尾 藤 川 柳
役人の子はにぎにぎをよく覚え タル1
たとえば、徳川三百年間に培養された役人の体質を
そのまま受け継いでいるような今回の社会保険庁問題。
社保庁で行方不明になる老後 小針準平
弱り目に年金祟り目の介護 石島健治
出しかけた離婚届を引っ込める 斧の小町
迷子札貼って納める保険料 高梨 満
内閣が向こう一年さがしもの 白石 洋
占いに近い年金相談所 中村義平
やっぱりが付くと社保庁らしくなる 杉山太郎
(ともに尾藤川柳選<よみうり時事川柳>)
川柳の眼は、高所にあってぬくぬくとしているような対象には容赦なく批判の矛先を向けますが、自分と同じ地平で真剣に生きようとしている仲間たちには、常に温かい視線を注ぎます。
子ができて川の字なりに寝る夫婦 タル1
も、よく眼の利いた描写ですが、これとは反対に深刻な現代をとらえた
パロディーがあります。
子を端に預金を中に寝る夫婦 名和れい
これはアジアの子を対象にした「将来は親の面倒を見るか」というアンケートの結果、「見ない」という回答が日本の少年に最も多く、一方、頼りにするのは子どもより預金という親側の回答も踏まえての句ですが、ここでは笑いの質がまったく入れ替わっています。
川柳の笑いも、時代とともに複雑化しているということです。
役人の子はにぎにぎをよく覚え タル1
たとえば、徳川三百年間に培養された役人の体質を
そのまま受け継いでいるような今回の社会保険庁問題。
社保庁で行方不明になる老後 小針準平
弱り目に年金祟り目の介護 石島健治
出しかけた離婚届を引っ込める 斧の小町
迷子札貼って納める保険料 高梨 満
内閣が向こう一年さがしもの 白石 洋
占いに近い年金相談所 中村義平
やっぱりが付くと社保庁らしくなる 杉山太郎
(ともに尾藤川柳選<よみうり時事川柳>)
川柳の眼は、高所にあってぬくぬくとしているような対象には容赦なく批判の矛先を向けますが、自分と同じ地平で真剣に生きようとしている仲間たちには、常に温かい視線を注ぎます。
子ができて川の字なりに寝る夫婦 タル1
も、よく眼の利いた描写ですが、これとは反対に深刻な現代をとらえた
パロディーがあります。
子を端に預金を中に寝る夫婦 名和れい
これはアジアの子を対象にした「将来は親の面倒を見るか」というアンケートの結果、「見ない」という回答が日本の少年に最も多く、一方、頼りにするのは子どもより預金という親側の回答も踏まえての句ですが、ここでは笑いの質がまったく入れ替わっています。
川柳の笑いも、時代とともに複雑化しているということです。