「うっせぇわ」という楽曲にハマってる。
ってなことを書くと「今頃ですか〜」などとマウントを取ってくる人がいるが、それこそ「うっせぇわ」だ。SNSやネット全盛の今、情報はあっという間に駆け巡り、トレンドやなんとかランキングで急上昇とかなるそうなのだが、俺が知ったのはつい最近だからしょうがない。
「アメリカ大陸を見つけたんだ」とか「織田信長が本能寺で殺されたみたいだよ」とか言ってるわけではない。それなら「今頃ですか〜、すでにコロンブスが見つけてますよ(笑)」とか「もう秀吉が光秀を山崎の合戦で打ち取ってますよw」とか言われてもいいが、たかが楽曲のトレンドで時代遅れ呼ばわりされるってのもね。
そんなことよりこの「うっせぇわ」、かなり面白い曲だ。
最初に出だしのフレーズを聞いた時はチェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」のパロディソングかと思った。しかしどうやら違うようだ。リスペクトかオマージュかはされてるのだろうが、チェッカーズが触るものみな傷つけてたのに対し、こちらは内面的にムカツいてるのだ。
思春期に「あなたのためを思って」とか「将来のために」とかで押し付けられるありがた迷惑(別名:大きなお世話)なお節介に対し、ムカつくのは当然であるが、それをここまで見事に楽曲にしたのはすごい。
普通ならそのイライラを、盗んだバイクで走り出したり、真夜中に校舎の窓ガラス叩き割って解消するのだが、この歌の主人公はあくまでも心の中で「うっせぇわ」と思うだけなのだ。その鬱憤が溜まりに溜まって爆発しないことを願うだけだ。
これはボカロなのかな。歌い方や声色はかなり椎名林檎っぽいが、これはこれでよし。椎名林檎だって出てきた時は戸川純っぽいと言われてたもんな。がなり声も結構いいぞ。
GO!GO!7188やチャットモンチーに通じるスピード感と、やくしまるえつこ(相対性理論)やPSY-sのような世界観がかなりいい感じ。
特にサビの部分の「うっせぇ!うっせぇ!うっせぇわ」。
山口百恵の「これっきりこれっきりこれっきり」から沢田研二の「ダーリングダーリングダーリング」を経由し、AKB48の「会いたかった会いたかった会いたかった」まで続く同じ言葉の3連発攻撃。これはかなりヤバい。今風に言えば「エモい」か。
もちろん上には円弘志の「とんでとんでとんで・・・」攻撃ってのもあるのだが(この曲はさらに「まわってまわってまわって・・・」と続くからね)、この「うっせぇ!うっせぇ!うっせぇわ」はかなり耳に残ります。テツandトモの「何でだろう〜」と同じくらいのリフレインパワー。
そして曲のラストのリズムもいい。
プッチモニ。の「ちょこっとLOVE」のエンディングと同じように、このリズムパターンはかなり耳に残ります。
YouTubeでの再生回数がすごいと、マスコミ・メディアがこの楽曲を取り上げ始めてるのだが、その扱い方がちょっと嫌。
歌っているのはAdoって人なのだが、何なのかな?【18歳女子高生シンガー】って。
大手メディア・マスコミは紹介する際、わざわざ【18歳】とか【女子高生】とかつけて紹介してるのだが、今更【18歳】とか【女子高生】とかに何の価値があるというのだろうか?
「18歳が作った曲とは思えない出来だ」とか「18歳でこんな曲を作るなんてすごい」と言いたいのか?モーツァルトのように5歳で作曲したってのならちょっと驚きだが、18歳なら別に驚くことでもない。
石川さゆりが「津軽海峡・冬景色」を歌ってたのも18歳の時だし、宇多田ヒカルは15歳で1stアルバム「First Love」を700万枚売ってるよ。
「歌ってるのは女子高生だ」とかも別に驚くことでもない。
山口百恵は中学生の頃から歌ってたけど?
一昔のアイドルはほぼ女子高生だったし、今でもAKB48や櫻坂46とかにはJKいっぱい在籍してるぞ。新型コロナウイルスの特効薬のを高校の科学研究クラブに所属する生徒が作ったとかいうのなら世界的なニュースだがね。
別に「なんとかジェンダーだ」「何とか差別だ」とか騒ぎ立てる気はないが、ちょっと気になった。
素直にこの楽曲はいいorダメだでいいやん。
「体にいいから(食べなさい)」「健康のために(運動しなさい)」など、「何々のために」と押し付けられる価値観に、心の中で反抗するしかできないすべての人が、この楽曲を待ち望んでた(ような気がする)。
大きなお世話に心の中で叫ぶ。
「うっせぇわ」