を迫られる(憎たらしい監察官がここでは味方になる)。

こんなこと描くから警官が舐められるんだ。どうせ撃てないんだろうってね。撃ったら始末書書いて出世コースから外れるぞってね。

しかも長野の交番勤務に異動になるという、もはやなんのこっちゃよくわからん展開。

神奈川県警から長野県警に移動なんてのはまずありえんと思うがそこはドラマだ大目に見よう。

旅館の跡を継ぐために退職した検視官・三宅弘城がseason2では山梨県系の検視官として復職し、さらに神奈川県警の検視官として戻ってきてるのだから。そのとばっちりでseason1で上野樹里らのやり方に不服だったが徐々に打ち解けてきた検視官・杉本哲太がいなくなった。

 

朝顔・上野樹里の家は時任三郎も風間俊介もいなくなり、娘・加藤柚凪と二人暮らし。

season1で描かれてた家族団欒の和気藹々シーンはもうない。

 

それを補うかのように登場させたのか?風間俊介の姉・ともさかりえ。

信用金庫に勤めてたのを辞めてから警察学校行って警官になって、署長推薦受けても3人に一人しかなれない刑事になり、退職した時任三郎に変わり野毛山署強行犯係に配属される。旦那と子供を茨城に残し単身赴任というドラマとはいえこれでもかってくらい強引すぎるほどゴリ押しな設定。

そのともさかりえは風間俊介の代わりにしょっちゅう上野樹里の家にやってくる。しかし、見たいのはそれじゃぁない。

捜査では全く役に立っていないし先走るしいらんこと言うともさかりえ。上野樹里宅に来たり風間俊介の引っ越し手伝ったり、なんかしょっちゅう休んでるし、一人早上がりしてるのか?ってくらいだ。これなら別に刑事って設定じゃなくて良くない?

 

野毛山署強行犯係係長の戸次重幸も謎。

なぜか上野樹里宅の食器や道具のありかを細かく知っている。おかしいなぁ、season2の最初の方で、まだ時任三郎も風間俊介もいる頃に風呂上がりの姿を見られて誤解された話からそんなに経ってないんだけどなぁ。「なんとかの皿は三番目の棚」とか「調味料はどこどこ」とか、いつそんなに詳しくなるくらいこの家に上がり込んだんだ?

しかも軽快に中華鍋を振るい「ミシュランがどうのとかの中華料理店で働いてた」とか裏設定までされてる。要るか?このシーン。

 

入院する前に柄本明が時任三郎を連れて行った定食屋(夜は居酒屋?)の女将・大竹しのぶは石田ひかりの同級生。テレフォンカードを大事そうに持っていて、つながらないのをわかっていなが店の緑の公衆電話で石田ひかりの携帯電話にかけてる。

 

しかしこの大竹しのぶ、なんか陰キャラで、時任三郎にコナをかけたり遠回しに口説いたりしてる。

父の認知症を疑う上野樹里からの「変わりはないですか?」って質問にも平気で「大丈夫よ」と嘘を言い、「もの忘れくらいあるわよ」と言い放つ。

車の鍵を忘れたり、柄本明が転院したのに前の病院に行ったり、明日の電車の時間を何度も聞いたり、流石に気づいた上野樹里に「わかってたでしょ、なんで嘘ついたんですか」と問い詰められても「都会で仕事して、子供もいて、おじいさんの介護しながら、父の面倒まであなた見れるの?」と言い放つ。

さらには「平さん(時任三郎)には私が付いているから」とマウント。もはや思い込みの激しいストーカー並み。怖いぞ。

 

season1でも産廃業者のせいで土砂崩れに巻き込まれた風間俊介は、season2でもトンネル崩壊事故に巻き込まれる。

長野県のトンネル崩壊事故なのだが、なぜか神奈川県警の検視官・三宅弘城が指揮をとり、さらに上野樹里の大学にも派遣要請が入り、以前も災害検視の経験がある志田未来や中尾明慶などとともに現地に入る上野樹里。

風間俊介の携帯を何度も鳴らすが連絡が取れない。どうも先日から幽霊が出るとか変な音がするという地域の声でトンネルに巡回しに行ったみたいだ。

間違いなく巻き込まれ、死亡フラグ立ちまくりの展開だったが、今回も無事。

だったが今度は留守番を頼んでいたともさかりえが目を離したすきに、ツグミ(加藤柚凪)がいなくなる。こちらもじいじ(柄本明)のとこへはどうやっていくの?」「新幹線に乗って行くんだよ」なんて会話とお絵描きが前振りされてたから、行こうとしたんだろうけど、なんかなぁ。

 

上野樹里が働きすぎで大変そうだからとか変に気を使ってる子供って。

今回season2の加藤柚凪はただのイヤイヤ期のガキにしか見えなくて、どうも苦手なんだが・・・。

 

結局トンネル崩壊事故では死人は0。これじゃぁ、風間俊介が事故に巻き込まれたのも、つぐみ(加藤柚凪)が行方不明になるための前振りでしかない。

見たいのは上野樹里のしかめっ面や辛い顔ではない。

見たいのは子供が気を使ってる姿ではない。

無理をして頑張ってる姿ではない。

 

ご遺体から法医学の力によって、真実の声を聞く姿。

捜査によって事件の解明や追及をする姿。

そして仕事の顔とは違う子供を交えたリラックスした家族との顔。

これが見たいんだけどなぁ。

 

監察医 朝顔 season2はどうやら違う方向のようだ。

来週からはもういいか。