スナック・ゆうすけ 2

2005-12-01 | スナック・ゆうすけ
day 12

ゆうすけ:「私ね、見習いたい店があるんですよ」


客1:「どこ?」

客2:「早く言ってよ!」

客3:「気になるな~」


ゆうすけ:「今日で5周年を迎える」
     「BAR50です!」

客3:「おっお~!」

客2:「ハッピ バ~ス デ~イ」

客3:「この店もBAR50みたいだったらな~」




客2:「BARゆうすけ」

客3:「ダサイよ」

ゆうすけ:「分かってますから、黙って。」

客1:「これからBAR50さんに流れますか!」

客2:「いいね。」

客3:「いいですね」

外国人客:「ワタシモ・オーケイ?」

ゆうすけ:「みんなで行こう!」


day 13


カラン・・・


客:「こんばん・・・」


ゆうすけ:「しっ」


客:「どうしたのよ?」


ゆうすけ:「静に!」


客:「あ、犬!」


ゆうすけ:「せっかく寝てるんだから」
     「そっとしてやって下さいよ」

客:「へ~」


つんつん


ゆうすけ:「触るな!」

ビシっ


客:「いって~な~、チョップかよ~」

つんつん


ゆうすけ:「しつこい!」


ゴン!


客:「・・・・」

ピクピク


ゆうすけ:「客よ、犬の横で眠れ。」


day 14


カラン・・・


客:「こんばんはー」



ゆうすけ:「チッチキチー」

客:「はやってるねー、それ」

ゆうすけ:「もう、これいってれば間違いなし!」

客:「生、くれる?」

ゆうすけ:「    はい、お待ち」

ドン

客:「じゃ。おつかれー」

グビっ

ゆうすけ:「どうです?最近」

客:「まあね。普通よ。普通。」

ゆうすけ:「普通が一番ですよね。」

客:「今日はやけに大人しいじゃないの」

グビっ

ゆうすけ:「えー、まー。」

客:「社会に順応してきたか?この店もついに」

グビっ

ゆうすけ:「しないとやってけないっすよ。」
     「実際問題」

客:「そうだろうなー」

ゆうすけ:「リアルですよ。最近。」

グビっ

グビっ

客:「もう一杯くれる?」

ゆうすけ:「   はい、どうぞ。」

客:「将来不安になったりするの?」

グビっ


ゆうすけ:「そうですねー。」

     「やっぱり不安ですよね。」

グビっ

客:「この店、潰さないでよ」
  「こんなバカな店もう無いんだからさ」

ゆうすけ:「正直、自信ないです。来月やってるか」

客:「ずいぶん早いな、おい。」


ゆうすけ:「すでにやる気ないんです」

客:「っおい、どうした?何かあったか?」

ゆうすけ:「もう借金で、首がまわらなくて」

客:「・・・。」

ゆうすけ:「借りても借りても」

     「なんとかなりますか?」


外国人客:「イッツ ヨー ビジネス!!」


day 15


カラン・・・


客:「こんばんはー。」

ゆうすけ:「いらっしゃい。」


客:「とりあえず、生で。」


ゆうすけ:「はいよぅ。」

プシ~・・・

ドン

客:「   」

ぐびっ

客:「く~~~・・・」



ゆうすけ:「キムチ、お好きですか?」

客:「ん? 好きだよ」

ゆうすけ:「これ食べてみて下さいよ」

すっ・・・


客:「旨そうだねぇ。」
  「どれ」

ちゅぱっ

客:「ん! 旨いよ!」


ゆうすけ:「でしょ。」
     「オレ漬けたんすよ、それ。」

客:「まじで!? すごいね。」

ゆうすけ:「ども。」

客:「全部冷食っていうポリシーは止めたの?」

ゆうすけ:「ええ。」
     「客減っちゃって。」

客:「当たり前だよね。」

ゆうすけ:「キムチ売りにしようと思いまして。」

客:「ま、確かに旨いけどさ」

ちゅぱ

客:「もっと他にやることないの?」

ゆうすけ:「たとえば?」

客:「営業活動とかさ」

ちゅぱ
ゆうすけ「?」

客:「バカだね~。宣伝だよ」

ゆうすけ「?」

客:「横浜ウォーカーとかにのせんだよ」


ゆうすけ:「金かかるのは無理ですよ。」

客:「いや、オレさ、編集の奴知ってるんだわ。」
  「頼んでやろうか?」

ゆうすけ:「  」

客:「多分金かかんないぜ」

ちゅぱっ
ゆうすけ:「いや、いいっす」

客:「なんでよ!!」

ゆうすけ:「宣伝するものないですし。」

客:「キムチ載せればいいでしょうが」

ゆうすけ:「そいつはあくまで裏方です。」
     「アピールし過ぎちゃだめなんです」

客:「・・・へぇ~、ポリシーあるんだ」

ちゅぱ

ゆうすけ:「メニューにも載せませんしね」


客:「あんた、そんなことしてると店なくなるよ」

ちゅぱ
ちゅぱ

ゆうすけ:「かもね!」


day 16


ゆうすけ:「~、来ねーなー。」
     「客・・・。」

     「フウ。」











     「アブドル・ダムラル・・・」
     「ベルエス・ベルエスホリマク・・・」
     「いでよ 客・・・」




     「ふう。」

カラン・・・

ゆうすけ:「おっ!」


男:「NHK 集金でーす。」

ゆうすけ:「ここテレビありませんから。」

男:「あ、そうですか」
  「失礼しまーす」


ゆうすけ:「なんだよ、まったく」

     「今日は閉店だ。もう。」


day17


カラン・・・

客1 :「開いてます?」

ゆうすけ:「はい、どうぞ。」

客1:「開いてるわよ」

客2:「わ!良かった入ろ入ろ」

客3:「いいとこ見つけたわね」

客4:「全員座れるかしら?」

ゆうすけ:「お客さん、何名ですか?」

客3:「えとね、私を入れて」
   「10人かな」

ゆうすけ:「カウンターも入れれば」
     「大丈夫ですよ」

客3:「そうよね」

ドヤドヤ

ゆうすけ:「はい、これメニューです」

客8:「貴方ここ座りなさいよ」

客6:「私出口近くがいいわ」
   「早めに帰るから」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ゆうすけ:「ご注文決まったら言って下さい。」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ゆうすけ:「あ、それは触らないで下さい」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ゆうすけ:「お手洗いはあちらです。」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

客7:「注文しないと悪いわよ」

客9:「生でいい人~」

ガヤガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ガヤガヤ

客6:「ビール10杯ね」

ゆうすけ:「はい」

ガヤガヤ

ガヤガヤ




ゆうすけ:「あんたらウッセーんだよ!」
     「もう帰れ!売るもんなんかねえ!」


day 18


カラン・・・


ゆうすけ:「いらっしゃい」


おやじ:「トイレ貸してくれる?」


ゆうすけ:「公衆便所でやってくれ」


おやじ:「ケチくせー店だ」


ゆうすけ:「はいはい」


おやじ:「じゃーな」


ゆうすけ:「はいはい」


バタン!


外国人客:「アナタ、キャクノ種」
     「ノガシマシタ」


ゆうすけ:「はい?」


外国人客:「サッキノオヤジ常連ニ」
     「ナッタカモシレマセン」


ゆうすけ:どきっ


外国人客:「マダマニアウ」

     「ユキナサイ」


ゆうすけ:「お、おお。そうする」


バタン


トットットットット・・・


ゆうすけ:「おい!」

     「おいじいさん、」


オヤジ:「フぇっ?」


ゆうすけ:「さっきは悪かったよ」
     「うちのトイレ使いなよ」

はぁ はぁ


オヤジ:「いいのかい?」

ゆうすけ:「いいよ」

オヤジ:「助かった!」
    「漏れる~っ」

トットットットット・・・


カラン・・・

バタン(トイレのドア)

オヤジ:「チャック、チャック」

    「ふ~っ 極楽、極楽」


バタン

オヤジ:「いや、助かった」
    「ありがとうよ」
    「漏らさずすんだよ」

ゆうすけ:「この季節漏らすとつらいよな」
     「気をつけろよ」

オヤジ:「ほんと、ありがとうよ、若いの」

ゆうすけ:「また来いよ。」

オヤジ:「ありがとうよ」


バタン・・・


ゆうすけ:「客の種、ゲット~!」


day 19


ゆうすけ:「えー、生中とピザで950円です。」

客1:「ほれ」

ゆうすけ:「はい百円のお返し」

客1:「 」


バタン・・・



客2:「ねえ、あんたさ、どんなアイドル好き?」

ゆうすけ:「えっ!?エヘへ」
     「アイドル?」

客2:「そう、いっぱいいるじゃん」

ゆうすけ:「そうっすね~・・・」
     「吉岡美穂さんかな~?」

客2:「やだよ、この人赤くなってるよ」


バタン!!


客1:「おぉ てめぇ釣り銭」
   「間違ってんじゃねえかよっ!」

ゆうすけ:「はいっ?」

客1:「いいから責任者出せ」

ゆうすけ:「あ、あの私がここの主人ですけど」

客1:「お前な、釣り銭1円ってどういうこっちゃ」
   「てめぇ」

ゆうすけ:「え、あ、あの・・・」

客1:「さっきオレは1050円渡したよな」

ゆうすけ:「確か・・・」

客1:「ちょっと来い」
   「外でろお前」

ゆうすけ:「一人でやってるもんで」
     「ちょっと、出れないんですよ」
     「すみません」

客1:「いいから出ろよてめぇ」

ゆうすけ:「えーと、それがですね~・・・」

客1:ドン!

客2:「ちょっとあんたいい加減にしなさいよ」

ドフっ!

客2:「なにすんの!警察よ」

ドフっ ドフっ ドフ!

ゆうすけ:(わ、やばいなこれ・・・)


客1:「ま、いいわ。」
   「早く100円よこしな」

ゆうすけ:「はいっ」
 
さっ

客1:「この客には悪いことしたな」
   「手当てしてやれよ」
   
ゆうすけ:「はいっ」


バタン・・・


ゆうすけ:「ほっ」
     (でも手当っていわれてもな~)
     (なにすりゃいいんだ?)

つん つん


バタン!!


客1:「てめぇ! また1円渡しやがったな」

ゆうすけ:「!!う、う~・・・」

客1:「ここ迄きたらもう笑えるよ。」

ドスン

客1:「おう、生中だ。」
   「飲み直す。」



ゆうすけ:「あ、えー。閉店なんですけど。」

客1:「なぬ~っ!?」


day 19


客:「あの、会計おねがいします。」

ゆうすけ:「まいど、」
     「えー、アイス・コーヒーで」
     「えー、350円です」

客:「 」
 
すっ

ゆうすけ:「ちょうどのお預かりで」

     「ありがとうございました」



客:「あの、」


ゆうすけ:「はいっ?」


客:「この店で働きたいんです」

ゆうすけ:「 」


客:「バイトとか募集してませんか?」


ゆうすけ:「いや、」

     「悪いんだけど、人雇う程」
     「売り上げなくてさ、、」

客:「無休で結構なんですが」


ゆうすけ:「えっ!?」
     「まじで!?」

客:「はい。」

じー

ゆうすけ:「んー。」
     「ま それなら」

客:「いいんですか!?」


ゆうすけ:「んー。いいよ。」

客:「とりあえず履歴書おいときます」

さっ

ゆうすけ:「どうも」

客:「いつからくればいいですか?」

ゆうすけ:「明日?」

客:「では、明日のこの時間にきます。」

ゆうすけ:「えーと、じゃエプロンと」
     「靴は黒の革靴で」

     「あとそのひげはそってきて」

客:「ひげ駄目っすか」

ゆうすけ:「うん。」

客:「では、よろしくお願いします」


ゆうすけ:「はい。よろしく」


バタン


ゆうすけ:(変わった人だなー)

     (なんでうちなんだろ)

ぴら

ゆうすけ:(履歴書だ、)

     (わっオレより年上じゃん)

     (大学院生か)

     (んー。謎が多い)


カラン・・・


外国人客:「ナマ オネガイ」


ゆうすけ:「  はい」

ドン

外国人客:「ニホン ノ タテモノッテ」
     「フアン ダネ」

ゆうすけ:「ま、イチブはね。」


day 20


カラン・・・


客:「よー、お久しぶりぃ」

ゆうすけ:「いらっしゃい」


客:「何、浮かない顔してー。」


ゆうすけ:「えー、まー」
     「ちょっと、へこんでまして。」


客:「言ってよ、オレでよければ」
  「相談のるぜ」

ゆうすけ:「実はですね、」

     「この店にバイトしたいって」
     「大学生が来たんですよ」

客:「えええっ!?」
  「ありえない」

ゆうすけ:「そこで否定されると」
     「先進めないんですが、」

客:「えーっ、それはありえんよ」


ゆうすけ:「いいっす、もう。」

客:「あ、そ。じゃ生ね。」


プシ~

ドン


ゆうすけ:「やっぱ続けていいっすか?」
     「途中迄言うと、なんつーか」

     「もどかしいっすよ。」

客:「いいよ、聞くよ。」

グビっ

客:「もう ちゃちゃいれないからさ」
  「ちゃっちゃとしゃべっちゃって」

ゆうすけ:「で、そのバイト希望の学生が」
     「来ないんスよ。」

客:「?」

ゆうすけ:「次の日から来いって」
     「そう伝えたんですが」

客:「なんだろね。」

  「分けわかんね、この話」

ゆうすけ:「私だって被害者ですよ!」

カラン・・・

学生:「すいませーん、遅くなって」
   「ちょっと突然病気しまして」

ゆうすけ:「もう、騙されたかと思ったよ」

学生:「ほんと、すいません」

客:「何、彼がここで働くの?」

学生:「はい。お願いしたんです。」

客:「へぇ~・・・」


ゆうすけ:「それはそうと、君」
     「ひげは剃れっていったよね。」

学生:「あ、やべ!」

ゆうすけ:「トイレあるから剃っといで。」

学生:「いや、カミソリとかありませんし」


ゆうすけ:「じゃあ、帰って結構。」


学生:「はい。すんませんしたー。」



バタン


客:「あんた強気だね~」

ゆうすけ:「どうも。」