猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

子どもに感染させないで対面教育をおこなう綱渡りの日々ー新型コロナウイルス

2020-03-10 22:04:15 | 新型コロナウイルス


私のいるNPOは、新型コロナウイルスの学校閉鎖にもかかわらず、放課後デイサービスと塾とを開いている。じつは、1対1の指導を行っているので、その意味では感染をうつす危険を冒している。

私は、ここで、こどもの心の悩みをいやすことをしている。

定時制高校2年の子は、ずっと個別級にいて、英語の教育を中学で受けていない。その子が、突然、大学に入りたいと思いはじめ、英単語を覚え始めた。横で、見ていて、間違った発音で単語を覚えていないか、間違ったスペルで覚えていないか、気をくばり、そうであれば、プライドを傷つけないように直してあげるのだ。dとbを間違う癖がある。

今年の2月、通級から工業高校電気科に受かった子は、精巧な義手を開発して人を助けたいと言う。幾何と機械が大好きだ。アインシュタインの伝記を読んで時空の歪みを教えてほしいと私に言う。慣性の法則、特殊相対論、一般相対論の話をしてあげている。

35歳の子は、ほかの居場所が閉じられており、私のところだけが人と接する場である。私にところでパソコンで自由に絵を描いている。10分間だけ、外国人向けに作られた日本語教育の教科書を使って、会話の練習をしている。ひとりで教室に来れるし、字が読めるが、うまく話せない。いろいろな方向に話しを発展させ、日常会話の練習をしている。

それから、20歳のうつの子には、1時間も話を聞いて、心の重荷を引き受けている。

そう、私は、1対1でないとできないことをしているのだ。

もちろん、スタッフはマスクをしているし、手から手への感染がないように気を使っている。部屋の換気や消毒もおこなう。私が一番気を使うのは、自分がどこかで風邪をうつってこないことである。そして、体の症状が普段と違うなら、教室に出ないことである。

感染をうつさない。

新型コロナウイルスは、軽症だけでなく、無症状でも、感染力があるという。無症状でも人に感染させるという意味がわからない。どうすればよいのか。社会活動をやめるしかないのか。

昨年の12月のはじめ、金曜日、咳をする小学1年生の指導を担当した。マスクをさせようと苦労したが、その子は結局せず、私は飛沫を浴びていた。土曜日、日曜日、月曜日、何も症状が出なかった。本当に、無症状であった。月曜日に教室に出た。

火曜日に朝、体がだるいと感じた。熱を測ったが、36.8度であった。火曜日は仕事が入っていなかったので、散歩をしただけだった。水曜日の朝も体がだるく、熱を測ったら、37.2度あった。電話連絡をして、水曜日の指導をすべてキャンセルした。そのまま、休んだ。

木曜日には、36.6度に戻った。金曜日から、教室に出た。幸運なことに、誰も私から感染していなかった。

飛沫を浴びたという心あたりがあったから、本当の軽症で家に待機できた。しかし、心あたりがなかったら、待機できたであろうか。

いま、花粉症の季節でもある。新型コロナウイルスにかからなくても、鼻をすする。喘息なら、咳も出る。うっかり鼻をすすったり、咳をすると、マスクしていても、白い目で見られるという。

いっぽう無症状でも、新型コロナウイルスをうつすという。

社会活動を停止せず、風邪を人にうつさないというのは、本当に難しいことである。

[追記]
私は72歳で高齢である。糖尿病でA1cは9.7である。心臓の冠動脈は詰まりがちで、ステントを3本入れている。高リスク者の一人なのだ。

「きょうされん」を「共産党系」と勘違いした横浜市緑区の騒動

2020-03-10 00:09:16 | 社会時評
 
古新聞を整理していたら、今年の2月21日に、横浜市緑区の区長、小野崎信之が、「きょうされん」の専務理事藤井克徳に いったん依頼した講演の講師を、ウソの理由で断ったことを謝罪した、という記事を見つけた。
 
横浜市緑区は、障害者への人権問題の理解を区民に広げようとこれまで努力してきており、私はそれを高く評価してきた。その区は、東京五輪・パラリンピックに向けた「東京2020公認プログラム」の一つで、多様性への理解を進めるための講演を、昨年7月5日、「きょうされん」を通して藤井に講師を依頼し、承諾を得た。
 
藤井は、NPO法人日本障害者協議会代表で、自身も視覚障害があり、これまで、東京都や内閣府などの諮問機関の委員を歴任し、障害者の自立支援策などを提言してきた。2014年には国連の第7回障害者権利条約締約国会議に日本代表団顧問として参加した。
 
いったん依頼した講演を区が断った事情は、2月17日の朝日新聞によるとつぎのようである。
 
講師選定の場に加わっていた総務課の係長が「きょうされん」は共産党系ではないかと思い、7月11日の区役所内の会議で、係長が「検索するとすぐに所属する団体が共産党系だとわかる」「(一部の市民から)なぜこの人を呼んだのかと意見が入る可能性もある。(他政党などの)団体系の講師の依頼を断れなくなる恐れもある」と藤井の講演に反対した。
 
三瓶一道副区長や担当課長がこの会議に参加していて、キャンセルを決めた。区は同日、「きょうされん」に講師依頼をキャンセルする連絡をした。このとき、キャンセルした本当の理由を言いにくかったため、「ダブルブッキングだった」と事実と異なる説明をしたという。
 
講師依頼をキャンセルした本当の理由が今年になって明るみに出て、いろいろな方面で怒りが爆発したようだ。
 
今年の1月31日に、事実誤認があったとした上で、三瓶副区長らが、「きょうされん」を訪ね、謝罪した。 
 
三瓶副区長は「中立性を過度に意識してしまった。安易に断らず、藤井氏側と、中立性が担保できるよう講演内容を相談するべきだった。批判があればきちんと藤井氏の実績を説明すればよかった」と話した。
 
「きょうされん」の多田薫事務局長は「選挙で特定の政党を応援することなどは一切していない。いろいろな考え方が区民の中にもある中で、自由な発言を保障することが大切。行政の中立とはそうあるべきだ」と話した。 
 
「きょうされん」は共同作業所連合の「共作連」の略称からきており、べつに共産党系ではない。障害者が働く場「共同作業所」を支援する全国組織である。養護学校の子どもたちの多くが卒業とともに、労働を通じて社会参加する場が「作業所」である。最低賃金までいかないが、自分の労働を通じていくばくかのお金を稼ぎ、社会に貢献できる場が「作業所」なのである。私がNPOで担当した子どもが何人か作業所で働いている。
 
「きょうされん」を「共産党系」と思って区が講師を断ったことが、2月17日に各紙に載ったことで、1月31日の謝罪で済まず、2月21日に、横浜市緑区の区長、小野崎信之が、「きょうされん」の専務理事藤井克徳に改めて直接謝罪したということである。
 
ここで、すっきりしないのは、もし、藤井克徳が共産党系であれば、謝罪しないつもりだったのか、ということである。また、ひとを所属で判断して良いのか、共産党系だと多様性や障害者との共生について話してはいけないのか、ということである。
 
共産党神奈川県委員会の田母神悟委員長が怒ったのも理解できる。
 
「藤井氏側と、中立性が担保できるよう講演内容を相談するべきだった」ということでは、謝罪になっていないのではないか。「多様性の理解」とは「自由な発言を保証すること」ではないのか。