悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

image019 河津桜

2006-02-18 06:40:00 | images
title : Kawazu-cherry blossoms
yyyy/mm : 2003/02
notes : 本州でいちばん早く咲く桜。祭りは今年で第16回目、2月10日から約一か月。東伊豆・河津町(静岡県)。写真は第13回、前出「夜もすがら」のとき。

160 世の中の悩み

2006-02-17 06:50:00 | 新古今集

 いよいよ最終巻。1917~1979。巻第二十は、「釈教歌」(しゃっきょうのうた)となっている。釈迦の教え、仏教の経典由来、あるいはまた、憑依(ひょうい。仏が乗り移る)による歌、などなどである。巻頭三首には、作者名が空白になっている。この作品も、そのままで現代に通用する。
 ひらかなy160:よのなかの なやみなげきの もろもろは
          あさがおにのる ただのつゆだよ
 ひらかなs1918:なにかおもふ なにとかなげく よのなかは
          ただあさがほの はなのうへのつゆ
【略注】○朝顔の花の上の露=「朝顔」「露」ともに、ほんのひとときの、果敢ない
    命。二つ重ねて、人の世の果敢なさを強調した。
    ○藤原清輔=悠 154(02月07日条)既出。『新古今集』には作者名がないが、
    この歌は清輔著『袋草紙』所収なので、ここでは詠者とした。歌あとがきに、
    「清水の観音の御歌となんいひ伝へる」とある。清水寺(京都市)の観音が
    詠んだ歌、というのだ。


159 目覚めれば声あげて

2006-02-16 05:10:00 | 新古今集

 自分の実力がなぜ認められないんだ、と現代のサラリーマンの哀感にもつながる歌。
 ひらかなy159:めざめれば こえあげてなく ふぐうのみ
          だざいふゆきも こうだったのか
 ひらかなs1905:さめぬれば おもひあはせて ねをぞなく
          こころづくしの いにしへのゆめ
【略注】○音をぞ泣く=声を出して泣く。不遇の身が辛くて、夢の中で思い切り
    泣いていたら、目が覚めて、また泣いた。高位高僧なのに・・・。
    ○心づくしのいにしへの夢=「心尽くしの」「筑紫野」と掛ける。詞書から、
    作者が誹謗中傷にいて、北野天満宮(京都市上京区)に詣でたことが、分
    かっている。だから筑紫の、筑紫野、以下は大宰府(福岡県太宰府市)へ
    菅原道真が配流(はいる)された故事のこと。「大宰府」「太宰府」に注意。
    ○慈円=悠 002(06月29日条)既出。

短歌写真109 夜もすがら

2006-02-15 07:10:00 | 短歌写真

2006-0215-yts109
夜もすがら 高き波音 耳近く
明くれば海際の 泡立ちてをり   悠山人

○短歌写真、詠む。
○河津桜の季節。PCでライブカメラを見たら、まだまだ。私が先年訪ねたときには、思いがけなく波が高く、大島行きが急遽中止になった。
□短写109 よもすがら たかきなみおと みみちかく
        あくればみぎはの あわだちてをり
【写真】東伊豆・北川(ほっかわ)温泉に宿したときの旧作。2003年02月撮影。


158 もう一度見たい

2006-02-13 07:15:00 | 新古今集

 作者が勅使として訪ねた、伊勢神宮の帰りに詠んだ。現代詠に五十鈴川としなかったのは、この記事を読んだあなたに、古称に親しんでもらうため。
 ひらかなy158:もういちど みたいものだと ふりかえる
          みもすそがわに さわぐしらなみ
 ひらかなs1881:たちかへり またもみまくの ほしきかな
          みもすそがはの せぜのしらなみ
【略注】○見まくのほしきかな=見たいものだ。上一活用動詞「見る」の未然
    形「み」に、推量助動詞「む」のク語法「まく」で、「見まく」(見ること、見
    るだろうこと)。体言なので格助詞「の」を付けて、この場合は、所有格
    的に使われる。「まく」は万葉集に多出だが、新古今では希用。「ほしき
    かな」は「欲しいなあ」。旺文社版古語辞典には、「見まく欲し」「見まく欲
    (ほ)る」が、同旨見出し項目になっている。
    ○御裳濯川=五十鈴川の別称・古称。倭姫伝説に由来。和歌のほか、
    能楽でもこの名でよく知られる。 
    ○源雅定=雅実の子。『大鏡』の作者か。


短歌写真108 蒼穹に*

2006-02-12 02:30:00 | 短歌写真

2006-0212-yts108
蒼穹に身をよじらせてくねらせて
悦び伸ばす春告げ柳よ   悠山人

○短歌写真、詠む。
○猫柳は英語でも pussy willow。文語詠短歌を原則とする悠山人の、例外的な口語詠。
□短写108 そうきゅうに みをよじらせて くねらせて
        よろこびのばす はるつげやなぎよ
【写真】きのう、近くの公園で。


短歌写真107 赤岳の*

2006-02-11 08:15:00 | 短歌写真

2006-0211-yts107
赤岳の荒荒しくも真白なる
岩稜を背にわれも凛とす   悠山人

○短歌写真、詠む。
○八ガ岳連峰の盟主、赤岳の南壁を背景に撮影。(私は削除)。
□短写107 あかだけの あらあらしくも ましろなる
        がんりょうをせに われもりんとす
【写真】赤岳山麓で撮影。


157 嬉しさと懐かしさ

2006-02-10 07:30:00 | 新古今集

 詞書によると、藤原公継(きんつぐ)が勅使として伊勢神宮を訪ねた。そこに仕える女房の一人が、帰京した公継に贈った歌、とされる。両者は都で特別な関係にあった。
 ひらかなy157:うれしさと なつかしさとで まったのに
          かおもみせずに かえったのよね?
 ひらかなs1873:うれしさも あはれもいかに こたへまし
          ふるさとびとに とはれましかば
【略注】○いかに答へまし=どう答えようか。どう答えたらいいのか。
    ○故郷人=(詞書から)久しぶりに都の香りを運んで来た人。実は
    かつて情を通わした男。