猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

国民に「ご苦労」をかけている安倍晋三、新型コロナウイルス

2020-03-14 22:16:08 | 新型コロナウイルス

きょう、3月14日、安倍晋三首相が記者会見をし、テレビで全国に放映された。

そのとき、安部が国民に「ご苦労を」と言ったので、びっくりした。産経ニュースの全文書き起こしによると、前半で、「国民の皆さまに大変な苦労とご不便をお願いしながら」と、後半で、「国民の皆さまには本当に大変な苦労をおかけしております」と言っている。「ご苦労」は目上の人がしもじもに向かって言う言葉で、身内なら「苦労」といい、顧客に向かっては「ご迷惑」や「ご協力」というものだ。

安倍はいつから「天皇」になったのだろうか。本心が出たようだ。
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新型コロナウイルス感染の状況が、緩やかな増加に抑えられている、と安倍は言った。イベントを実施しないという要請の効果があったというものだ。

その上で、次のように安倍は言う。

「こうした状況を踏まえれば、現時点で緊急事態を宣言する状況ではないと判断しています。ただし、事態は時々刻々変化しています。高い緊張感を持って事態の推移を注視し、国民の命と健康を守るため、必要であれば、手続きにのっとって、法律上の措置を実行する考えであります。」

この部分をもって、安倍が「私権を制限する」緊急事態宣言をしないと言った、と、メディアに報道された。正しくは、言っているのは、「宣言する状況」でなく、「必要であれば」宣言し、「法律上の措置を実行する」ということだ。

「ご苦労とご不便をお願いし」といっているように、政府は、すでに国民の「私権」を
制限している。すると、「非常事態」を宣言し、現在以上に「私権」を制限するとはどんなことだろう。

なお、ここで「私権」といっていることは「個人の権利と自由」のことである。

山尾志桜里議員や共産党が、「個人の権利と自由」に制限を加える「新型インフルエンザ対策特別措置法」改正に反対し、明示的に国会の同意を得るようにすべきと主張したことを支持する。
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新型コロナウイルス流行の不安を打ち消すため、安倍はつぎのように言う。

「約8割の方は他の人に感染させていません。つまり、人から人へ、次から次に感染が広がるわけではありません。他方で、スポーツジムやライブハウスなど特定の場所では集団での感染が確認された事例が報告されています。その共通点は第一に、換気の悪い密閉空間であったこと。第二に、人が密集していたこと。そして第三に、近距離での対話や発声が行われたこと。この三つの条件が同時に重なった場合です。」

これは、感染者によってウイルスの感染力が違うということではなく、感染者がどのような行動をとるか、ということによって、感染の広がりかたが違うということである。すべての呼吸系感染症に言われることである。

したがって、新型コロナウイルス感染者は、出歩いてウイルスをばらまかないでください、ということで、率直にいえば良い。そう言わないのは、現在、新型コロナウイルス感染者(検査で陽性の者)は入院措置になっており、一方、検査は本人の自由意志で受けられない仕組みに、なっているからだ。

政府の検疫対策に矛盾があり、そのために、国民は自衛策をとってください、と政府がお願いしているのだ。

つい最近、記者会見で、新型コロナウイルス対策専門家会議の副座長、尾身茂が、「風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いている」という政府の基準は、医学的な理由ではなく、PCR検査の処理能力からの制限だ、と言った。治療という観点からは早い診断が良い。

今回の会見で、安倍はつぎのように言う。

「現時点で前回会見したときよりも、50%多い1日あたり6000件を超える確かな検査を行うことが可能となっています。」

それなら、「4日以上続いている」という条件が、変わったのか。感染者に「出歩かないでください」と率直に言えるようになったのか。

政府がこれまで「可能」といったことは、実現しないという意味で使っている。検査の実数はいまだに1000件を超えたところである。
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ここ1週間、日テレの辛坊治郎は経済対策で安倍をたたいている。きょう、これに対して安倍はつぎのように言う。

「これまでの前例にとらわれることなく、実質無利子・無担保の強力な資金繰り対策を全国規模で実施することとしました。」

中小事業者にとって、融資を受けても、返すことが大変なことなのだ。今回の経済危機は長引くだろう。安倍はわかっているのだろうか。

経済的不満に対して、安倍はつづけて言う。

「その具体的な方策を地域経済の実情を十分に踏まえながら政府与党の総力を挙げて練り上げてまいります。」

「政府」でよいところを「政府与党」になっており、自民党、公明党に頼るものだけに恩恵を与えると、思わず、言ってしまったのだ。首相会見の範囲を踏み出している。
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PCR検査がふえないのは、政府が「東京オリンピックを予定通りおこないたいからだ」という憶測がある。この憶測を否定するために、安倍は東京オリンピックの中止を言っても良かったのではないか。

もちろん、私はこの憶測を正しいと思っていない。PCR検査がふえないのは、国立感染症研究所と厚労省の思惑があるからと思っている。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長の脇田隆字は国立感染症研究所所長であるが、一度も、国民の前にできて、記者から質問を受けていない。
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いずれにしろ、きょうの安倍の会見は、情緒的な言葉を散らばした、いつもの まやかしであった。曰く

「出場目指し、連日、厳しい練習に打ち込んできた、学生の皆さんの悔しい気持ちは察するにあまりあります。皆さんが応援するご家族や、同級生の前で思い切りその実力を発揮できる、そして、ライバルと正々堂々競い合える日が1日も早く取り戻せるよう全力を尽くすことをお約束します」
「参列できない保護者のためにオンラインで参加できるようにする、参列者のいない式を教員の皆さんが楽器演奏で盛り上げる、子供たちの一生に一度の門出を祝うため、各地の教育現場において、厳しい制約条件の中で、本当にさまざまな工夫が行われていることに感謝申し上げます。」

[追記]
3月15日のBS朝日『激論!クロスファイア』を見て、立憲民主党の福山哲郎が特別措置法の「個人の権利や自由の制限」の問題に腰がひけているのに驚いた。この問題になると、福山は「民主党が作った法律だから」とひいてしまう。
新型インフルエンザ流行とか、原発の原子炉のメルトダウンと放射能拡散とかがあると、あわてふためいて、人間は判断を間違うことがある。間違ったと気づけば、訂正すべきである。
山尾志桜里の主張、「非常事態宣言に国会の承認が必要」、「宣言しても報道の自由を制限しない」は、もっともなことである。立憲民主党執行部は、この問題について話し合いをちゃんとしなかったのではないか。