10月12日のReutersに「広島と長崎の被爆者らによる草の根運動がノーベル平和賞を受賞したことは、核戦争の危機がかつてないほど近づいているという世界の不安を表している」という署名記事が載った。
「プーチン大統領は9月下旬、ロシアが通常兵器による攻撃を受けた場合、核兵器を使用する可能性があると西側諸国に警告した」
「約90発の核弾頭を保有するとされるイスラエルがイランと対立している」
「北朝鮮は「軍事大国、核保有国」に向けた動きを加速することを宣言している。米国科学者連盟は、北朝鮮がすでに50発の核弾頭を保有すると推定している」
と記事は続く。
私も核兵器使用のハードルが下がっていると思う。核兵器による戦争の抑止力はとっくに壊れていると私は考える。現在、核兵器は、通常兵器の戦争を止めさせないための恫喝として使われている。核兵器のため、戦争を止める国もなく、戦争はどんどん拡大していく。
核廃絶の草の根運動のノーベル平和賞の授与は遅すぎた感がある。これからは核兵器廃絶と戦争反対と一体化していく必要がある。
核兵器の問題は、核戦争が始まったとしても人類は滅びないことだ。
核兵器の威力が有効であるためには核爆弾が地上に着く前に爆発させる必要がある。そうでないと不発弾になる可能性が高い。そういうことがあって、核から身を守るに核シェルターが有効である。だから死ぬのは、戦闘に参加しない普通の人びとである。国家首脳、司令官、兵士は死なない。
これが、核兵器使用のハードルが下がる理由である。核兵器使用を命令する指導者は死なない。大量に死ぬのは普通の民間人である。
ストックホルム国際平和研究所によると、世界の現時点の核兵器保有数は12,121発で、その約90%はアメリカとロシアが保有している。アメリカが5,044発、ロシアが5,580発、中国が500発である。じつは、この数は、貯蔵核弾頭や退役・解体待ちの核弾頭を含んでいる。実戦配備の核弾頭は保有数の30%弱である。中国の実戦配備核弾頭の保有数は24発にすぎない。推定数だが、こんなものだろう。核兵器を保有するのも、実戦配備にも、お金がかかる。
ここで、今後の核兵器使用の展開をシミュレーションしてみよう。
広島・長崎以降の最初の核兵器使用は、アメリカとロシアとの間ではなく、戦争の決着がつかないことにイライラしたロシアがウクライナに打ち込む可能性が一番高い。その時点で、いったん停戦協定が結ばれるだろう。昨年の時点で、欧米の軍事研究者は、核兵器使用を人の少ない大西洋北と予測していたが、今年はロシアが民間人を爆撃のターゲットにしているから、人のいる都市であろう。核兵器は多くの人に恐怖をもたらすからこそ使われるのだ。
このとき使用される核兵器はごく少数だが、これによって、核兵器使用のタブーは指導者の間で壊れる。
そのため、この使用の後、世界が核廃絶に成功しなければ、何十年か後に、核保有国の間で保有する核兵器を打ち尽くす核戦争が始まるだろう。核兵器を打ち尽くして核戦争は数日で終わるだろう。ニューヨークやモスクワなどは灰塵と帰すだろう。それでも、国の指導者や軍人や兵士が死なないから、つづいて通常兵器による戦争が始まる。この戦争は、憎しみから長く続くだろう。生き残った人々も通常兵器によって殺されるだろう。
死の灰が地球を覆っても人類が全部死ぬわけでない。経済が混乱し、食料不足が始まる。放射能汚染の病気が蔓延するだろう。こうして、核保有国は最貧国に落ち込むだろう。核を保有しない国が核保有国に代わって豊かになるだろう。
日本の指導者がいまだに核兵器は抑止力と言っているが、すでに、抑止力としての機能は破綻している。彼らは核兵器の本質をしらない。核兵器を国内に持ち込む核共有は、核爆弾を日本に打ち込んでくださいというに等しい。日本は核兵器禁止条約を批准し、核戦争に参加しないことを宣言すべきである。
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