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NHK大河ドラマの見所は

2021-02-21 13:58:02 | MUSIC/TV/MOVIE

NHK大河ドラマ。

長谷川博己主演の『麒麟がくる』が終了して、先週から吉沢亮主演の『晴天を衝け』が始まった。

いきなり北大路欣也さんが出てきて「徳川家康です」って挨拶されてビックリ。これは『麒麟がくる』のラストで明智光秀が生き延びて天海説を暗示しているのか、それとも『麒麟がくる』で風間俊介が演じてた若き家康の続きなのか、それとも次の次(2023年)の第63作目大河『どうする家康』で松本潤が家康を演じるという番宣なのか。どれにしてもよくわからん。

 

大河ドラマといえば、歴史上の人物に焦点を当てその生涯を描くってのがパターンだ。

したがって賛否両論がある。あまり有名じゃない人だと「誰それ?」って興味がわかないし、有名な人だ「このシーンを何故省く!」とかクレームが入る。「この部分が史実と違ってる」ってのはどっちの場合でもある。それは仕方がない。

 

前者の「誰それ?」は『いだてん』とか『おんな城主 直虎』『花燃ゆ』あたりではないか。大河の前から金栗なんとかや田畑なんとかって人を知ってる人はかなりの高齢者か五輪関係者だけだっただろう。そんな人の一代記を誰が観たいとNHKは思ったのだろう?

「井伊直虎、あぁ知ってるよ」って人はよほどの戦国マニアだろうし、杉文と聞いて「吉田松陰の妹で久坂玄瑞と結婚した後のかとり実和子ね」などという人は山口県歴史保存会の会員かなんかだろう。そんな通な人は大河ドラマ見ないか、見ても「この部分が史実と違ってる」ってげんなりするんだろうな。

 

『麒麟がくる』は明智光秀が主役だ。

明智光秀はよほどの勉強嫌いや過去に興味は無いぜって人以外は知ってるだろう。『信長協奏曲』の主人公サブローは知らなかったが、光秀が信長の天下取りのサポートをし、出世し、本能寺で裏切り、山崎で秀吉に討たれ三日天下で終わるってことは衆知だろう。

 

明智光秀は戦国史にいきなりに登場してくる。それ以前は不明だ。したがってそんなところを想像であれこれ描かれてもなぁって。ましてや堺正章や岡村隆史とか門脇麦って・・・。

それよりは斎藤道三(本木雅弘)や帰蝶(川口春奈)との出会い、織田信長(染谷将太)と出会い足利義昭(滝藤賢一)の上洛をサポートするってところからを十分描いてくれた方が視聴者は嬉しいのではないかね。

三好三人衆が急襲してきた本圀寺での戦いで、信長の援軍が来るまで義昭を守りきった話とか、浅井長政の裏切りによる金ヶ崎の戦いで、秀吉とともに少人数で撤退戦をしのぎきった話とかはちゃんと描かれてたのかな?

 

明智光秀は作法も教養もあるのにベジータ並みに高い戦闘能力を持ち、銃の扱いもかなり長けてたみたいだ。

 

明智光秀は決して善人ではない。そんなお人好しなら戦国時代を生き抜けないし、ましてや出世なんか絶対無理だ。

フロイス曰く「才知、深慮、狡猾さにより信長の寵愛を受ける」「裏切りや密会を好む」「己を偽装する抜け目のなさ」「謀略を得意とし計略と策謀の達人」。

だから比叡山焼き討ちも冷静にこなし、柴田勝家や滝川一益など織田家譜代家臣を追い抜き最初の城持ち大名に出世してライバル秀吉をも一歩リードするのだ。

なのに何故かNHK大河ドラマは明智光秀をいい人として描きたかった節がある天下泰平を願う。そのために戦っている。まるで北斗の拳のラオウが、乱世を収められるのは暴力による支配のみだと覇王を目指したようだ。

 

その光秀は本願寺との天王寺での戦いで死にかけるけど、信長自身が救援に来てくれたくらい愛されてた。その信長を、何故光秀は本能寺で討ったのか。陰謀説、怨恨説、野望説、朝廷関与説、イエズス会関与説、秀吉謀略説・・・。歴史マニア最大の謎だが、これをたった2話で描くという無茶はいかんよ。

 

さらに秀吉の中国大返し、その間の光秀の動き、そして最後の山崎の戦い。

これだけで少なくとも4ー5話は必要だと思うのだがなのにたった1話だったみたいだ。

すごいなぁ。赤穂浪士の討ち入りで「吉良は大石内蔵助率いる赤穂浪士に明け方屋敷に攻め込まれ首を取られた」ってナレ死で終わられたようなもんだ。

 

大河ドラマの見所は合戦シーンではないのか?

そりゃ、今までに何度も描かれてるからって省きたくなるのもわからんでもないが、それでもやっぱり両軍入り乱れての戦闘シーンは見たいのよ。

 

桶狭間で今川義元を信長が奇襲して討ちとるのは誰もが知ってる。でも見たいのよ。その今川義元は本当は輿になんか乗ってなかったとか、実は剣術にも長けてたとか、どう描いてもいい。でも雨の中、鬨を上げて少数精鋭の信長軍が攻めていくシーンはやっぱり描いて欲しいのよ。

同じように金ヶ崎の退き口でちゃんと逃げおおせたことも誰もが知ってる。浅井長政の裏切りを、お市が両端を結んだ小豆で知らせてくれた説も使おうが使わまいがいい。

比叡山焼き討ちの正当性をどう描こうがいい。

長篠の戦いで三段銃攻撃があったとかなかったとか、そもそも武田騎馬軍団は戦闘時に馬に乗って戦っていないとか、武田勝頼は風林火山の旗印の使用が認められてなかったから指物があるのはおかしいとか、そんなのどうでもいいのよ。合戦シーンさえあればね。

 

大河ドラマファンは、史実上有名な戦国武将が主役の場合はそこらへんを期待してると思うんだけどな。

 

戦国時代や幕末というのは主役級クラス、メジャーキャラクターがかなり多い。それこそ誰を主役にしてもドラマが作れるくらいだ。誰に焦点を当てて何をどう描くかで変わってくる。

あまり有名じゃない人だと「誰それ?」って興味がわかないから、どれだけ視聴者を引き込めるかが勝負になってくる。

『篤姫』で宮崎あおいが演じた天璋院篤姫や、『功名が辻』で仲間由紀恵が演じた千代も、どちらかといえばマイナーだが、ドラマの描き方がかなり良かった。

 

『功名が辻』はお家断絶状態の山内一豊が、織田信長〜秀吉〜家康と仕えて土佐一国の大名となるまでのサクセスストーリーとそれを支えた嫁・千代の話だ。

一般的に知られてるのは、旦那のためにへそくり全額ぶっ込んで名馬を買う「内助の功」や、あとは千代紙という綺麗な小さい折り紙の語源ってくらいだ。

しかし時は群雄割拠の戦国時代。したがって有名な戦いがいっぱいある。そこでどんな功名を上げるかってのもタイトル通り肝心なのをちゃんと作り手は心得てたみたいで、戦闘シーンも迫力あり描かれてた。

 

『篤姫』も九州薩摩の島津家〜島津斉彬の養女となり徳川家定に嫁ぐ姫さまの物語。

徳川の嫁なんて歴史上は表に出てこない人だ。多分大河ドラマがなければ篤姫という名前を知ってる人は全国民1%位だっただろう。

しかし宮尾登美子さんの原作を田渕久美子さん脚本によって、幕末最大のホームドラマとして描かれてた。家定と斉彬が死んだ後も、幕末の騒動から徳川という家を大奥から支えた女。家茂や慶喜を影で支えた女。

もちろん幕末の有名な事件や戦いもちゃんと描かれ、戦闘シーンもふんだんに盛り込まれてた。当然有名な幕末志士もあちこちに出てくるから、見てる方もわかりやすいし感情移入がしやすい。

 

大河ドラマと朝ドラは、役者なら誰もが一度は出てみたいと思うそうだ。

なんてったって国営放送、全国津々浦々どこでも見られるもんな。

民放では準主役級の俳優が、大河ドラマにチョイ役で出たら故郷の親族に「ようやく役者として一人前になったんだね」と言われたって話があるくらいだ。故郷に錦を飾るとか、認めてもらえるのは、歌手なら紅白、役者なら大河か朝ドラなんだろう。

 

今やドラマに欠かせない脇役・バイプレイヤーたちが、実名で本人役を演じるテレ東の人気ドラマ『バイプレイヤーズ』。season3になる今回の『〜名脇役の森の100日間〜』は、コロナ禍によって、森に囲まれた辺鄙なスタジオ・バイプレウッドに各局の連ドラや映画の制作チームが一気に集まった騒動を描く。

この第7話でついにあの国営報道までバイプレウッドに登場。

『アウトローの森』という映画撮影中(出演中)の役者(バイプレイヤー)たち、チンピラ役ならこの人・波岡一喜、元暴走族総長・宇梶剛士、任侠モノの重鎮・菅田俊、役者界喧嘩最強と言われる本宮泰風など、ガチで任侠・ヤクザ映画やVシネマの似合うこのメンツでさえ、口では「国営放送は撮影スケジュールをガッチリ抑えられてしまうからその間は他の民放の番組に出れなくなる・・・」と言ってるが、本音は「出たい」ってことをうまく描いてた。

 

そのNHK大河ドラマ。

先週から吉沢亮主演の『晴天を衝け』が始まった。

幕末の志士でも明治維新の礎を作った人でもない。経済界から日本を動かした男。新一万円札になる男。

よほどうまく作らんと、視聴率は右肩下がりになっちゃうぞ。

ただせさえ明治は「まだ昔じゃない」って感覚だからな。「大河にはふさわしくない」って思ってる人も多いのではないかね。

さぁどうなるんだろう。

 

 

ここまで書いといてなんだが、『麒麟がくる』は一度も観たことがなく、人(お客様)から聞いた話と想像だけで書きましたので、違ったらごめん。

ちなみに『晴天を衝け』も観る気はない。