平安の京(みやこ)に住んでいて、たまさか海辺で一夜を過してみると、とても自然が新鮮に感じられる。小学版注は「海の自然の動きの珍しさの感味にくわえて、幽玄の感味がある。」とする。
『新古今和歌集』巻第十七(雑歌中)は、1586 から 1687 まで。都を離れた山里の歌が多い。
ひらかなy127:あけがたの おおさかわんの なみおとは
よなかのかぜの はげしさゆえか
ひらかなs1595:おきつかぜ よはにふくらし なにはがた
あかつきかけて なみぞよすなる
【略注】○難波潟=難波江。大阪湾(の岸辺)。東京湾と同じように、古代から
中世のころには、海岸線がだいぶ陸側に入り込んでいた。
○藤原定頼=藤原公任の子。4首。