猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

新型コロナ感染者の急増への政府の中途半端な対応

2020-11-24 23:17:19 | 新型コロナウイルス


「Go Toキャンペーン」が全国各地の観光地の人混みが拡大したのに、政府分科会が中止を提言したのに、札幌市の場合でも、来月の1日まで、「Go To トラベル」も「Go To イート」が続くという。

「三密」の原因となる人混みを解消するには、「Go Toキャンペーン」即時中止が一番効果ある。即時中止を決めて旅行業や宿泊業や飲食店の損失保障を対象業界と話しあえば良い。菅義偉は「有言実行」というが、全国的に新型コロナの感染者が急増している今、キャンペーンを即時中止するのでなければ、効果がうすれ、中止を「実行」したといえない。

今回の件でいくつかの問題があきらかになった。

その1は、政府分科会のメンバーが分科会の即時開催を請求する権限がない。開催請求権がないとタイムリーな提言ができない。今回の3連休の1週間前に分科会を開催すべきだった。

その2は、厚労省の新型コロナ対策班も、政府分科会も、感染者の急増を事前に予測し、警告することができなかった。全国各地からの情報をもとに、統計モデルを立て、予測する者がいなかった。

その3は、医療現場の危機を政府が理解していなかった。ベッド数だけで現場の状況が把握できるのではなく、現実に稼働可能な医療従事者の数を把握していない。また、重症者はなかなか退院できないから、重症者数はどんどんたまっていき、一部の病院の負荷がたまる。医療現場の問題を分析し、危機を予測できる者が政府内にいなかった。

その4は、経済を守るという意味を誰も真剣に考えていないことである。基幹産業が動いていれば良いのか、職を失う労働者(workers)を救済すればよいのか。旅行業、宿泊業、飲食業を救済しなければいけないだろうが、それだけが経済活動ではないだろう。

その5は、経済と感染対策が簡単に両立するものではない。国民の多数が免疫をもつまで感染対策をしなければ、感染爆発が起きてしまうのだから、日本人は新型コロナに抵抗力があるなどとの安易な楽観に政府自身が陥ってはならない。したがって、感染対策を進めながら、経済の「破綻」を防ぐという政策を取らなければならない。したがって、どの産業はどの程度の余力があるのか、どの産業の崩壊が国民全体に直接的に危機をもたらすのか、を把握しなければならない。政府は、経済対策を政権党のための選挙対策と混同しているのではないか。

その6は、政府にグランドデザイン力が欠けているのではないか。この構想力の欠如が、まさに「叩き上げ」の菅義偉の欠点である。

[補遺]
数年前に田舎に帰ったとき、小規模な工場を経営している高校のときの同級生が、観光ばかりを優先する政策を地方がとっている、とこぼしていた。
安倍政権は、観光で国の経済が成り立つかのように言ってきたが、農業や製造業や流通業が国の経済の骨幹を作っており、その余剰でみんなが観光や飲食店に行けるのである。観光しか、地域経済政策がなかった安倍政権のツケが今来ているのではないか、と思う。