卓袱台の脚

団塊世代の出発点は、狭いながらも楽しい我が家、家族が卓袱台を囲んでの食事から始まったと思います。気ままな随想を!

M210330 TRIPLEXダブルチェンジレバー

2021年03月29日 18時13分24秒 | Marchel

 M210330 TRIPLEXダブルチェンジレバー

 

 

かつてはカンパのコピーとして、一時期を騒がせた? スペインの2大自転車パーツメーカーの1社「TRIPLEX」のWチェンジレバーです。もう1社は、「ZEUS」になります。バンド止め用のロックナットボルトは、ありません。WチェンジレバーもAは2種類知っていますが、このレバーはバンド上部に「TRIPLEX」のロゴが横一文字に刻印されているものです。もう1種類は、TRIPLEXの刻印が「P」の文字の所で十字に交差したダブル「TRIPLEX」ロゴマークのものです。この刻印もバンド上部にあります。中古品ですので、多少の汚れ・キズ・サビなどはあります。写真が全てです。割れ・ヒビ等はありませんので、実用になります。

 

 

(取り付けバンドに「TRIPLEX」のロゴが横一文字のWレバー)

 

 

゛カンパのコピー ゛と言われますが、カンパがこれは怒ります。俗に言う ゛似て非なるもの ゛で、手に取ってみれば、明らかにその違いは歴然とします。

1970年「ロン・キッチンハンドブック」にTRIPLEXの製品として前後ディレーラー・チェンジレバーセット・ブレーキなどが紹介され、「急速にサイクルギアで最も人気のある名前になりつつあるTRIPLEXアクセサリーは、アクティブなサイクリストである職人によって設計・製造されており、最高品質の素材のみを使用していることは、経済的な価格での信頼性で、すでに良く知られています」と記載されています。自社の取扱商品ですので、悪くは言えませんが、「この時期(1970年)、安い価格で、販路を拡大しつつある表現」が気になりました。

TRIPLEXに係る記述資料・カタログ等も無いまま、英国のコレクションマニアの資料を見つけ、裏付けの無い怪しい意訳のまま紐解いてみました。

 

「スペイン・バスク地方のエイバル近郊でギルレモ・バスカランにより起こされたバスカラン工業のブランドがTRIPLEXで、自社により1936年創業と述べています。エイバルは、ZEUSのある町でもあります。会社の初期である1945年頃の製品は、アントニオ・バスカランにより作られた「実用モデル」のディレイラーと言われています。1948年、「アントニオ・バスカラン・リメタリア社」は、SIMPLEXの ゛チャンピオン・ド・モンド ゛や ゛ツール・ド・フランス ゛に類似した製品の軽量化による特許登録が、スペイン国内で認められました。また、1950~1960年に、゜カンパニョーロ・グランスポーツ ゛のコピーディレイラーを製品化し、会社はスペイン国内でその特許を認められました。以後、1960年代に ゛カンパニョーロ・レコード ゛似、1970年代は粗雑な ゛カンパニョーロ・ヌーボ・レコード ゛類似の製品も作り出していました。

TRIPLEXはZEUSと異なり、ハイエンドを目指さず、ローエンドに満足していました。そのコンポーネントは、一時、ヨーロッパ市場でも受け入れられ、広く販売されていました。1970年代初めサブブランドの ゛Tximista ゛(「稲妻」)を展開し、ブランド名はカンパニョーロ・ヌーボ・レコードやシマノ・クレーンの類似品に使用されました。1980年代には、゛カンパニョーロ・Cレコード ゛似の製品を作りましたが、それはラフな仕上がりでした。その後、2005年までは独自ブランドを発表、最近のブランドは ゛SunRace ゛の提供です。

現在TRIPLEXは、輸入・販売業者となっていますが、工場所在地では、飲料ボトルや軽合金ブレーキ製造業者となっています」

(「DISRAELI GEARS Triplex」より)

 

カンパニョーロの各年代の類似品には、Professional・CS・SUPER・Extraの名称が使われ、製品毎に何かしら特許登録として国の認証を受けているようでした。スペインの2大自転車パーツメーカーに対し、国策としての何かしらの支援があったのかもしれません。

 

 

(1970年「ロン・キッチンハンドブック」TRIPLEXのページ)

 

 

(TRIPLEX Wチェンジレバー 下部より)

 

 

(余り飾りっ気のない環付きボルト回り)

 

 

(レバーにSPAINとEIBARの刻印が見えます)


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