猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

軍事力に酔いしれるイスラエル国民よ正気に立ち戻れ

2023-10-17 21:11:09 | ガザ戦争・パレスチナ問題

 

私たちはユダヤ人とイスラエル国とを区別しないといけない。

ユダヤ人は歴史をもつ。80年前にはホロコーストを経験している。これをもって、現在のイスラエル政府は、パレスチナの住民を軍事力で追い払ってイスラエル国を守ることを正当化する。

しかし、1948年のイスラエル建国をすべてのユダヤ人が支持したわけでない。当時のパレスチナはイギリスの植民地であった。ユダヤ人は、パレスチナ人とともに、そのイギリスと戦って独立し、パレスチナ国家を立てることができたわけだ。そうすれば、その貢献をもって、ユダヤ人は平和的にパレスチナの地に住むことができただろう。

エルサレムの地にユダヤ人の国家を建設しようとしたユダヤ人の一派をシオニストと言う。ポーランド・ウクライナ・ロシアで、19世紀に起きた運動である。現在のキブツに見られるようなユダヤ人共同体の国をパレスチナの地に作ろうとしたのである。現在のイスラエル国は、ポーランド・ウクライナ・ロシアからのユダヤ人の入植によって生まれたのである。

共同体幻想は排除を生む。それは正義でもなんでもない。

昔々、2800年前に、自分たちの祖先が住んでいたから、と言って、現在の住民を武力で追い払って、自分たちの土地だと主張することは、ホロコーストを経験したからといって、正義だと言えない。ホロコーストを行ったナチスも、ドイツ民族の共同体運動である。

私はコスモポリタンとしてのユダヤ人を尊敬する。祖国を持たないから尊敬に値する。しかし、祖国をもったユダヤ人は、もはや、尊敬に値しない。

イスラエル国民は武器を捨てて、パレスチナ人を呼び戻し、家を与え、土地を与え、共存するよう、路線を変えなければならない。それが軌道にのったとき、イスラエルが国名として適切であるか、の議論が発生するだろう。

現在のイスラエル国は、名称から明らかなように、ヘブライ語聖書の作り話をもとに、古代の統一王国イスラエルの名前をつけている。

考古学的に確認できるのは、対立するイスラエル王国とユダ王国とであって、長谷川修一は、ダビデやソロモンによる統一したイスラエル国はなかったという説を掲げる。

現在のユダヤ人は、ヘブライ語聖書にもとづくと、ユダ王国の末裔となる。かってのユダ王国は、現在のイスラエル国よりはるかに小さい。山岳地帯の痩せた土地がユダ王国であった。

ユダ王国の北に位置するイスラエル王国はアッシリアによって、紀元前723頃に先に滅ぼされた。イスラエル王国の一部の住民がユダ王国に逃げた。この難民を受け入れるため、祖先が短い間だが統一王国を作った、との神話が作られたというのが、長谷川の仮説である。

1948年建設の国名をイスラエルとしたのは、伝説上の統一王国イスラエルの栄光にあずかろうというのだろう。しかし、イスラエル王国とユダ王国とがあった当時、海岸には、いまのガザ地区よりはるかに大きなペリシテ人(パレスチナ人)の都市国家連合があったのだ。ユダ王国には海への出口がなかった。

1948年の国連の仲介によるアラブ―イスラエルの停戦ラインが、日本の地図帳で国境とされているが、イスラエルはアラブとの4回の戦争に勝って、占領地を拡大している。ヨルダン川西岸も占領地であるが、現在もパレスチナ人を追い払ってイスラエル国民が入植している。

今回のハマスの侵入は、パレスチナ人がアラブの国々から見放されるなかの、必死の反攻と見なせる。イスラエル国が弱小のパレスチナ難民に、一時的にせよ、負けると思っていなかったので、この必死の反攻に、イスラエル国民が正気を失ったようだ。イスラエル政府が「ハマスを根絶やしにする」「悪を絶滅する」とか言うのは、気が狂っているか、傲慢かつ身勝手である。

現在のパレスチナ人難民とイスラエル国との争いは宗教によるものではない。パレスチナ人の土地を奪ってシオニストがイスラエル国を作ったからである。パレスチナの地に入植して、イスラエル国を建設したのが誤りのもとである。

イスラエル国が圧倒的な軍事力を持つ間に、イスラエル国民が、自分たちの祖父や祖母が犯した間違いを悟って、イスラエル国内にパレスチナ人とイスラエル人がいっしょになって住めるように、策を尽くすべきだ。


演出された「華やかさ」や「安心」の報道でなく、メディアは裏側の闇を暴け

2023-10-14 21:56:03 | 社会時評

きのうの朝日新聞の、『(津山恵子のメディア私評)無視してきた闇 「演出」の裏側、忖度なく目を向けて』は、同意するところが多かった。

津山恵子は、故ジャニー喜多川の性的虐待と福島第一原発の処理水放出の「二つの問題の報じ方に、日本のメディアの問題が凝縮されている」と言う。

それは、演出された「華やかさ」や「安心」ばかりを報道し、その裏側にある闇の部分を、日本のメディアは報道しないということである。

これと重なるが、日本のメディアは、タレントをキャスターとして起用し、国家や企業に忖度しないジャーナリストを起用しない、と言う。

彼女の私評は、与えられた紙面の小ささのためか、喜多川の性的虐待問題に紙面の3分2を使い、原発の処理水放出問題は簡略化されている。したがって、私は、ここでは、後者に焦点をあてたい。

    ☆      ☆      ☆      ☆

確かに、彼女が言うように、「処理水放出」問題は高度に科学的な問題が絡んでいるように見える。

しかし、それは、安全か否かに問題を絞るからである。放射性物質の安全か否かは、生体にどう影響するかの研究が積みかさならないとわからないことであり、わかっても確率的な答えにしかならない。現状では海洋放出の「安全性」は科学的には不確かと見るべきである。

ニューヨークに滞在する彼女から見ると、

「漁業団体や水産業が懸念を示し、韓国のほか、欧米やオーストラリアなど各地で反対デモも起きた」

にもかかわらず、

「日本政府が透明性の高い、市民や諸国を納得させるプロセスを経て、海洋放出を決めたのか」

と批判する。イギリスの放送局BBCもこの点を批判する。

これは、日本政府への批判であると同じく、日本のメディアへの批判である。メディアは、反対する市民や諸国の懸念を丁寧に拾い上げ、日本政府がそれに答えているかを、専門家の助けのもと、検証すべきである。

ニューヨークから見ると全世界にトリチウム水の海洋放出の反対の声が起きているという事実を日本のメディアは伝えていない。そればかりか、中国政府が日本を貶めるために海洋放出に反対しているとの報道がテレビや紙面を騒がせている。これは、愛国心によって、国民の日本政府批判を抑え込もうという陰謀だと思う。

「透明性の高いプロセス」とは、おおやけの場での反対者と日本政府の継続的な討論である。政府主催の「識者の会議」でも「国会の多数決」でもない。

ところが、安全性は科学的な不確かなのに、日本政府は、はじめから、問題を「風評問題」と決めつけている。

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私の海洋放出に反対するのは、第1に、薄めれば放射性物質を海に捨てて良いのか、ということである。

日本政府が、薄めれば放射性物質を海に捨てて良い、とすれば、各国が、トリチウムだけでなく、なんでもかんでも海に捨てるようになるだろう。これを止める手段があるのだろうか。人類共有の海に、薄めても、放射性物質を捨ててはいけないが、基本ルールであるべきだ。

第2に、福島第1原発のALPSの処理水は、海に捨てるしか、ないという日本政府の主張に納得できない。

東電と政府が処理水処分方法として(1)海洋放出(2)大気放出(3)地中に大規模タンク埋設(4)地層注入を 上げていた。(1)と(2)とは放射性物質の拡散に結びつく。どうして(3)とか(4)とかの実現性を追求しなかったのか。(3)と(4)とはトリチウム水を福島の地にとどめることになるが、放射性物質を拡散を制御できる。(3)と(4)を最初の段階で政府が退けたのは政治的判断、即ち、福島県の自民党を守るためではないか、と私は疑う。

また、敷地のタンクにいまあるトリチウム水の処分だけでなく、炉心溶解した原子炉からトリチウム水が発生するを完全に防がないといけない。ところが、原子炉建屋のまわりの凍結が有効でなかったのに、いまだに、原子炉建屋の地下に水が流れこまないための本格的防水壁を設けようとしない。

また、ALPS処理もいかがわしい闇だ。取り除いたという他の放射性物質はどうなっているのだろう。その処分も問題である。

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また、さらに、津山恵子の「演出」の論点を補うと、海洋放出の安全性も演出されたものである。

東電の処理水ポータルサイトの「ALPS処理水の処分」に「海水希釈後のトリチウム濃度が1,500ベクレル/リットル(Bq/L)未満となるよう、100倍以上の海水で十分に希釈する」とある。

しかし、いま、じっさいには800倍に薄めて、約200 Bq/Lで放出している。800倍に薄めているのは、現在、海洋のトリチウム濃度を測定しているからである。放出口で測れば、200 Bq/Lなのに、離れた場所で測定していて、ほとんど検出できないなどと言っている。トリチウム水の拡散スピードは遅いから、いまのところ、海流にそって他の場所に流されており、測定地点に拡散していない。このことを確認しているだけである。これらは「安全」の演出である。

安全なトリチウム水濃度など現在時点では不確かである。だいたい、日本政府は飲料水の許容トリチウム濃度水など決めていない。日本にあるのは、トリチウム水のそばに人が居たときの安全基準だけである。トリチウム水を飲むことを想定していなかった。

世界の飲料水のトリチウム水の許容濃度は、EUが100Bq/L、アメリカが740Bq/Lである。現在の福島の海洋放出濃度は、EUの許容濃度の2倍の200 Bq/Lである。東電のサイトでは、いまだに1,500 Bq/L未満である。

海洋環境の保全という立場からは、どっぷりとトリチウム水に浸る海洋プランクトン、海洋植物、海洋動物についての安全性を調べるべきで、人が1日に2リットルしか飲まない飲料水の基準より厳しくなるだろう。

日本に飲料水の許容濃度がないということは、日本の他の原発はどのような濃度でトリチウム水を放出しているのだろうか。日本のメディは、これを調査して報道すべきだろう。


イスラエル地上軍のガザ侵攻、イスラエルもアメリカも正気を失っている

2023-10-12 22:58:56 | ガザ戦争・パレスチナ問題

ガザには水道も電気もなく、あるのは空爆だけ

いま、BSフジ『プライムニュース』で、駐日イスラエル大使の話を聞いて、あまりにも自分の都合ばかりを主張しているので、私は とても腹立った。彼は常軌を失っている。

彼がハマスをテロだったと言って、ハマスを壊滅するために、ハマスと戦争すると言うのは矛盾する。これまで、パレスチナ人の抵抗を、テロだと言って、犯罪人だとしてイスラエルの司法で勝手に裁いてきた。

しかし、戦争なら、人道的観点からはジュネーブ条約でいろいろな規制がある。民間人の住む所を空爆できない。捕虜を殺害したり、虐待できない。住民への水道や電気や食料を止めることができない。今回のガザ空爆、地上軍のガザ侵攻と、いったい、どうするつもりなのだ。

彼は、イスラエルの赤ん坊が殺され、女が強姦されたから、戦争をすると言いながら、それは報復ではない、イスラエルの国を守るため、犠牲がでるのはやむをえない、と言う。どれだけの犠牲者をだすつもりなのだ。今回、女を強姦する暇がハマスにあったのか。デマではないか。

彼は、民主主義の国のイスラエルを支持するのか、それとも、イスラム法を押しつけるパレスチナを支持するのか、と言う。事実は、イスラエルが民主主義の国というより民族主義の国で、ガザ地区のパレスチナ人の労働者を使って、イスラエルの経済的繁栄、強力な軍事力を築いてきた。そして、ヨルダン川西岸の占領地ではパレスチナ人の土地をイスラエル人が奪っているのを黙認してきた。いや、黙認と言うより、イスラエル人の入植者を軍隊で守っている。だいたい、もともと住んでいるパレスチナ人を追い出して、武力でイスラエル国を建設したところから誤っている。

彼は、今回、ハマスと最終決着をつけるという。最終決着とはなんのことかのみんなの質問に答えない。

彼がこう発言したのは、10月12日の『プライムニュース』のなかである。ゲストは、駐日パレスチナ常駐総代表部大使ワリード・シアム、駐日イスラエル大使ギラッド・コーヘン、通称「ヒゲの隊長」自由民主党参議院議員の佐藤正久、放送大学名誉教授の高橋和夫である。

キャスターの反町理もゲストの佐藤も高橋も、イスラエル政府は今後のことを何も考えていない、と言う。

ガザの住民を全部殺しても、パレスチナ人の親族は世界中に散らばっているから、憎しみの連鎖がめんめんと続くだけだ。日本政府は慎重に動くべきだ。欧米の政府に追随してはならない。いま、情報戦に入って、イスラエル側からの映像だけがメディアに流れている。事実は、イスラエルが、ガザ地区への電気・水道・燃料・食料・医薬品を止めて、ガザ地区の空爆を繰り返しており、これから地上軍をガザに送り、完全に制圧すると言っている。

反町も佐藤も高橋も、首相の岸田文雄が、双方に自制を求める慎重な発言をしたことを評価している。

いま、アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンがイスラエルと、地上軍を送る前にガザ住民を逃がす人道回廊を作る交渉をしている。いっぽう、アメリカはイスラエルにすでに弾薬などの武器をイスラエルに届けている。アメリカ政府はイスラエルの地上軍がガザ地区に侵攻し、ハマスをせん滅することを承認しているのだろう。国際的非難をかわすためだけに、「人道回廊」を提案したのだと私は思う。

ゲストの高橋は、ガザ地区からエジプトへの「人道回廊」は実現しないだろう、と言う。ガザ地区には220万人のパレスチナ人がいる。この大量の難民をエジプトは受け入れられない。また、ガザからエジプトに逃げても、ガザの地に戻ってこれないことを、パレスチナ人は、過去のイスラエルの占領政策から、知っているから、自ら逃げないだろう、と言う。

それでは、どうなるのだろうか。ゲストのみんなは悲惨な予見に言葉を濁す。

敢えて私が想像するのは、イスラエル政府は、ガザからイスラエルを通って占領地ヨルダン川西岸に、パレスチナ人を強制輸送することだ。ガザにとどまるものはすべてハマスとしてイスラエル地上軍が殺すだろう。ガザとイスラエルとの間に高い壁がある。イスラエルに抵抗する疑いのある者はそこを通さない。あるいは、その場で殺す。一人ひとり、イスラエル軍は壁の検問所でチェックするだろう。そして、イスラエル政府は、戦争では犠牲は付きものだと言うだろう。平和のために戦争をしたと言うだろう。

とにかく、現在、アメリカもイスラエルも正気でないから、これから、もっと大掛かりな悲劇が起きる。そして、中東は不安定化し、世界にそれが伝番する。世界大戦が起きないよう、日本の外交は慎重であるべきだ。

[追記]

10月13日、イスラエルが、「人道回廊」をも拒否し、ガザ地区の北部の住民は24時間以内に南部に移動せよ、と国連に通告した、とTBSテレビの『ひるおび』やイギリスのBBC放送ニュースが報道した。100万人を超えるガザ地区北部の住民が24時間以内に南部に移動することは無理である。BBCは、ガザ地区から死に怯える住民の姿を放映していた。

[追記]

[エルサレム 10月13日 ロイター]  イスラエルのネタニヤフ首相は13日、これまでに行っているイスラム組織ハマスに対する報復攻撃は「始まりに過ぎない」と言明した。

また、「前例にない威力で敵を攻撃している」とも述べた。

これに先立ちイスラエル軍主席報道官は、イスラエル軍の歩兵部隊と戦車部隊が13日、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ内で「局地的な奇襲」を実施したと発表した。空爆作戦から地上作戦への移行を初めて明らかにしたとみられる。

[追記]

[10月14日BBC] イスラエル国防軍は14日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に住む約110万人に対して、住民が通るべきという2つの避難経路を示した。イスラエル空軍は同日、7日のイスラエル侵入作戦を指揮したイスラム組織ハマスの司令官をドローン攻撃で殺害したと明らかにした。他方、ガザ当局によると、イスラエルの空爆によるガザの死傷者は1万人を超えた。


埼玉県議会に自民党県議団のお粗末な「虐待禁止条例」改正案

2023-10-11 02:47:01 | 社会時評

きのうの夜 テレビは、埼玉県議会に自民党県議団が「虐待禁止条例」改正案を提出していたが、県民の多くの反対を受けて 取り下げの方針であると、報道した。

報道ではだけでは、現在の条例の何が問題で改正案を提出したのか、自民党県議団の意図がわからなかったので、判断がむずかしかった。しかし、報道が取り上げた問題点の多くは、私には妥当のように思える。

ここでは、ネット検索で得た自民党の改正案と2017年7月17日に公布された「埼玉虐待禁止条例」にもとづいて、議論してみたい。

自民党の改正案は、虐待禁止条例の第6条(養護者の安全配慮義務)につぎを加えるものである。

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第6条の2 児童(範疇A)を現に養護する者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない。

 2 児童(範疇B)を現に養護する者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置(虐待に該当するものを除く。)をしないように努めなければならない。

 3  (省略、待機児童への県の取り組み)

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範疇A、範疇Bは年齢の具体的制限であるので、ここでは、その部分を省略した。

たぶん、自民党県議団は、今年、両親が、児童を車中に置き去りにして、熱中病で死なせたことが頭にあったのだろうと思う。

条例の第6条は

「養護者(施設等養護者及び使用者である養護者を除く。)は、その養護する児童等の生命、身体等が危険な状況に置かれないよう、その安全の確保について配慮しなければならない。」

とあるので、車中置き去りのケースは、これまでの条例でカーバーされる。

改正案は具体的に「放置」という言葉を加えたことと、「してはならない」「しないよう努めなければならない」と言葉を強めたことにある。

しかし、虐待禁止条例自体には罰則がない。改正案も罰則に踏み込んでいないので、養護者への実質的拘束力はない。

この条例に罰則がないのは、国の「児童虐待防止法」「高齢者虐待防止法」「障害者虐待防止法」に罰則があるから、十分だと考えたのだろう。虐待禁止条例は、県や市町村が、養護者に児童、高齢者、障害者への虐待をやめるよう啓蒙活動を行うことを狙ったものと私は考える。

改正案の問題は、わざわざ付け足した禁止条項「当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない」が拡大解釈されやすい文言であることだ。

じっさい、NHKによれば、自民党県議団が説明した「放置」の例は以下のようなものだった。

  • 子どもを車の中に置き去りにすること
  • 子どもたちだけの自宅での留守番など
  • 未成年の高校生に小学生などの兄弟を預けて買い物に出かける行為
  • 子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為
  • 子どもたちだけで公園などで遊ぶこと
  • 子どもたちだけでの登下校
  • 子どもにおつかいさせる行為

私には、これらが「生命、身体等が危険な状況に置かれる放置」とは一概に思えない。「車の中に置き去り」も程度問題である。

また、子どもが自立して大人になっていくために、ときにはひとりになったり、子どもたちだけで遊んだり、お使いにいくことも、大事である。

自民党県議団は多数派であるから、思い付きで条例案をつくっても議会で成立させることができると、たかをくくっていたのではと疑う。お粗末だった。

条例改正より、県議会で、県や市町村の「虐待防止」啓蒙活動が有効であったか、どう改善すべきか、を検討することが先だと私は考える。

[蛇足]罰則がないのに「虐待禁止」条例とは滑稽に感ずるが、埼玉の自民党県議団は大げさな言葉が好きなのだろう。


血の報復、イスラエルがパレスチナに開戦を宣言した

2023-10-09 18:29:13 | ガザ戦争・パレスチナ問題

いま、イスラエルとパレスチナの間に戦争が始まっている。戦争は殺し合いである。ルールはない。憎しみと狂気の爆発である。殺しやすい者から殺す。子どもや年寄りや女が殺される。

戦争は避けるべきものである。

イスラエルは、1948年に、一部のユダヤ人がパレスチナ人を武力で追い払って彼らの地に建設した国である。それ以来、イスラエルは武力によって、国を大きくしてきた。

ようやく和平がみえたのは、1993年である。その年の9月13日、イスラエルとPLO(パレスチナ解放戦線)とが、アメリカの大統領クリントンのもとワシントンで、パレスチナ人の暫定自治と和平の宣言に調印した。翌年、PLOのアラファト議長とイスラエルのラビン首相、ペレス外相がノーベル平和賞を受賞した。

30年前に、イスラエルとパレスチナの間に平和が訪れる可能性があったのだ。

悲しいことに、1995年にイスラエルのラビン首相はテルアビブにおいてユダヤ民族至上主義者に射殺され、パレスチナ武力制圧を掲げる右派がイスラエルの政権を握って、今日にいたっている。

いまや、イスラエルは、アメリカの支援を受けて圧倒的武力のもとに、占領地のパレスチナ人の土地を奪い続けている。学校で使う地図帳のイスラエルの国境を越えて入植している。

イスラエルは、この間、あまりにも傲慢だった。自分の圧倒的武力のもと、パレスチナ人の人権を押しつぶしてきた。パレスチナ人の抵抗をテロだとして、話し合いを拒絶してきた。

今回、アメリカ政府がウクライナ支援で疲れ果てている隙を狙って、パレスチナは30年ぶりの大反撃を行った。イスラエルは戦争を宣言し、ゴザの空爆を繰り返している。これから、地上軍を送って、抵抗するパレスチナ人を殺していくだろう。戦争は人殺しを正当化する。

残念なことに、欧米各国の政府は、イスラエルのパレスチナへの血の報復を支持している。それでは、パレスチナ人の憎しみを深めるだけだ。このままでは、パレスチナ人全員を抹殺するしか、平和が訪れないことになる。欧米のウクライナ支援もおぼつかなくなるだろう。

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