歌手の佐川満男さんが無くなりました。僕とは何の縁もないのですが、最初の奥さんの伊東ゆかりさんが、ジョニーのキューティ・パイの日本でのヒットに多大な貢献をしているわけで、それを考えれば僕の人生に(間接的に)少しは影響があったのではないかと。キューティ・パイが日本でヒットしていなかったら、バンコクで三世やジョージとも出会っていないわけですし(笑)。
それはともかく、佐川満男さんの実家は、僕の実家のすぐご近所なんです。近所に住んでいた有名人と言えば、佐川満男と阪神タイガースの真弓選手(2人とも近所には違いないんだけれど面識は有りません)。
中学校時代、JR塩屋の駅前で、花束を持った女子高校生から佐川さんの家を訊ねられて、大体の場所を教えてあげたことがあります。伊東ゆかりを挟んで佐川さんのライバルだったのが、巨人の柴田選手。阪神戦(甲子園)の時の巨人軍の常宿は芦屋の竹園旅館。中学校時代は塩屋⇔芦屋を通っていて、登校途中に竹園旅館の前を通ります。坂の上からランニングで戻ってきた当時新人の柴田選手に向かって、罵声を浴びせた覚えがあります(なんせ、コテコテの阪神ファンだったので)。
今日の大谷君、一平さん。
●平野啓一郎氏 大谷翔平の関与疑う発言で稼いだインフルエンサーを疑問視「返上すべきでは」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース
●大谷翔平選手にまつわる「たられば」の罪深さ(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース
●「元NBAスター選手が言ってたよ。オオタニは有罪だって」大谷翔平を“悪人”に仕立て上げようとする米記者に非難の声が殺到!「お前は哀れだ」「もううんざり」(THE DIGEST) - Yahoo!ニュース
なにやら、以前にも何度も見たのと似た動きが、、、、本人たちは全く気が付いていないでしょうが、、、、これ、「集団的洗脳」「同調圧力」の典型であるということに。
無知な大衆はともかく、いわゆる知識層に属する「知能の高い」人たちの、薄っぺらな感性には、呆れてしまうしかありません。
「定説」に対する批判を許さない「自主警察」の人々は、いわゆる「真実」以外の異論は、陰謀論として抹殺します。マスクやワクチンを否定すると、「自分勝手な悪人」「国賊」として罵られる。
香港デモを批判した記事を書いたときは、「(正義の学生たちを非難する)こいつは人間としての心を持っているのだろうか?」と、ボロクソに叩かれました。
今、大谷君に対して一言でも批判を行えば、人間失格の烙印を押されかねません。「恥ずかしいとは思わないのか」「大谷に謝れ」、、、有識者も大衆も、正義の金太郎飴の大合唱です。
大谷君本人にとっても、決して良いことではない、と思います。
しかし、それにしても大谷君、打撃絶好調ですね。とうとう首位打者ですよ!それに松井を抜く通算本塁打。
打率(1位)、安打数(1位)、出塁率(3位)、二塁打(1位)、三塁打(6位)、ホームラン(9位)、得点(4位)、打点(23位)、塁打数(1位)、長打率(3位)、盗塁数(9位)、OPS(3位)、、、(打点を除き)全てトップを競っている。凄い事ですね。
にもかかわらず、得点圏打率が最悪(昨日やっと2本目を打ち、今日やっと1割台に乗せて、95位から89位に)。まさかとは思うけれど、このままでは、シーズン終了後、首位打者(あるいは三冠王)になって、得点圏打率は最下位、という、前代未聞の珍事にもなりかねません。
まあ大丈夫だとは思いますが、例年、表立った実績に比べて、得点圏打率は低い。そこいら辺に(野球だけではなく一平氏問題などを含めた)大谷君の課題が(それとなく)示されているのではないかと思います。
野球選手として完璧な成績。
人間として完全無欠。
しかし、光の当たる角度を変えてみれば、、、、、。
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ユリ科の話題。
いろんな異質の集団を寄せ集めた巨大ファミリーから、一気にごく少数の属と種から成る弱小ファミリーに転化した(必ずしもネガティブに捉える必要はない)、ユリ科植物ついて、僕が撮影した中国産と日本産の種を中心に紹介していきます。
何度も繰り返して言いますが、僕は(自分で形態や生態を深く検証しているチョウやセミと違って)植物に関しては(唯一、野生アジサイを除き)全くの素人です。アカデミックな知識も、マニアックな知識も全く持ち合わせていません。よって、幾つかの文献に示されている資料からの、受け売りの知識を、自分なりに統合・再編して、蘊蓄を述べていくことになります。
ユリ科は、ユリ亜科、タケシマラン亜科、ホトトギス亜科から成り、その大半をユリ属が占めます。
ユリ属の分布は東アジアに集中しています(一部は北米大陸)、人気の発祥地はヨーロッパです。宗教と結びついたのも大きいですね。ヨーロッパにも少数の種が在来分布していますが、多くは東アジアから持ち込まれた素材を基に、園芸化が為されてきました。そのヨーロッパの研究者たちの視点で、アジア産の原種群を含めた系統分類に、古くから取り組まれ続けてきました。さすが博物学の本場だけあって、その分類体系の構成の完成度は、すばらしいものだと驚嘆します。しかし、近年の分子生物学的手法に拠る解析では、少なからずの見解が覆っています(別の視点から捉えれば、かなりの一致点も見出されるとも言える)。
欧米に於ける研究とは別に、ユリ属の系統的な分類体系は、北米産のPardalinum群などを除く大半の種が中国大陸に集中して分布していることもあって、中国でも研究が進められています(ただし、「中国語版中国植物志1980/2019」「英文版Flora of China2001」「中国植物図像庫」でしばしば異なる見解が示されている)。ヨーロッパにおける伝統的分類体系とも、次に記す(日本の)最新科学技術に導かれた見解とも、かなりの部分で異なってはいますが、なにしろ材料が圧倒的に豊富なことから、無視はできません。
大抵の東アジア産の生物では、日本産の種は中国産の種の中に概ね含まれていて(日本固有種とされるものも大半が中国に姉妹種が分布しています)、ということは、中国産による系統分類がそのまま日本産にも応用される、という側面があります。
然るに、ユリ属に関しては、中国大陸に分布の中心があるグループの他に、日本列島(および日本海周縁地域)にだけ分布する種から成るグループが、少なからず存在します。そのいくつかは、例えばヤマユリのように、日本的な清楚で奥ゆかしい情緒を保ちながら、日本産生物としては珍しく豪華絢爛な種です。
東アジアのユリ属の種は、中国大陸(主に西南部)と日本列島に二極化して分布しているわけです(そしてそれぞれがヨーロッパに於ける品種改良の重要な役割をなしている)。
その結果、旧来の伝統的な西洋博物学に拠る分類体系、膨大な材料に物を言わした中国に於ける分類体系、近代科学的手法に基づく日本での分類体系、それぞれの手法の違いと共に、材料の違いもあるわけで、レザルトに食い違いが生じても、仕方がない事と思います。
現時点でユリ属の系統分類に於ける最も信頼性の高い報文は、幾つかの日本産固有種を含めた多くの東アジア産の種を中心にDNA解析を行った「Biosystematic Studies on Lilium (Liliaceae) I. Phylogenetic Analysis Based on Chloroplast and Nuclear DNA Sequences and a Revised Infrageneric Classification」(T. Watanabe, et.al, 2021)ではないかと思われます。
その共同執筆者の一人である大阪の植物園「咲くやこの花館」の前名誉館長久山敦氏が、従来の諸見解を纏めた「花の故郷から学ぶ(6)野生の百合」を、一般紙に寄稿されています。
6月号カンプ_P37〜39_自生地めぐり.pdf
氏よりの私信には、
「上記論文の発表前の諸見解の纏め故、群の組み合わせが大きく異なる」としたうえで、
●DNA調査は一部種しか出来ていないので、全貌をつかめない。
●種の定義に趣味家的な見解もあることが問題。
●正確なKEYが出来るまでには時間を要しそう。
旨のことが附されていました。
正にその通りでしょうね。
思うに、ユリ以外の一般論としても同様でしょうが、ことにユリなどの人気のある対象に於いては(趣味家的な見解に基づく種の定義などに伴った)材料が多いことが必ずしもプラスの要因とはならないのではないでしょうか?
それはともかく、上記の論文にしても、葉緑体による解析手法と、核DNAに基づく解析手法とでは、群間の系統関係の組み合わせが著しく異なってきます。
ここでは、核DNA解析により成された分類をベースとし、敢えて群間関係には触れずに、11の群を並列して個々に紹介していきます。そのうえで、幾つかの群に分かれて配置されている「中国植物志」記載の各種を、それぞれ11の群に振り分けて行きます。
今回のブログでの紹介は、大理百合Lilium talienseから始めます。
ポピュラーでインパクトの強い種と成れば、種としても群としても日本独自の存在で、何と言っても清楚かつ豪華な花のヤマユリがNo.1ではないかと思われますが、この報文は中国の自然をベースにしていることから、別群の種を選んだわけです。
中国を代表する野生ユリとしては、リーガルリリー、野百合(ハカタユリ=日本のテッポウユリなどに近縁)、川百合(日本のコオニユリなどに近縁)などがあります。
けれど、僕のフィールドである西南地方の山岳地帯に広く分布し、かつ群としてもこの地域が主体(日本には分布しない)で、なおかつビジュアル的に非常に美しい(花の色彩斑紋パターンはヤマユリに似て、ずっと小型で可憐)大理百合を、トップバッターに選んだわけです。
以下、「中国の野生植物・ユリ科(狭義)」初版(2014)の記述を転載。
Lilium taliense (大理百合)
7月頃、雲南省西北部や四川省西部の標高2400m~3600m付近の林縁や渓流沿い草地などで、白とピンクの地に紫色の斑点を伴った美しい花が咲く野生ユリによく出会う。この一帯では比較的ポピュラーな植物だと思うのだが、種名が特定できないでいる。
白花の多くは大理百合Lilium talienseと同定して良いと思うのだけれど、問題は紅花。大理百合の色違いの変異型なのか、独立の分類群に所属するのか。後者の場合、宝興百合L duchartrei である可能性が強いのだが、さらに複数の種(例えば卓巴百合 L.wardiiなど)が混在している可能性もある。
茎は直立または斜上し、葉は細長い披針形、対生または輪生。径5㎝ほどの花が茎頂に1~数個下向きに咲く。花被弁は強く反り返る。筆者の撮影した個体に限って言えば、四川省九賽溝産は全て白、四川省康定は淡いピンク、四川省境近くの雲南省翁水では白とピンクが混在、雲南省白馬雪山産は全てピンク。
いくつかの傾向があり、白花株は開けた草地や日当たりのよい斜面に多く、紅花株は林縁や日陰になった路傍などによくみられる。白花株は草丈が高く花序に花を多数つけ、紅花株は草丈が低く、花序の花は少ない。
宝興百合L.duchartreiが大理百合L.talienseと異なる特徴は、花被弁基部両側?の蜜腺周辺に突起が発達すること、葉柄があること、などとされるが、筆者の撮影した紅花個体ではその特徴を確認していない。
宝興百合の系統分類上の位置づけは、「中国植物志」では大理百合L.talienseと同じ巻弁組(ほかに川百合L.davidiiや日本のコオニユリL.leichtliniiなども所属)に含まれているが、検索表に於ける位置づけはかなり遠く離れている。
「中国植物志」(1980[2019版])によると、宝興百合L.duchartreiに似た匍茎百合L.lankongense(←双苞百合L.ninae)が、全ての他のユリとはなぜか別枠で示されていて(“葉が散生“という特徴に基づく?)、ただし英語版「Flora of China 」(2000)では、宝興百合と共に、大理百合の近縁種として位置づけられています。
大理百合と宝興百合の区別点(「中国植物志」に拠る)
乳腺は乳頭状ではなく時には線毛状の突起を伴う(大理百合)。
蜜腺は両面に乳頭状に形成される(宝興百合)。
宝興百合と匍茎百合の区別点(「Flora of China」に拠る)
葉腋に白毛が密生、葉脈は背軸方向に隆起しない。花被片は白く、赤紫の斑点がある(宝興百合)。
葉腋には毛がない。葉脈は背軸方向に隆起。花被片はピンク色で、深紅の斑点がある(匍茎百合)。
宝興百合と匍茎百合の区別点(「Pacific Bulb Society」に拠る)
花は散形花序の長く優雅な花柄に付き、花の基本色は白(宝興百合)。
花は開いた総状花序の長い花柄に1茎あたり6~12個付き、下向きで反り返る(匍茎百合)。
「Biosystematic Studies」では大理百合L.taliense自体がコオニユリなどの巻弁組各種(大半がDavidii-clade)から遠く離れて位置づけされていて(Bakerianum-clade)、宝興百合L.duchartreiについては記述がありません。前記したように「Biosystematic Studies」は葉緑体と核DNAの解析から成されていて、それぞれの手法で群(Clade)間の対置関係が全く異なります。
いずれにせよ細部の検証は僕の写真では困難ですが、「Taxonomic notes on Chinese Lilium L. (Liliaceae) with proposal of three nomenclatural revisions(Yundong, Gao2014)」「横断山分布的百合属植物」などに於ける見解などとも照らし合わせれば、少なくとも雲南省翁水村に於ける白花と赤花は、それぞれ大理百合と匍茎百合(もしくは宝興百合)に相当するのではないかと思われます。しかし、そのほかの地域で撮影した、四川省九賽溝の白色個体、四川省康定の淡ピンク色の個体、雲南省白馬雪山のピンク色個体等が、それぞれ上記の分類群に相当するか否かについては定かではなく、暫定的にそれらを複合して、大理百合複合種L.taliense complexとしておきます。
大理百合が所属するBakerianum-cladeには、他に中国西南部からミャンマー北部にかけて分布する鮮やかな色調の滇百合L.bakerianumや、一見コオニユリなどが所属するDavidii-clade(シノマルタゴン節の主要メンバー)の種に似た麗江百合L.lijiangense(次回紹介予定)などが含まれますが、日本列島および日本海周辺地域には一種も分布していません。
四川省との省境近く、雲南省西北部翁水村の路傍の急斜面(alt.約3100m)に、典型的なL.talienseのように思える、背の高い白花の株が多数生えていた。Jul.16,2014
上写真20枚の白花個体と同じ場所に、草丈の低いピンク色の株も混在。こちらはL.lankongenseである可能性が強い。Jul.16,2014
雲南省白馬雪山中腹、alt.約2000mの長江岸から、alt.4300mの峠頂との中間地点付近(alt.約3000m)の夏緑広葉樹林の林縁に、ピンク色のやや草丈の高い株が散生していた。Jul.29,2008
四川省九賽溝。渓流に接した広い湿性草原(alt.約2500m)上に、草丈の高い白花の株がポツンポツンと生えていた。Jul.31,1991
四川省康定(alt.2800m付近)。急斜面に生えていた淡ピンク色の株。Jul.25,2010