卓袱台の脚

団塊世代の出発点は、狭いながらも楽しい我が家、家族が卓袱台を囲んでの食事から始まったと思います。気ままな随想を!

The Pacific

2012年04月19日 21時12分56秒 | 映画

 昔から映画が好きで、学生時代までは、よく映画館に通っていた。社会人になってからは、時折話題に上がるモノを選んでは見ていたが、昔ほどの興味は無くなっていた。結婚してからは、家内が余り映画に興味を示さなかった為、一人でTSUTAYAからDVDを借りて、新旧のモノを楽しんでいたくらいだった。ジャンルは、これという嫌いなモノはなく、娯楽映画としての、アクション・SF・時代劇・サスペンス・西部劇・スペクタクルなどが好きだ。

 

 父親に連れられて、麻布十番の映画館や霞町の南星座へ行った記憶がある。父は、東映の時代劇が好きらしく、「大菩薩峠」や「新吾十番勝負」を見た。テレビでは、「ローハイド」や「ライフルマン」、「ララミー牧場」など団塊の世代が集まれば必ず名前が出る番組を放映していて、ワクワクしながらかじりついて見ていた。映画やテレビが手近な、最高の娯楽だった時代だ。

 

 私が影響を受けた映画が「人間の條件」(主演 仲代達也)で、父の蔵書の三一書房・新書版「人間の條件」(五味川純平)全6冊の原作を何回か読みあさった。父の、南方へ従軍した時の話は余り聞いたことがなかったが、「人間の條件」(全6部・上映時間9時間半)の毎回の封切り映画を見た後は、大体 ゛ 内務班 ゛の辛い話をしてくれるのが、常だった。

 

 「明日3月31日(土)は、強い低気圧が日本を通過し、風雨の強い一日になる」と、ニュースが伝えていた。家内が、田舎の法事で3/31、4/1の両日は留守の予定。絶好のDVD鑑賞日和だ。

      

 かつて、トム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督の「プライベート ライアン」を見たとき、今までの戦争映画とは違う臨場感とリアルさ、そして兵士の内面の葛藤を描く様子は、非常に興味を惹かれ、印象に残った。昨年、TSUTAYA店内に張り出された米国連続テレビ映画「The Pacific」の広告チラシは、目にしていた。トム・ハンクスとスピルバーグの組み合わせで、何か期待できる映画かな?…と、思っていたが、米国のテレビ映画ということで、今一つ、馴染みのないコンテンツとして、手が伸ばせなかった。(実は、ローハイド・ララミー牧場・ライフルマン・コンバットなど、日本で当時人気のあったテレビ映画は、全て米国の連続テレビ番組であった)

 

 DVD5巻(全10話)を見始まった時、何か違う!! 普通の娯楽映画ではないな?……と思った。史実に基づいた表現の仕方、トム・ハンクス、スピルバーグ、ゲーリー・ゴーツマンの製作総指揮者、3人の作品に寄せる思いを画面より聞いたとき、ゾクッゾクッとする興味が湧いてきた。……2日間を掛けて、吹き替え版を一気に鑑賞した。作品に係る予備知識が全くなかったので、画面から受ける内容だけに没頭した。久々に見た、表現のしようもない満足感があった。

      

 事実に基づいた原作の映画化ということで、中心主演者3人を巡るストーリーの展開は、リアルな描写と物量を投入したスペクタクルで、一時も目が離せない。それでいて、人間性が緻密に描き出されている。1話が1時間ほどだが、次から次へと見てしまい、時間の経つのを忘れるほどだ。三人三様の結末は、言い難い余韻の後、考えさせられた。

 

 この映画の背景や環境が知りたくなり、DVDのドキュメンタリーモードやピクチャー機能など改めて見直した。学習効果を得る意味はあるが、娯楽という点からは、興ざめという感じだった。ウィキペディアを探ると、「当初製作予算1億ドルを大幅に上回る2億7千万ドル以上を出費、米国連続TVドラマの最高の製作費。メディアによれば、撮影ロケされたオーストラリア国内に4000の雇用を創出、1億8千万豪ドルの経済効果があった」と、記載されていた。

 

 トム・ハンクスが、プロローグで言っていた「第二次世界大戦のバージョンone(ヨーロッパ戦線)を作ったので、バージョンtwo(太平洋戦争)も必要と思った。」との言葉を受けて、次回の天候不順の土日には、゛ Band  of  Brothers ゛(ヨーロッパ戦)を見てみたい。


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