「パットのラインは
何色に見えますか?」
「太さは?」
「本当に見えます?」
結論から書くと
ゴルフを
始めた直後から
45歳になる頃まで、
色はぼんやりして
半透明、
幅はボールの直径の
パットのラインが
見えていました。
僕の場合は、
静止画ではなく、
手元から
ラインが伸びていく
動画なのです。
打ち出された速度で
始まって、
徐々に速度が
落ちていき、
カップインという
感じに見えるのです。
打ち出す速度の
イメージも
同時に出来ますので、
素振りをせずに
イメージが
消えないうちに
打つのがスタイルでした。
ラインの話をすると
カップ幅の太さだったり、
細い糸だったり、
人それぞれだと
わかるのと同時に、
ラインが具体的には
見えない人が
いるということも
わかったのは
20代後半でした。
ある程度の
経験値がないと
ラインは読めませんし、
当然、
ラインは見えません。
ラインは
数百回、数千回、
もしくは、
数万回のパットの
蓄積なのです。
「ラインが見えると
言っている人たちって、
裸の王様の国民ですよね」
若いゴルファーに
聞かれたのは
1年ぐらい前でした。
幽霊とか、UFOとか、
オカルトチックだと
彼は決めつけていました。
僕は、そのときに
自分がこの数年、
絶好調時を除き、
以前のように
ラインが見えていない、
ということを
自覚しました。
「信じる者は
救われる。
ゴルフでは
信じられない奇跡が
日常茶飯事に
起きるのですよ」
と説明しました。
説明を聞いても
彼は信じませんでした。
その彼から
突然、メッセージが……
『今日見えました。
ライン。
僕のは光の道でした』
1年間。
相当練習をしていると
人伝に聞きました。
良かったね、と
返信をしました。
僕がラインを
感じなくなったのは、
たぶん、膝が痛くて
屈んでラインを
見なくなったからです。
約10年間。
色々と工夫をしてきて
わかったことがあります。
時々、ラインが見えます。
加齢と共に
ラインを失う人は
実は
たくさんいるそうです。
失敗した経験が
成功体験を押し潰して
自分を
信じられなくなることが
原因だと聞きました。
僕もその一人に
なりそうになったり、
セーフだと安心したり、
翻弄されています。
でも、
それも楽しいのです。
僕には光の道は
見えないと思いますが、
見慣れた半透明の
動画が再生されたら
落ち着いて
パットをするだけです。