時間について。
暖地の恵まれた環境に棲む蝶たち(身近なところではモンシロチョウとか)は、年に5世代ぐらい繰り返すわけですね。
一世代の寿命は2か月あるかないか(季節によってはもっと短い)。親蝶の期間は半分以下。一方、過酷な環境に暮らす蝶たちのなかには、足がけ3年かけて次世代にリレーしていく種もあります(高山蝶のウスバキチョウやタカネヒカゲなど)。
恵まれていない環境に棲む種ほど長生きし、恵まれた環境に棲む種は著しく短命なわけです。
人間は、ざっと20年ごとに一世代交代ですね(無用の時間が永い!)。ということは、世代交代のペース(それは種の進化にも複雑に繋がる)は、ヒトとモンシロチョウでは、100倍の差があることになり、人間にとっての1年は、蝶など別の生物にとっては100年に相当する、とも考えることが出来ます。
ちょっと別の視点からの話になるけれど、、、、70代や80代と、10代や20代では、普通に考えれば、圧倒的に後者の方がポテンシャルを多く残していますね。
しかし、「個人」という視点から言えば、例えば、これまでに生きてきた73年を、これからの1年(それも不確かですし、長くてもせいぜい数年)とかと、同じ概念では比較できない。
過去は「有限」で答えが示されている。未来は「無限」です(分からない、と言う意味で)。
時間は「定規」では測れないと思うのです。
夏目漱石 夢十夜 第一夜
その末尾の文章。
>、、、百合から顔を離す拍子に、思わず遠い空を見たら、暁の星が、たった一つ瞬いていた。
「百年はもう来ていたんだな」と、この時はじめて気が付いた。