きのう、2月25日、アメリカのバイデン政権が、シリア国内の民兵組織の拠点に空爆を行った。これは、有効な対外政策を打ち出せないアメリカのイライラを象徴するもので、戦略的に意味がないばかりか、倫理的にも問題がある。
たとえると、こんなことだ。
カラスは、外猫の食べ物を横取りしたり、また、生まれたばかりの子猫を襲い食べてしまう。それで、私は、猫を守るため、よく、高い木の上のカラスと にらめっこをする。すると、カラスは、私を脅すため、足で小枝を折る。私を威嚇するが、決して襲ってこない。カラスがアメリカだ。
今回のシリア攻撃も単にアメリカの威嚇に過ぎない。しかも、目的は対シリアではなく、対イランであり、対中国である。どちらに対しても、叩きのめしたいが、それで何が解決するのか、見通せない。したがって、弱い相手を叩いて、アメリカのプライドを保とうとしている。シリアの人々が可哀そうだ。
米国防総省のジョン・カービー報道官は、米軍や有志連合に対する最近の攻撃だけでなく、「そうした兵士に対する進行中の脅威」に対抗するためという曖昧な説明をした。じつは、米軍や有志連合に対する最近の攻撃は、シリア国内ではなく、2月15日のイラク北部のアルビル国際空港付近で米軍率いる有志連合の部隊にロケット弾が着弾し、民間請負企業の1人が死亡、米軍兵士1人と民間請負企業の4人が負傷していたことをさしている。
このような、アメリカの対外政策の混迷のため、混乱しているシリアを叩くことは初めてでなく、トランプ政権による2017年4月6日のシリア攻撃もそうだった。
対イランの問題では、アメリカはヨーロッパと協調するから、大きな衝突にならないだろう。問題は、対中国である。
米中対立は根深い。トランプ政権が振り上げたこぶしのこともある。また、ウイグルや香港の人権問題もある。日本が経験した経済摩擦よりも大きな経済対立が米中の間にある。バイデン政権としては軍事衝突を避けたいであろうが、アメリカのプライドがそれを許すだろうか。日本や韓国がアメリカをなだめることができるか、予断を許さないと私は思う。
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