きょう(11月6日)のTBS『ひるおび!』で、大統領選の開票が終わっていないにもかかわらず、大胆にも、ジョー・バイデンが当選したとしたら、日米関係がどうなるかを、パックン(パトリック・ハーラン)、田崎史郎、海野素央が話し合った。
番組プロデューサーが用意したシナリオは、バイデンと菅義偉との共通点があるよね、うまくいくだろうね、ということだった。
共通点のその1、バイデンはアイスクリームが好き、菅はパンケーキが好きで、両者ともお酒を飲まず、甘いものが好きである。
その2、バイデンの父は自動車ディーラーで、菅の父はイチゴ農家で、両方とも父親は政治家ではない。
その3、両方とも辛坊つよく努力家である。
パックンはこの番組のシナリオのレベルの低さに驚き、「日本人は個人的関係を重視しすぎる」「個人的関係で国家間の交渉の結果が決まることはない」と批判した。私も番組プロデューサーは人をバカにしすぎているのではないか、と思う。パックンは、アメリカの民主主義の前途を心配して、番組に参加しているのに、バイデンと菅が甘いモノ好きで、話しが弾むというのは、冗談が過ぎている。
私は現役のときアメリカ人とつきあっていたが、交渉はあくまで利害の調整で、趣味が合うとか、そう言う問題ではない。取引は、互いの力関係を考慮にいれて、フェアな妥協点を見いだして、成立する。いっぽう、個人的人間関係は、互いの哲学が近いか、片方が片方の哲学に敬意をもつことで、成立する。
安倍晋三がドナルド・トランプと親密な関係をもてたのは、安倍がトランプと同じ帝王学の哲学をもっていること、そして、安倍がトランプの尻の穴をなめるほどの卑下した態度をとれることから来ている。ここで、帝王学とは、人をうまく騙せること、冷酷になりきれること、権力にあくなき執着をもてることを、素晴らしいとする哲学である。
ゴルフをしたからといって、人間同士が親密になることはない。
それに、安倍だって、トランプに押しまくられて、アメリカの防衛産業から高い買い物をしているし、日本の米軍基地への維持費を4倍にするよう迫られている。
問題は、菅がどんな哲学をもっているかである。「自助」や「叩き上げ」や「説明拒否」や「恫喝」の菅の哲学では、バイデンと合うはずがない。
バイデンはアイリッシュである。カトリックである。「共同体」意識が強いのである。社会とは助け合うもので、政治家はみんなの公僕であると信じている。どもりということで、子ども時代、いじめにあっている。そして、いま、コロナで亡くなった人たちを思い、胸を痛めることができるのだ。
菅が英語をうまく話せるか否かではなく、人柄がバイデンと違いすぎる。菅は、外交ルートを使って、プロの交渉人に任せた方が良い。話せば話すほど、信頼を失う。
なお、菅がバイデンとあったときは、ミスタープレジデントバイデンと呼んだ方が無難である。日本人は姓で他人を呼ぶが、そのときは、英語では、ミスターをつけなければならない。通常は、上下関係があっても、名前のジョーと呼ばれた方が喜ぶ。バイデンもそうだと思うが、丁寧に、「ジョーと呼んでも良いですか」と許可を取った方が良い。
菅とバイデンは、ウマが合うことは絶対にない。親密な人間関係は不可能である。